本記事では、有料メルマガ「週刊寺本英仁@島根県邑南町/「巻き込む力」と「ビレッジプライド」の育て方」の一部(A級グルメ連合についてのストーリー)をご覧いただけます。なお、掲載するメルマガは約3か月前に配信した内容です。最新かつ、全文の閲覧を希望する場合はコチラからお申込みください。
【第22号の目次(2019年11月6日配信)】
1.近況ーー「邑南町観光戦略ビジョン」を策定中です!
2.<A級グルメ連合>の仲間たち 鹿部町編(2)
3.著書の案内、質問募集!など
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2.<A級グルメ連合>の仲間たち 鹿部町編(2)=志を同じくする5市町の取り組みを連載形式で紹介します!
遠路、邑南町まで訪ねてきてくれた盛田町長と僕は、お互いの思いを存分に語り、意気投合したのである。
この出会いをくれた大関さん、そして大関さんとので出会いを演出してくれた金山くんには感謝しかない。大関さんの話は後日書く予定の「ふるさと納税編」でしっかりお伝えするとして、いったん話を鹿部町の盛田町長に戻そう。
盛田町長からひとつ要望された。
1か月後の9月、僕に鹿部町に来てもらい、役場職員や議員に「A級グルメ構想」の話をして欲しいというのである。
役場職員への研修は、多くの町から依頼を受けていたが、町議会からの依頼は初めてである。それも、9月の議会中の合間をぬって講演時間は1時間。
ほんと、盛田町長ってダイナミックな人だなーと思った。
自分が良いと思った政策は、たとえ他の自治体のアイデアであっても、直ぐに取り入れようとする。その町の職員を自分の町の議会に招聘して、取り組みを説明させるなんてなかなかできる芸当ではない。
2018年9月5日、僕は北海道鹿部町に行き、開催されていた議会の合間を縫って「A級グルメ構想」の取り組みについて話をした。その日の夕方には鹿部町の職員に向けても講演した。
盛田町長は僕を紹介しながらこんな挨拶をした。
「みなさん、島根県邑南町では『食』をキーワードに3年連続社会人口増を実現しています。鹿部町もこの取り組みを邑南町と一緒に進めることで、必ず町が元気になってくると思います、本日はぜひ寺本さんの話を聞いてみてください」
盛田町長のアイデアで開かれた鹿部町講演会ダブルヘッダーは、議会も職員のみんなも、どのような反応をしてよいかわからない感じではあったが、盛田マジックでなんとか乗り切ることができた。
盛田町長の挨拶は普通に思えるが、そこから発するオーラが、きっと人を説得させていくのだろうと感心した。
盛田町長と僕は、その余韻を残したまま講演会の後の懇親会にも突入した。町長をはじめ多くの職員を交えて話は大いに盛り上がった。
そんな宴会の中で、盛田町長の何気なく言った言葉が僕の印象に残った。
「北海道って広大な農地があって、寺本さんの住んでいる邑南町のような中山間地域と比べると、一軒あたりの農家の収穫する面積、販売額は比較にならないくらい大きいんですよ。まさに、攻める農業なんですよね。しかし、鹿部は漁業はさかんなんだけど、農業のほうは産業としてほとんどないんですよ。
僕はこの鹿部で家庭菜園でもいいから、町の人が野菜を作ってくれたらなーと思うんですよ。できた野菜を家で食べるだけでなく、寺本さんところの町ように、農産物を道の駅やレストランに出荷してくれたら、それが少ないけど所得になり、町が活性化するんじゃないかと思って」
盛田町長は邑南町に視察にこられて、地域循環型の経済システムを自分の町に導入しようと考えてくれているのだと思うと、すっかり嬉しくなった。
その夜は、本当に気分がよかった。
同行している「にっぽんA級(永久)グルメ連合」の岡田くんと一緒に懇親会場の大寿し司を離れ、旅館に戻った。
お風呂に入って一寝入りした9月6日の午前3時8分、激震が走った。
2011年3月11日の東日本大震災のとき、僕は出張で東京に滞在していて、大きな揺れを経験していたが、それを上回るほどの激しい揺れを感じた。
正直「危ない」と思った。慌てて、隣の部屋に寝ている岡田くんの部屋に飛び込んだら彼は、ふとんを被って、震えている。そんな岡田くんを叩きおこして、2階から1階に降り、旅館の関係者を探したが見当たらない。
僕は、この旅館が海のすぐそばだったことを思い出し、直ちに階段を駆け上がり、自分の部屋の窓を開けてみた。
軽トラックがどんどん港に向かって走っている。普段からこの時間から漁師たちは動いているのか、地震による自分たちの船に被害がないかを確認しようと向かっているのか、僕には判断がつかなかった。
津波が来る!? 相当不安になった僕はテレビをつけた。
このときはテレビはついた。
北海道内で最大震度7を記録していた。ただ、鹿部町のある函館管内は震度4程度でそれだけ大きくないことも分かったし、津波の恐れのないことも確認できて一安心した。
しかしその後、テレビの電源が切れた。と、同時部屋も真っ暗に。
停電したのだ。
そうこうするうちに旅館の人が僕たちを訪ねてくれた。僕は岡田くんとこの旅館内に二人だけで、取り残されていないことを知り、一安心した。
岡田くんの目に涙が浮かんでいる。本当に怖かったのだろう(笑)。
僕たちは停電のまま、朝を待った。
鹿部町役場の村田課長が僕たちを迎えに来てくれた。そのときはまだ、停電がそれほど長引くはずはないと思っていた。
(つづく)
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