主張・意見

地域に根差した消防署を目指して ~消防署の組織体制と地域イベントへの参加~[名古屋市消防局 南消防署]

総務省消防庁コラム1

(記事提供=総務省消防庁 広報誌『消防の動き』

(PR)=HOLG.jpが本になりました「なぜ、彼らは『お役所仕事』を変えられたのか?」

 名古屋市消防局 南消防署では、今年度の組織改正に伴い、職員自らが考え、より良い方向に向けて業務を進めるため、「組織改正に伴う仕事の進め方プロジェクトチーム」(以下、「PT」という)を設置しました。

 近年「想定外」と言われるような自然災害が、幾度も発生しており、また、少子高齢化など消防を取り巻く社会的背景が変化しています。その中で、発生が危惧されている南海トラフ地震をはじめとした、大規模災害に立ち向かうには、自助・共助・公助の連携が不可欠であり、公助である消防は、これまで、自助・共助の中心となる自主防災組織の支援に取り組んできました。
 そして、人口構成や地理的環境など、それぞれ異なる地域の実情に応じ、きめ細かく自主防災組織に支援をするために、令和元年度、地域防災業務が消防署予防課から消防署警防地域第一(二)課へ移管されることとなります。これにより、24時間開かれた公所であることや、実際の災害現場での活動経験を活かし、発災時に共に活動することとなる消防団員とともに、地域ごとの実情に応じた防災対策の支援をし、その結果、自助・共助の向上により、災害によるトータル被害を軽減できるようにする必要があります。
(図1 市民の命を守るために求められる消防の役割」参照)
市民の命を守るために求められる消防の役割

 しかしながら、職員が新たな組織体制の意味を理解せず、与えられたままに仕事をしていたのでは、市民の命を守る、トータル被害の軽減という目的は達成されません。
 そこで、PTでは、令和元年度の組織改正に向けて平成30年度実施してきた様々な事業やこれから実施する事業について、
 ①消防活動能力の向上
 ②地域防災力の向上
 ③予防行政のさらなる徹底
の3つの項目について整理し、それぞれの課題を抽出してその解決策を検討し、その結果を署内で発表することにより、令和元年度の新たな体制の確立に向けて準備をしました。
(図2 「平成30年度実施した主な事業とPTでの検討項目」参照)
平成30年度実施した主な事業とPTでの検討項目

組織改正に伴う仕事の進め方プロジェクトチーム~検討結果 編~

1 消防活動能力の向上

 平成30年度中に名古屋市消防局において、消防活動の現場で重大事故になりかねない事案が頻発しました。また、他都市では年齢の若い消防職員の殉職事案も発生しました。一概には言えませんが、全国的に見ても、消防職員の現場経験不足と訓練不足が背景にあるのではないかと考えられてもおかしくありません。国民の生命、身体及び財産を保護するという任務がある我々消防職員のこのような状況を是正するため、このPTにおいて、消防活動能力の向上のために必要な実践的な訓練のあり方について検討しました。
 まず、地域防災業務が移管されることに伴い増加する事務処理は全職員で分担することで効率的に行い、一日のスケジュールの中で、訓練時間を確保する必要があります。
 また、訓練内容は、図上訓練実動訓練に分けます。図上訓練では、災害概況即報や災害静止画集等の視聴、事故を防止するためのKYT訓練が有効ではないかと考えます。
 訓練時間が制限されるなかで行う実動訓練では、各出張所間で訓練場所を交換することでマンネリ化を防ぎ、訓練の実効性を高めることができるでしょう。
 また、これらの訓練を一時的なものにしないため、「訓練ノート」を庁内LAN上に作成し、署員が随時入力・閲覧することで、経験や知識の習得にもつながると考えます。
 これらの取組みを実施し、その結果を検討し再度実施するというPDCAサイクルを回していくことで、消防活動能力の向上を目指していきます。
(図3「警防地域第一(二)課)の目指すべき姿」参照)
警防地域第一(第二)課の目指すべき姿

2 地域防災力の向上

 地域防災力の向上を図るため、PTでは、まず課題の抽出を行いました。主な課題として、
 ★若い世代の訓練参加が少ない
 ★地域住民の防災に対する意識が低い
 ★訓練指導者の不足
などが挙げられます。
 これらの課題を解決するには、小規模単位の地域に根差した訓練を継続的に行うことこそが将来的に地域防災力を向上させるものだと考えます。その、小規模な単位とは、「自主防災組織」であり、この自主防災組織が訓練しやすい環境を整えることが重要だと考えました。
 そのための手段の一つとして、自主防災訓練の訓練メニューの作成です。
 分かりやすい訓練メニューがあれば、一目で内容が分かるので自主防災組織としては、やりたい訓練を選びやすくなるほか、指導する側の私たち職員や消防団員が訓練を提案しやすくなり、負担軽減にもつながります。また、自主防災組織の現状を知るためには、平成30年度に試行した防災診断書を使うことが有効であることも確認しており、この診断書の結果を自主防災組織に理解していただきながら、訓練メニューを提示することにより、住民に訓練の目的を理解していただくことができるだけでなく、訓練支援をする職員も適切な訓練のプランニングをすることもできます。
 訓練メニューを小冊子にまとめて配布したり、ウェブサイトに掲載したりすることで、多くの人から認知され、自主防災組織のみならず、子供会や女性会、サークル、アパート・マンションの集会などで行われる行事に合わせて、自主防災訓練を実施していただける可能性が高まります。
 その結果、若い世代を含めた幅広い年齢層の方に訓練への参加が期待できますし、訓練参加したグループの防災意識も高まることと思います。
 訓練メニューには、訓練の目的、訓練手順などを記載するほか、一番の特徴として、その訓練の魅力を記載します。魅力というのはつまり価値です。メニューを見て、この訓練を体験することで自分たちにとって貴重な価値があると思ってもらえたなら、訓練のために自分たちの時間を割くことでしょう。私たちはそう思ってもらえるようなメニュー作りを目指しています。
 この訓練メニューですべての課題が解決されるわけではなく、まだまだやるべきたくさんの課題がありますが、これまでの考えを一新し、一つひとつの課題をクリアしながら、よりいっそう地域住民に寄り添い、共に地域防災力を高めていきたいと思います。
(図4「地域防災力向上のための取り組み」参照)
地域防災力向上のための取り組み

3 予防行政のさらなる徹底

 予防業務は、事業所への訓練指導や査察の見直しなど、これまで十分できていなかった業務に加え、法令改正に伴う新たな業務も加わり、私たちがこの先解決しなければならない課題が山積みです。
 それらの課題を解決していく上で、予防課員には知識・経験が必要不可欠です。また、当たり前のことですが、やる気も必要です。さらにどのように課題に取り組んでいけばいいのか考えて行動していかなければならないため、企画立案力も必要です。
 それらの能力をしっかり身に付け、最終的にさまざまな課題に対処できる優秀なスーパー予防課員、すなわち
「高度な危機管理アドバイザー」
に私たちはなっていかなければいけないと思います。
 「高度な危機管理アドバイザー」になっていくため、課題に対する対策をしっかり考えて、実行していくことを、PDCAサイクルに当てはめることが必要です。
 その結果、予防課員の能力が向上していき、目指すべき姿に近づいていくことができると思います。
 与えられた仕事をただただルーティンのようにやっているようでは、組織改正をしても今の状況は全く変わらないと思います。組織改正という大きな一手を打った今こそ、今以上にやっていくぞ!問題点を改善していくぞ!という思いで仕事を進めることが求められるのではないでしょうか。
(図5「予防課員の目指すべき姿と求められる姿」参照)
予防課員の目指すべき姿と求められる姿

4 最後に

 PTでは、委員となった若手職員がそれぞれの事業に対する課題を挙げ、その対策を検討してきました。この結果はその一部になります。今後、名古屋市消防局を背負っていく若手職員も、恐れず、意見を出していき、我がこと感を持って仕事に取り組み、一人ひとりがしっかりと課題と対策を考え、職員全員で行動していく、すなわち全員野球をしていくことが今後大切だということを、このPTを通して感じることができました。
 そして、係長級以上で作成した今年度の各課の業務計画にこのPTでの検討結果を反映させ、4月1日からの新体制で署員一丸となって、消防防災行政に取り組んでまいります。

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