コラム

【もっと自治体職員を楽しむために#1】二つの立場で地域と関わる

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 全国の若手自治体職員が日々、何をしているかというのはあまり知られることはありません。この度、生駒市の2~5年目の職員の方に寄稿をいただくこととなり、担当業務や日々の活動を絡めて、何を目的に仕事をしているかというお話をしていただきます。毎月第1水曜日、4回にわたり連載が続きます。

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【プロフィール】
 竹田 有希
 2014年生駒市役所に入庁。市民課を経て2015年~環境モデル都市推進課。行政・研究機関と協働で、希少生物を守る市民ボランティアグループの立上げ業務等を経験。現在は、市民の意見を取り入れながらの「環境基本計画」の策定、大学生と連携した環境教育の推進、省エネ普及啓発業務等に従事。
 若手職員が企画・運営する、あれこれ学んでつながる場「よるゼミ」立上げメンバー。若者にしかできないことで阿倍野区を盛り上げる団体「あべ若」代表。自治体職員/住民、2つの立場で協働を実践中。大阪市阿倍野区在住。

 私は生駒市の職員であるが、居住地の大阪市阿倍野区で、若者が面白いと感じられるイベントを実施する団体「あべ若」の代表として活動をしている。「あべ若」は、もともと阿倍野区役所の呼びかけで集まったグループで、区の事業として3年間活動を続けた後、任意団体として独立。現在は資金調達も自分たちでおこなう。メンバーは、私のような自治体職員以外に、飲食店等経営者、会社員、看護師など様々な立場の20代から40代12名で構成する。

 代表として活動する中では、何度も壁にぶちあたった。区が立ち上げた若者団体が珍しかったのか、区内のあらゆる地域から「自分たちのイベントを手伝いにきてほしい」と声がかかった。最初は、呼ばれるがまま手伝いに行ったが、既にあるイベントをただ手伝うだけの下働きが続き、面白くなくて辞めていったメンバーも多くいた。
 また、年齢も職業もばらばらで、自分とは全く違うタイプの人と一緒に活動するのも、簡単ではなかった。年上の会社を経営しているメンバーからは「自治体職員は頭がカタい。それじゃあ面白いイベントなんてできない」と怒られることも度々あった。どうやって自分たちらしいイベントを生みだし、メンバーをまとめればいいのか試行錯誤する日々が続いた。

 そんな時、若者のアイディアを受け入れ、サポートをしてくれる地域と出会えた。そこには、レンコンが生息する、蓮の名所「桃ヶ池」があった。その池を使って、あべ若が生み出したイベントが、「レンコン掘り調査選手権」だ。出場者は制限時間20分間にレンコンを掘り、採れた総重量で優勝者を決める。レンコンを探す間に、ごみを見つけた場合は、合わせて引き揚げることをルール化。レンコン探しに盛り上がりながら、池の環境改善にも取り組むイベントである。

 初回から多くの見物客が集まる、面白いイベントになった。しかし、自分自身は当日の進行役をしたくらいで、「代表として何もチームに貢献できていない」と、不甲斐ない気持ちの日々が続いた。

 第3回目の開催となった昨年、イベント内容を知った職場の先輩から、「メディア受けするから、プレスリリースをした方がいい」とアドバイスをもらった。「もしかしたら自分も貢献できるかもしれない。絶対に掴み取りたい!」と自治体職員としての経験が活かせることを初めて見つけた。全力でリリースを書き、ありとあらゆるツテを頼って、メディアにイベントの情報提供をした。
 結果、過去最多の出場者が集まり、新聞でも大きく取り上げてもらえたことに加え、テレビ番組「ちちんぷいぷい」の取材も入り、関西全域に放送された。参加者も大盛り上がりで、メンバーのモチベーションも高まる1日となった。
それが、代表として初めての成功体験だった。

レンコン掘り

レンコン堀りの様子

レンコン掘り2

地域活動での経験は、業務にもいい影響を与えている。
 私の現在の担当業務は、市の総合計画の理念や目標を環境面から実現する「環境基本計画」の策定、低炭素社会の実現に向けた省エネ・再エネの普及啓発などである。
 若者団体の代表としての経験を積み重ねるうち、「環境活動に関わる層の固定化・高齢化」という課題に対して、何かできるかもしれないと感じるようになった。
 もっと若者のアイディアや力で盛り上げたいと思い、プライベートな時間も、いい出会いを探して講演や地域の懇親会など市内外に足を運んだ。そんな時、廃油を使ったエコキャンドルの制作活動をする学生団体のメンバーと知り合いになった。
上司にも相談しながら、七夕の日に家庭やライトアップ施設の灯りの一斉消灯を呼びかける「クールアース・デーライトダウンキャンペーン」にちなんだエコキャンドル作りのイベントを、一緒に開催することになった。
 大学生が先生役になり、親子が楽しみながら環境について学べるイベントになり、学生からは「いい経験になった。これからも一緒にやりたい」と言ってもらえた。大変好評だったため、これまで環境活動を担ってきた年配の方々中心のイベントのプレ行事として、12月にもクリスマスキャンドル作り教室を開催。大学生が参加することで、イベントの雰囲気はこれまでとまるで違い、活気にあふれた。

 

エコキャンドル作り教室

エコキャンドル作り教室

七夕ライトダウン

 学生のみなさんと一緒に事業を進める時は、自分自身が一住民として活動する感覚と経験を頼りにしている。行政が決めた企画をただ運営するだけでは絶対に面白くないので、まずは、相手の提案やアイディアを聞く。次に、行政がどう動いてくれたら自分は嬉しかったかを頭に思い浮かべる。また、あべ若がメディアに活動を取り上げてもらえた時の大きな喜びが、当然のように大学生が主役となるプレスリリースの作成に向ける。

 協働を実践する際、私がゴールにしているのは、相手との信頼関係を築き、「この人となら生駒のために何か行動したい」と思ってもらえるようになることである。その際、一活動者としての経験が道しるべとなり、また逆に、自治体職員として身につけたスキルや経験は、地域活動にも還元できる。
 今でも壁にぶちあたってばかりだが、2つの立場で地域と関わることで、相乗効果が生まれ、自分自身の幅の広がりを感じられる。それが、今は何より楽しくて仕方ない。

(文=奈良県生駒市 竹田 有希)

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