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#地方公務員が気になるニュース 令和7年6月23日(図書館)

記事タイトル:図書館が多く、充実している街ほど要介護者が少ない 高齢者7万人調査で明らかに
https://naokoiwanaga.theletter.jp/posts/dba04fb0-3ab7-11f0-9d18-49048416abf0
(文=西村 飛俊)

慶應義塾大学の佐藤豪竜講師の研究によると、図書館の人口当たり蔵書数が多いまちに住む人ほど、介護が必要になる(要介護認定)ことが少ない、ということが統計的に示されました。
本論文はオープンアクセスになっており、下記から読めます。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2352827325000163?via%3Dihub&f

この研究は数字のインパクトがすごくて、図書館の蔵書数が人口当たり1冊増えると要介護リスクが4%減、10冊増えると約34%減、図書館が1つ増えると48%減となっています。
交絡因子の調整もそれなりにされており、たとえば市の財政力指数(お金持ちの自治体に住んでいるから健康である可能性)とか人口密度(都市部の自治体に住んでいるから健康である可能性)などの因子は取り除かれています。
しかも、個人的因子では読書習慣についても考慮されており、読書習慣の有無に関係がなく蔵書数と要介護リスクに負の相関があるとされています。
かなり精緻に要因をコントロールしながら分析されていて、エビデンスとしても注目に値する内容です。

ただし、厳密には図書館と要介護リスクには「相関がある」とされているのであって、実際に人口10万人のまちが10万冊の本をこれから増やしたとして明示的に4%の効果があるかどうかはわかりません。
しかし、図書館の蔵書数に要介護リスクが影響されると示されたのであれば、図書館の充実の理由のひとつとして健康を挙げてもよい、ということは言えそうです。
なぜ図書館の蔵書数が要介護リスクに影響を与えるのか、ここではいくつかの要因が挙げられていますが、主には「認知面」「社会面」「身体面」の3つが挙げられています。
読書をすることで知的好奇心に満たされ、図書館に行くことは社会参加のきっかけとなり、そもそも出歩くことで軽度の運動になる……と、それぞれ想像に難くありません。
福祉と図書館を結びつける動きはいままでもありましたが、大規模なコホート研究を利用したものは(少なくとも図書館情報学側からのアプローチとしては)なかったように思います。

この研究をきっかけに、今後は政策的な議論も進んで実証実験などに動きが繋がっていくとおもしろそうです。
以下では、記事内にも登場する志段味図書館の元館長藤坂さんの取り組みについて少し書いてみます。


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