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林有理5

人を知る

【四條畷副市長 林有理 #5】職員を知り、職員を好きになりたい

日本語同士でも通じ合えない

加藤(インタビュアー):就任以降、林さんが苦労されたポイントはどんなところでしたか。

林氏:たくさんありますが、やっぱり言語が通じないのは大きかったです。最初の頃はよく部長級と喧嘩をしていたんですけど、そもそもの言語の違いが原因になっていたと思います。
 こちらが「それが当然だよね」くらいの気持ちで話していることが皆さんにとっては非常識なことなので、日本語同士なのに通じ合えないことが多くて。

加藤:民間と行政の文化の違いを目の当たりにされたのですね。

林氏:「何で分からないんだ」ってお互い思っているみたいな(笑)。今思えば、部長級の皆さんはすごく頑張って私を理解しようとしてくださったのだと思います。
 ですので私も皆さんが何を考えてるかまず知りたい、この人を好きになりたい、みたいな気持ちでぶつかっていましたね。

常に値踏みされてきた

加藤:職員とのコミュニケーションで気をつけたことはありますか。

林氏:コミュニケーションで心掛けていたのは、相手の過去を否定しないことですね。何度も部長級に伝えていたのが、「私は何かを壊しに来たわけではなくて、より良い方向に行きたいだけ」という話です。
 私みたいな人間は、やっぱり常に値踏みされているわけじゃないですか。外から急に現れて、30代の小娘が何を言うんだっていう。「よそ者・若者・馬鹿者」って言葉がありますが、私はこれに全部当てはまっちゃっているので(笑)。

加藤:たしかに警戒はされますよね。

林氏:部長級は50代以上の人生の先輩ですから、しっかりと敬意を示さなければいけません。信頼関係がないと良い組織にはなれませんから、相手個人の否定だけは絶対にしないように気をつけています。
 次第に仕事以外の雑談もするようになって、お孫さんの話とか、病気で手術が不安だとか、そういう会話もしつつ、少しずつ関係性を築き上げていく感じでした。

民間と行政の財政構造は違う

加藤:これから行政で仕事をしたいと考える民間人が増えると思います。先に知っておくと良いことはありますか。

林氏:一つは財政構造の理解ですね。民間の財政の仕組みとは全然違いますから、そこを具体的に理解しておくと良いです。
 そもそもどんな収入がどこから来ているのか、国への頼り度合いも含めきっちり理解しておかないと、優先順位をつけることも難しくなるので。そこは私自身もっと勉強してから入るべきだったと反省しています。

加藤:外から見ていても理解は難しいですよね。

林氏:もちろん一般的な勉強をしてはいたのですが、入ってみると全く違っていて。こういうところも、言語が分からない部分の一つでしたね。

役職の役割を明確にする

加藤:林さんが次に着手したいと思っている組織改革はありますか。

林氏:これまでは現場のトップである部長級を見て来ましたが、一定の成果は出てきたと思っています。ですので、次は課長級を中心としたミドルマネジメント層ですね。
 ミドルレイヤーの仕事を明確化して、役割のマトリックスを再設計したいと思っています。そもそもマネジメントに向かないプロフェッショナルタイプの方もいるので、その辺りの整理はしたいですね。

加藤:たしかにプレイヤーでいる方が組織や本人のためになる人はいますよね。

林氏:そうなんです。そこをミドルレイヤーから切り分けられるステップがあると良いなと。本当は今年やるつもりだったのですが、コロナ対応で人事がバタバタになったので来年になりました。
 このマトリックスの整備ですごく参考にしている会社があって、「リンクアンドモチベーション」さんなんですけれども。

加藤:人事コンサルティングに強い会社さんですね。

林氏:はい。一つ真似しやすくて良いなと思ったのが、組織の各レイヤーが目指す人物像を、歴史上の偉人の名前にしているんです。
 例えば、新人であれば進化の象徴「ダーウィン」、若手・中堅は挑戦者「コロンブス」、管理職は大義の「リンカーン」という具合に、パッとイメージしやすくなっています。役職名っていまいち何をする人なのか分かりにくいので、それを補う愛称があると面白いなと。

加藤:たしかに分かりやすいですね。ここ数年はフラットな「ティール組織」も世間では注目されていますが、自治体組織には合うと思いますか。

林氏:ティール組織の基本的な考え方はとても良いと思っています。ただ行政としては、特に福祉や防災・災害系で指揮命令系統がしっかりしている縦の必要性も感じます。このコロナ禍でもそう思う場面は多かったですね。
 ですのでティール組織が持つ柔軟な部分と、この縦の強さとを良いバランスで実現できると良いですね。サッカーチームのように、それぞれの役割分担が明確にありながら状況に応じて柔軟に対応するのが理想だと思います。

(取材=加藤年紀 編集=小野寺将人)

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※本インタビューは全6話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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