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【キングコング西野亮廣氏 #3】人は思い出には金を出す

西野亮廣3

――2017年11月12日に渋谷ヒカリエで開催された国家公務員、地方公務員が600人集まった「第10回よんなな会」。お笑い芸人キングコングの西野亮廣氏が、お金と広告、そして公務員についてお話された。第3話。

人は思い出には金を出す

西野亮廣氏:じゃあ『えんとつ町のプペル』っていう作品をどうやって作って、どうやって売ったかっていう話。

 まず自分が消費者側になって、何を買って何を買わないかを1回分けてみようと思ったんです。まずね、本。本あんま買わねえんすよ。月に2、3冊ぐらいしか買わないんですよ。で、CD。CDは僕今年入って買ってないんですよ。CDもあんま買わねえな。有田焼。俺30年ぐらい買ってないかもしれないです、有田焼。買わないですよ。基本的に作品ってあんま買ってないなって思うんです。

 一方、パンは買うし、水は買うし、米は買うし、牛乳は買うし、高くても冷蔵庫は買うし、テレビは買うし、ホットカーペットは買うし、エアコンは買うんです。つまり、生きていく上で必要なものは買ってるんです。

 買うものと買わないものの大きな線引きってすごく単純で、生活必需品であるか否かです。作品っていうのは生活必需品ではないから、『えんとつ町のプペル』が買われる優先順位は、米とかパンとか牛乳とかよりもだいぶ下になっちゃう。

 でも、売れてる作品があるんですよ。買ってしまってる作品があるんですよ。僕何買ったかなと振り返ってみたら、シンガポール行ったときにね、マーライオンの置物買っちゃったんですよ(笑)。

会場:(笑)。

 分かります?マーライオンの、こんなちっけえやつ。あれ買っちゃったんですよ。で、広島行ったときに宮島。お小遣い千円しかないのに、その少ないお小遣いを持ってですね、宮島って漢字で書かれた三角形の布切れ。ペナント買っちゃってるんですよ。皆さん、生きていてそのペナント欲しいと思ったことありますか? たぶんないと思います。

会場:(笑)。

 でもペナント買っちゃってるんです。で、去年ですよ。京都行ったんですよ。京都行って、芸人仲間で散々遊んで帰りに京都駅でね、「御用」って書いてある提灯買っちゃったんです。俺誰も取り締まらないですよ。でも買っちゃってるんですよ。

会場:(笑)。

 で、本ってなかなか売れにくいんですけど、演劇のパンフレットとかって超売れるんです。演劇のパンフレットとか、たかが20ページ、30ページ、こんなもんで4000円とか5000円とかするんです。でもこれは劇場のロビーとかで飛ぶように売れるんですよ。演劇の収益ってだいたいグッズでまわってるんです。

 つまり何が言いたいかっていうと、僕たちは作品にお金は出さないけれども、思い出には出すんです。お土産はそのときの思い出を思い出す装置として必要なんです。すごく楽しかったシンガポールだとか、宮島だとか、京都だとか、むちゃくちゃ感動させてくれた演劇を思い出す装置として、パンフレットは必要であった。

 つまり、お土産は生活必需品にカテゴライズされる。だから僕たちはお土産を買っちゃうんです。

絵本をお土産にするための体験を作る

 じゃあ、僕が売りたいのは絵本なんで、この絵本をお土産にしちゃえばいいだけの話。そのために必要なのは、その前の体験ですね。体験をデザインしてあげればいいなと思って、何をしたかっていうと、絵本の原画が家に150枚ぐらいあったんですよ。この絵本の原画を無料で貸し出して、全国誰でもどこでも西野亮廣の絵本の原画展を開催していいですよっていうふうにやってですね。長崎では中学生の女の子が、大分ではサラリーマンが、名古屋では高校生が、横浜ではOLさんが、札幌ではサラリーマンの方がですね、全国各地、津々浦々、西野亮廣絵本原画展を開催したんです。

 絵本の原画の貸し出しは無料です。その代わりに出口で絵本を売らせてくださいねって言うと、この絵本が超売れたんです。つまりその瞬間、絵本は本として売れたのではなくて、西野亮廣の原画展のお土産として売れたということですね。この売り方さえしてしまえば絵本原画展をやめない限り、運転させ続ける限り、僕の絵本の売り上げが止まることないって思うんですね。つまり理論上、僕の絵本は1兆部売れるっていうことじゃないですか。

会場:(笑)。

 だって売り上げが止まんないんだから、あとはこれを続けるっていう作業をやればいいだけの話。

個展を売り場にすると売上が止まらない

 例えば、本屋だと扱いが良くても最初の1週間が平積み、3週目ぐらいから棚出しになって、4週目ぐらいからだんだん消えていく。本は1カ月以内に売ってくださいっていう、なんか制限時間みたいなのがあるんです。

 でもこれおかしくないですか? 野菜だとか魚だとか腐るもんだったら分かりますよ。でも絵本腐んねえじゃないですか。5年後も10年後も価値は下がんないし腐んない。であれば5年後も10年後も、売り場がなきゃおかしいじゃないですか。

 「1カ月以内で売ってくださいね」っていうのは、これあくまで本屋の都合であって。『えんとつ町』の都合ではない。『えんとつ町のプペル』の都合っていうのは5年後も10年後も売り場があるっていうこと。

 『えんとつ町のプペル』は本っていうかたちをとっているけど、売り場の本丸は本屋さんではなくて、アマゾンではなくて、個展会場なんです。だから僕、国内外でむちゃくちゃ積極的に個展やってるんですけど、それはなんでかって言うと、そこを売り場にしていると売り上げが止まることがないからです。ベストセラーしか生まれないんです。

※本記事は全6話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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