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【元大東市 入江智子 #4】市と発注先業者の信頼関係はマイナスから始まる

市を完全に退職するかもしれない

加藤:いま入江さんの立場は出向なのでしょうか?

入江氏:まちづくり会社が公益的法人等にあたるよう市の規則改正を行い、「公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律第10条第1項の規定により、大東公民連携まちづくり事業株式会社へ派遣するために職務を免ずる」という辞令を貰っています。

 給料は市からは出ず、協会けんぽに加入しており、身分上は公務員ではなく「民間人」です。北条のまちづくりで、地元や民間の方が「戻るな!」と言ってくれている間は戻らないつもりです。

加藤:市は戻って来る前提で考えているのでしょうか?

入江氏:そうですね。おそらく、まちづくり会社が回るようになってきたら私を戻し、別の人を出向させるつもりだと思います。

 ただ、関わって下さる民間人の方の中には、「入江がすぐ役所に戻るんだったら俺は関わらないぞ」という人もいて、引き止めてくれるうちは責任持って残りたいというのが本音ですね。場合によっては、市を完全に退職するかもしれません。

加藤:大東市とはどのように連携していますか?

入江氏:事業を進めるにあたって、市役所のいろんな部署との協議が必要になりますが、窓口は地方創生局で一本化してもらっています。だから、私たちが道路課と直接話することは基本的にありません。ただし、市と関係は密ですが下部組織ではありません。
 また、市としてもうちのような関わりをする会社が新たに生まれるように、この3月に「大東市公民連携に関する条例」というものを作りました。

オガールプロジェクトに研修目的で参加

加藤:まちづくり会社を健全に運営するため、入江さんは2016年の4月から12月までオガールプロジェクトへ研修目的で参加しました。この期間は何をされたのですか?

入江氏:オガールプロジェクト全4棟の最後の建物がオガールセンターというのですが、それを運営するオガールセンター株式会社に出向しました。タイミングとしては、そろそろ設計が終わり、工事がスタートする時。その工期が12月までだったので、地鎮祭から竣工のオープニングパーティまでの期間滞在しました。

 オガールのプロジェクトでも、テナント付けた後に設計をするところが一番大事で、そこはプロジェクトを主導した岡崎正信さんがやっていたんですけど、岡崎さんの代わりに関係者との定例会に出て岡崎さんの意図を伝えたり、各テナントに貸す契約とか、建物の維持管理のためのお掃除会社とのメンテナンス契約などを行ったり、実際の工事現場をチェックしたりもしました。あとは、直営のパン屋をテナントとして入れたので、それは会社の立ち上げから商品開発、職員の採用までやりました。

市と発注先業者の信頼関係はマイナスから始まる

加藤:市役所から出て、何に変化を感じますか。

入江氏:変化だらけですよ。スピード感とかはもちろんですが、その中でも一番はやっぱり、企業同士のコネクションの作り方とか、契約に至るまでの手順が全然違いますね。市役所は公正公平を旨とするので大体なんでも入札じゃないですか。「あなたと仕事したい!」では始められない。

 市役所の時に何百本も工事を発注してきましたけど、入札で決まった業者さんと初めて会った時って、信頼がマイナスから始まるんですよ。「この業者は随分安く叩いて。どこかで手を抜いたり、追加工事費を言って来そうだな」というような始まり方をする。
 最後、工事が終わる頃には「意外と良い業者さんだったな」となったりもするんですけど、民間企業同士は違うじゃないですか。オガールのときも契約の日に酒盛りみたいなになって、信頼がマックスから始まる。この差がすごいなって思いました。

 同じ工事が終わるまでの過程をみても、市では廃棄物を不法投棄しないように追跡写真を撮らせたり、どんなところに下請けに出しているのかなど全部書類を出させる。そうやって、お互いにものすごく労力を使って竣工を迎えるんですよ。

 でも民間工事でそんな変な事をしたら、次から絶対仕事が来なくなるじゃないですか。施主の顔に泥を塗るようなことはしない。だから、公共工事の時に私が何十時間も何百時間もかけてチェックしていた書類が民間工事では必要最低限しか存在しないんですよ。にもかかわらず出来上がったものは、はるかに良いものなんです。引き渡し後も、管理する側、修繕する側として付き合いは続くのですから、竣工後の方に目を向けているのとの違いでしょうね。

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