(PR) 学びと人脈が自宅で手に入る。全国で300名以上が参加する、地方公務員オンラインサロンの詳細はコチラ

吉川牧人6

事例を知る 人を知る 教育

【掛川西高等学校 吉川牧人 #6】協賛金を生徒が集める「掛川城プロジェクションマッピング」

専門家と生徒を直接つなげる

加藤(インタビュアー)前回、コロナと戦う病院の壁面にメッセージ動画を投影したお話がありました。それとは別に、掛川西高校では掛川城にプロジェクションマッピングを投影する取り組みもありますよね。

吉川氏:はい。本校は昔の掛川城の敷地内であった場所にあり、真横にお城があるのでそれを眺めながら学校生活を送っています。そういう身近な存在に自分たちのクリエイティブなものを投影してみたい、そして地域の活性化に貢献したい、そういう思いから掛川城プロジェクションマッピングの取り組みが始まりました。

加藤:そもそも、学校と地域を繋げる取り組みはどのようにして生まれたのでしょうか。

吉川氏:私は研修課長をしているのですが、一般的な職員研修では専門家をお呼びして教員が受講するんですね。じゃあ教員が学んだ後、どれだけ生徒に還元できるかと言えば、ほんの一部になってしまうじゃないですか。これは大きなロスだと思いました。
 ですからせっかく外部の人を呼ぶなら直接生徒と結び付けた方が、化学反応が起きると思ったので、そこから派生して地域と生徒が協働するプロジェクトになっていきました。

重要性が増している動画制作スキル

加藤:そもそもプロジェクションマッピング自体、すごく難しそうな印象があります。

吉川氏:最近はスマホやタブレットが高性能になっているので、マッピングの型さえ作ってしまえば意外と簡単にできます。極端に言えば、もはや生徒のスマホだけで動画制作をして実現できるレベルになっていますね。

加藤:スマホでの動画作成は年々身近になっていますよね。

吉川氏:実は大学の推薦入試でも、このコロナ禍によって動画の審査もあるんですね。あとは私自身がAppleやGoogle、Microsoftの認定教育者なのですが、その認定でも動画の提出があります。つまり、動画を作って提出する機会は年々増えている中で、その重要性を感じていました。
 今の生徒たちはYouTubeで動画に馴染みがあったり、スマホのアプリを触っていたりするので、自分たちで勝手に調べて動画を作れてしまうんです。そのため私の世界史の授業では1年間に何度も動画を作って発表する機会を設けて、アウトプットの機会を増やすようにしています。

ストーリーを共有しながらプロジェクトを進める

加藤:掛川城のプロジェクションマッピングも、その動画制作スキルを上げる目的があるのでしょうか。

吉川氏:この取り組みの大きな肝は、実は映像制作にはありません。むしろプロジェクトの全体管理・進行が重要なポイントなんです。例えば足場を作るときは地元の掛川工業高校と連携して行い、年々改良されそのクオリティもあがっています。
 そうやって地元や地域をどんどん巻き込みながら、今では掛川市内外の小中高生が一体となって取り組む非常に幅広いプロジェクトになりました。

加藤:どうやって仲間を増やしていかれたのでしょうか。

吉川氏:このプロジェクションマッピングは、もう10回以上やっているんですよね。掛川城で8回と、他でもやっています。
 その中ではっきりしたのが、ただ綺麗に映像を映すだけだとすぐに飽きられてしまうんです。そこで何より大切なのは、作り手と受け手がいかにストーリーを共有しているかだったんですね。

加藤:同じ思いの仲間になってもらうのが大事なのですね。

吉川氏:その通りです。恐らく人は映像の綺麗さよりも、そのストーリーに感動するんじゃないかと気づき始めました。ですから、プロジェクトでは最初に生徒の中でブレインストーミングやディスカッションをしっかり行い、ビジョンやコンセプト固めを重要視しています。
 そこに時間をしっかりかけると、結果的に共鳴する人が増えます。海外の学校や特別支援学校とも連携しているので、その多様性もさらに価値を生んでいく。そうして丁寧に一つのクリエイティブを作り上げて、仲間が増えていくと思います。

ビジネスの経験ができる

加藤:この取り組みには協賛企業がいますが、これは生徒自ら提案しているそうですね。

吉川氏:そうなんです。私が海外を視察して思っていたのが、海外の学校では日本に比べてお金を稼ぐための授業が多いんです。子どもたちが起業をして、自ら道を切り開くのが教育活動の主軸になっていると感じます。
 では日本の学校で今どんな取り組みが必要か考えた時、企画書を作って企業に提案をする、そしてお金を出していただく経験だと考えました。

加藤:それをこのプロジェクトに取り入れているのですね。

吉川氏:この取り組みにはサポーターグループがあって、そこにはベンチャー企業の社長さんがいるので、一緒に企画書を作っています。その企画書に対して協賛を受けられたら請求書を出したり、振り込まれたら領収書を出したり、そういう実際のビジネスと同じ体験ができるプロジェクトになっています。

ビジョンの力

加藤:吉川さんのお話には、よくビジョンの重要性が出てきますよね。様々な取り組みをされるうえで、大切にしているポイントなのでしょうか。

吉川氏:私は、ビジョンを発信して共鳴してくれる人を増やしたいんです。発信から自然と協力者が生まれる土壌ができて、実際にプロジェクトがスタートしたら、実は私自身が労力を割いている部分はほんの一部なこともあります。
 そういう力がビジョンにはあると思うので、こだわって伝えていますね。

(取材=加藤年紀 編集=小野寺将人)

▼「地方公務員オンラインサロン」のお申し込みはコチラから
https://camp-fire.jp/projects/view/111482
・時間、場所、費用にとらわれず、月に2回活躍する地方公務員や首長、著名人のお話を聞くことができます
・地方公務員が大手メディアに寄稿することが可能となります

▼「HOLGファンクラブ」のお申し込みはコチラから
https://camp-fire.jp/projects/view/111465
・月額500円から、地方公務員や地方自治体を支援することが可能です

※本インタビューは全8話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

他のインタビュー記事を読む

-事例を知る, 人を知る, 教育
-

© 2020 Heroes of Local Government , All Rights Reserved.