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これからの時代の役所と公務員について。フィラメントCEOが元公務員として思うことtop

コラム

これからの時代の役所と公務員について。フィラメントCEOが元公務員として思うこと

(記事提供=株式会社フィラメント thefilament.jp )

CEO角が公務員時代に感じていた閉塞感

「役所」とはそもそも何なのか

所属する組織でなく、個人が信頼の主体に

これからの時代に必要な公務員とは

CEO角が公務員時代に感じていた閉塞感

元公務員のCEO、角です。
公務員時代、感じていた色々な閉塞感ってのがあるんです。

財政規模は拡大せず、シュリンクしていく中で、支出はどんどん増えていく。

大阪市の場合は
・政令指定都市の中でも突出して高齢化が進行
・無収入の独居高齢者がさらに増加
・企業流出(だいたい東京に行きます)の法人税への影響
みたいなことはある中で、職員の厚遇問題も加わり、大阪市への信用、信頼は地に落ちました(当時)。

あの頃、本当につらかったし、今もあの頃の何とも言えず申し訳ないつらい感じはしみじみと思い返されるのです。

「役所」とはそもそも何なのか

大阪では今でも役所に対する信頼感が薄いと思いますし、行政を離れた今、その理由もなんとなくよくわかる。
大阪市に限らずですが、だいたい、役所ってこういう感じに思われていると思うんですよ。

1 . ITのことがわかってない
2. 新しいことに消極的
3. 既得権益者ばかり優遇する
4. 「誰得?」な大型開発ばっかりする

残念な感じするでしょ。
でも、役所とは何のために存在するのかを考えてみると、以上のような感じになってしまうこともご理解いただけるはずです。

役所

役所とはそもそも何なのでしょうか?
僕が今まで最も腑に落ちている定義で言うと、役所とは「もめ事を起こさずに税金を配分する装置」なんです。
「世の中をよくするための装置」だと思っている人がいますが、そんなざっくりした目的の組織ではない。
適切に税金を配分した結果、世の中がよくなることもあると思いますが、それは結果論かと。

そして、「適切に税金が配分されたかどうか」は「もめ事が起こらなかったかどうか」で判定される場合がほとんどです(この場合のもめごとはほとんどが議会との関係です)。

役所とは「もめ事を起こさずに税金を配分する装置」だという定義に立って、上記の1~4の各項目がなぜそうなっているのかを見てみましょう

1. ITのことがわかってない
→行政に文句を言う層の人はITのことわかってないから揉め事が起きない
2. 新しいことに消極的
→新しいことをやる方が軋轢が多い
3. 既得権益者ばかり優遇する
→新しいことをして文句を言うのは既得権者(自分の権益が脅かされるから)
4. 「誰得?」な大型開発ばかりする
→大規模開発して損する人はいない

こんな感じで、組織としての行政=役所は「もめる要素」が入ると消極的にならざるを得ないわけです。

でも「じゃあしょうがないよね」というのも違うと思うのです。
なぜなら公務員には「世の中を良くしたい」と思って公務員になった人が結構たくさんいるからです。

所属する組織でなく、個人が信頼の主体に

フィラメント流、社会予測2019」でも書きましたが、今は個人の力がすごく強くなっていて、強い想いをもつ個人がほかの人を巻き込んでいける時代なんです。
個人単位でつながりが生まれていますし、所属する組織でなく個人が信頼の主体となり、信頼がビジネスやプロジェクトの起点となっています。

こういう時代であればこそ、役所でできないことを個人としての公務員がやれるようになってきたんだと思います。
そして、役所は、そういう個人としての公務員をもっと自由に動けるようにサポートしたり評価していくべきなんじゃないかなと思っているのです。

そんな、今の感覚をもって公務員に戻ったとする(戻りませんが)と、どんなことが大事かなと思ったときに、「市民と共感しあって一緒にまちをつくっていく、良くしていく」という視点だと思うんですよね。
行政はこちら側、市民は相手側…みたいな分け方をせずに、一緒につくっていきましょう! とやってみる。そのときに大事なのは
「組織としてできない言い訳をせず、個人として取り組めることを前向きに探すこと」
これに尽きると思います。

これができている人は自然と人を集めていく、巻き込んでいくことができる。なぜなら今の時代、信頼は組織でなく個人に紐づくからです。
これからの公務員の評価はそうやって人をどれだけ巻き込めたか、ってことを重視するべきではないか…と思っていた矢先にまさにドンピシャの記事と出会いました。

これからの時代に必要な公務員とは

先日ダイヤモンドオンラインに掲載された、生駒市長、小紫さんの記事が的確すぎて全力同意なんです。
「市民と行政がともに汗をかかない自治体は崩壊する」(ダイヤモンド・オンライン)

小紫市長には、11月21日にフィラメント主催で開催した、QUM BLOCSのセッション4「自走する地域」にもご登壇いただき、まさに「市民と行政がともに汗をかくことの大切さ」について語っていただきました。

QUM BLOCSにて。左から村上臣氏、小紫市長、イトナブ古山氏、NTT木村氏、インフォバーン木継氏

QUM BLOCSにて。左から村上臣氏、小紫市長、イトナブ古山氏、NTT木村氏、インフォバーン木継氏

特に以下のこの部分は「まさに!!」と膝を打つしかないです。

『これからの行政職員、特に市町村職員は、まさに「まちの営業マン」とならなければいけないのであり、市役所にこもってばかりでまちに飛び出さない行政職員は将来仕事がなくなります。生駒市は、仕事以外でも、職員がどんどん地域に飛び出すこと、場合によっては報酬を得ることも積極的に推奨していますが、職員が市民として地域活動をすることが、仕事においても市民との信頼関係構築や、まちづくりの具体的なアイディアなどの面で大きくプラスになると考えているからです。

 市民を単なる「お客様」にする自治体ではなく、場合によっては市民にも汗をかいてもらい、ともにまちづくりを楽しめる自治体、そういう信頼関係を市民としっかり創り上げていける自治体こそが、地方創生を具体化することができるのです。』
出典元:「市民と行政がともに汗をかかない自治体は崩壊する」ダイヤモンド・オンライン

共感と信頼をベースとした地域の人の集い(あるいは個人を起点とした信頼のコミュニティ)を生み出せるハブ人材こそがこれからの時代に必要な公務員であり、その活動を評価できるシステムがこれからの行政体には求められているのではないか。

公務員を辞めた今でも多くの自治体の方々、真摯に働く公務員の皆さんとお付き合いする中で、心からそう思うのでした。

 

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