記事タイトル:泉南市と森永乳業株式会社の連携協定締結について
https://renkei.city.sennan.osaka.jp/%e6%a3%ae%e6%b0%b8.../
泉南市「出産記念品配付事業」
https://www.city.sennan.lg.jp/kakuka/kenkoukodomo/kateishien/kodomokyuufukakari/7595.html
(文=晝田 浩一郎)
子どもが生まれて出生届を出しに市役所に行くと、おくるみをもらった、そんな経験がある方もいるかとおもいます。今月は、出産記念品を起点とした官民連携の事例です。
ざっくりいうと、出生届の提出時に森永乳業のスティックタイプ粉ミルク(1箱10本入り)を出産記念品として配布をはじめた、というニュースです。
同じタイミングで、岬町(大阪府)と四條畷市(大阪府)も森永乳業と協定締結しており、3自治体合同での締結式となりました。
「いやいや、粉ミルクもらえるってだけでしょ? ただの記念品配布じゃない?」
そう思った方、ちょっと待ってください!
山本優真泉南市長のコメントを読むと、その背景がよくわかります。
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「泉南市は、子育て支援の充実を最重要施策の一つとして位置づけ、子どもの遊び場の整備など、多くの事業を実施してきた。施策実施の中で、既存の出産記念品のおくるみ以外にも、粉ミルクを配布してくれると嬉しいといった声があり、森永乳業株式会社との連携事業は市民ニーズともマッチしている。協定の締結を契機に、子育て世帯に寄り添った環境づくりをさらに進めたい」(泉南市長)
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ポイントは、泉南市が市民の声を起点に「次の一手」として企業との連携を選んだことです。おくるみは継続しつつ、粉ミルクという新しいサポートを市民ニーズに応えるかたちで届ける。「子どもが生まれたまちが、自分たちを歓迎してくれている」という体験を、出生届の窓口でしっかりと演出しているわけです。
単なるCSRじゃない、「ファーストミルク」という戦略
森永乳業側にとっても、これは単なるCSRではありません。
赤ちゃんが生まれて、保護者が一番最初に手にする粉ミルクが森永乳業のもの――いわゆる「ファーストミルク」になることの意味は、マーケティング観点で考えるととても大きいんです。一生のうちで母乳・粉ミルクを使う期間は限られていますが、その「一番最初」に出会うブランドの記憶は、その後の購買行動にも影響します。子どもにとっても、保護者にとっても、まちにとっても、そして企業にとっても、思い出に残る瞬間です。
「企業が自社製品を配るだけ」と捉えるとよくあるサンプリングに見えますが、自治体と協定を結び、出生届という人生のハイライトの場面で、まちと一緒に「ようこそ」を伝える。これは、企業にとっても自治体にとっても意味ある「投資」です。
行政が予算でなんでもやろうとすると、財源はいくらあっても足りません。少子高齢化のなかで子育て予算を増やすことはもちろん大事ですが、それだけでなく、企業の強みや想いを掛け合わせることで実現できることがめちゃくちゃあるんです。
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ちなみに、今回の泉南市・岬町・四條畷市と森永乳業との協定締結にあたっては、弊社・㈱官民連携事業研究所が引き合わせを担いました。締結式にも、弊社代表の鷲見英利が出席しています。手前味噌になりますが、企業の想いと自治体のニーズをつなぐ「翻訳」と「橋渡し」が、官民連携を進めるうえでめちゃくちゃ重要だと、あらためて感じる事例です。
行政が「To G(行政営業の対象)」として企業から売り込まれるのではなく、行政と「With G(ともにつくる)」のかたちで一緒に子育て世帯を支えていく。この発想の転換が、これからの官民連携のスタンダードになっていくと信じています。
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