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週刊 寺本英仁「巻き込む力」と「ビレッジプライド」の育て方 第6号(HOLG版)

本記事では、有料メルマガ「週刊寺本英仁@島根県邑南町/「巻き込む力」と「ビレッジプライド」の育て方」の一部(A級グルメ連合についてのストーリー)をご覧いただけます。なお、掲載するメルマガは約3か月前に配信した内容です。最新かつ、全文の閲覧を希望する場合はコチラからお申込みください。

【第6号の目次(2019年7月17日配信)】
1.近況ーー松江市の素晴らしいイタリアン!
2.里山レストラン「香夢里」は立ち止まらない(6)
3.<A級グルメ連合>の仲間たち 小浜編(5)
4.著書の案内、質問募集!など

メルマガの一部をHOLG.jpに公開いただいています。

3.<A級グルメ連合>の仲間たち 小浜編(5)
=志を同じくする5市町の取り組みを連載形式で紹介していきます!

 奥城さんが連れて行ってくれたのは、小浜市の山の上に位置する福井県立大学海洋生物資源学部、そこの学食「キッチン Boo」だった。
 学食の看板を見たとき、僕は驚きの声を上げてしまった。なんと学食が1600円もするのである!
 「この値段、学生は手が出せないのでは?」
 ちょっと非難がましく言った僕を奥城さんは「まあ、まあ」となだめながら、オーナーの高野滋光さんを紹介してくれた。
 僕は挨拶もそこそこに、高野さんに同じ質問を繰り返した。問われ慣れているのか、高野さんは淡々と答えてくれた。
 「福井県立大学の本校は福井市にあり、この小浜キャンパスにあるのは海洋生物資源学部だけです。通常、500人の学生がいないと学食は経営が成り立ちませんが、ここの学生数は200人ほど。そこで小浜市民に来てもらうことを考えて、1600円のビュフェランチに踏み切ったんです」
 ただし学生には、特別にビュフェを計り売りにして300円〜500円で食べられるようにしているのだそうだ。
 とはいえ、ここ小浜キャンパスは小浜の海を見下ろす山の上だ。
 小浜市の住人たちは、ここまで1600円のランチを食べに来てくれるのだろうか?
 そう思って来客数と売り上げを聞いてまたびっくり、学生以外の一般客が年間に2万人! 売り上げは3000万円にものぼるというのである。
 高野さんはここで15年間、学食を続けている。
 「この大学が小浜にあるからこそ、科学的なデータを元に小浜の漁業や食文化の研究が行われているんですよ。学生たちの体のことを考えても、地元の魚や野菜をなるべく食べて欲しいんです」
 ビュフェには地元の魚や地元野菜を使った料理が豊富に並ぶ。鯖おでん、鯖のてんぷらなど、小浜ならではのメニューもある。これは学生だけではなく、たしかに市民も食べたくなると思った。
 小浜にはこの大学の海洋生物資源学部が必要だし、学生にとって学食は必要不可欠だ。
 つまり、大学という小浜の知的な資産と学生の胃袋を、小浜市民が1600円のランチで守っているという構図である。
 高野さんの料理の腕前と経営手腕があれば、もっと小浜市内に条件のよいレストランがオープンできたはずだ。だが、彼はこのキャンパスの学食で自分の信念を貫いているのだと思った。
 「キッチン Boo」は、形が不ぞろいで捨てられてしまう野菜を買い取って農家を支援したり、食品ロスゼロを掲げ、食育活動にも積極的に取り組むなどしている。
 小浜市の小学校では、高野さんと子どもたちによって開発されたメニューが、ランチメニューになることも少なくないそうだ。
 高野さんは森下さんと同じで、スタートは惣菜屋さんだった。そして森下さんと同じように、惣菜を作っているうちに、少しでも安心なものを、体によいものをと追及するうちにこのスタイルになったらしい。
 商品開発も積極的で、福井県立大学と共同開発でバーニャカウダ(オリーブ油、アンチョビ、ニンニクで作ったソース)も開発している。
 キャッチコピーにするなら、僕は「福井県立大学と共同開発」というよりも「日本一高い学生レストラン」とした方が売れるのではないかと思い、ついそのまま口走ってしまった。同時に心の中で「日本一美味しい学食レストラン」とつぶやいたのだけれども。
 それにしても、こんな特徴のあるレストランがあるとは小浜市、畏るべし。紹介してくれた奥城さんに感謝である。
 真っ先に教えてほしかったと思ったくらい感激したのだった。
小浜編・了
(次号からは宮崎県都農町です)

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