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【横浜市 林琢己副市長 #4】公務員の仕事にルーティーンはない、ツッコミよりもボケろ

林琢己副市長_4

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仕事にルーティーンワークはない

加藤(インタビュアー):役職が上がるにつれて必要になるスキルや考え方はありますか。

林氏:そんな偉そうに言えるスキルはないんですけど、「仕事にルーティーンワークはない」ですね。役所では、大量の書類を機械的に、歯車的に処理しなければならないものもあります。私も特に新人の頃はそういう仕事を任されました。窓口対応もルーティーン化しやすい面があります。一番怖いのは、思考がルーティーン化することです。

加藤:ルーティーンワークは何が良くないのでしょうか。

林氏:職員が自分の仕事をルーティーンワークだと思うようになると、やり方自体に問題がないかなど、深く掘り下げないんですよ。「この仕事はこういうもんだ」という意識が、前例踏襲に陥る原因じゃないですか。横浜市でも、「過去何十年、不適切な状態を続けてきました」といった案件が出てきますが、そういう場合が多いです。基本はゼロベースで仕事を見つめなおし、必要性、改善点、など常に求めることが大事です。

加藤:前例踏襲はよくキーワードになりますね。

林氏:地方公務員の中には、そういう規則的な仕事をするのが普通だと思っている人が多いかも知れないけど、それは違うんですよね。自分で課題を見つけて改善することが、本当の基礎力に繋がります。そういう積み重ねによって、仕事の幅を広げることで成長できれば、どのような分野でも創造的な仕事をやる喜びも得られますよね。

場数で人は成長する

加藤:その成長のためには、具体的に何が必要になるのでしょうか。

林氏:それはたくさんの場数を踏めるようチャレンジしていくことです。これは役所内で色々な分野の仕事を経験することも、もちろん大事ですが、地域活動や趣味など私生活でも色々な場数を踏めると良いです。視野が広がるし、色々な人との繋がりが多様性を受け入れる人間力の強さに繋がりますから。

加藤:場数によって人との繋がりが生まれて、それがまた成長に繋がるのですね。

林氏:そうですね。もちろん役所内でも上司部下に限らずネットワークは大切で、私は今でもこれまでに繋がった仲間に助けられながら仕事をしています。自身にスキルのないデジタル関係なんかは特にそうです。そうやって分からなくても自分から求めて場数を踏んでいくと、結局ネットワークの広さや、縦割りにはまらない発想力、現場力の強さみたいなものが身についてくるので、仕事の幅をグッと広げられると思います。

地元住民と同じ土俵に立てるか

加藤:今のネットワークの話は、パートナーシップの話とも繋がりますね。

林氏:もちろん繋がります。ただし、役人にありがちな課題なんですけど、パートナーシップを本当の意味では理解できていない場合が多いんですよ。例えば地元の会合に出席したとき、地元の人たちは我々の何を見ていると思いますか。一つは、座る位置なんですよ。

加藤:どこに座るかが重要なんですか。

林氏:地域の懇談会などでよくあるのが、メインテーブルではない、後ろにある丸イスに職員が座ります。「主役は市民の皆様。我々は支援します」という感じです。どうしても受け身になってしまいます。謙遜しているようにも見えますが、住民側から見れば本気ではないと思われてしまう。同じ土俵に立つのか、立たないかで、やっぱり違うんですよ。

加藤:パートナーシップは、あくまで対等な関係ですもんね。

林氏:そう、加藤さんがお仕事をしている生駒市の小紫市長も言われていますよね、自治体職員の最終的なスキルは地元との信頼関係を創る力なんですよ。そのパートナーシップの本筋をどこまで理解できるかが肝になってくるのかなと思います。

野球型よりもラグビー型

加藤:ご経験から、管理職には何が大切だと思いますか。

林氏:よく仕事の仕方をスポーツで例えるんです。私は野球が大好きなんだけど、「野球型の仕事はやめよう」と言っています。

加藤:なぜでしょうか。

林氏:野球ってポジションが明確で、守備位置も決まっていて、バッターボックスには一人ずつ立つので、縦割り型スポーツと言えますよね。イチロー選手でさえもどんなに頑張ったって走ってもサードゴロは捕りにいけないですよね。
 でもラグビーやサッカーは、ポジションはあれど攻めも守りも臨機応変に全員でやります。しかも原則決められた時間内で行います。だから局長時代は、みんなでサッカーやラグビー型で仕事をしようと言ってきました。そうすれば、病休などの対応も、チームでカバーしやすくなりますし、ひとり残って残業というスタイルも無くしていけます。

加藤:役割を横断して、臨機応変に仕事をする必要があるのですね。

林氏:役所は、組織体制がしっかりしており、稟議制度も整っているので、ラインとしての責任制は明確ですが、その文化に漬かりすぎると縦割り思考になることを意識しなければいけません。最近の新型コロナ対策や、脱温暖化対策、DXなど、組織の枠を超えた課題が加速的に増えており、組織横断的な対応が求められていますよね。当然、縦割りに漬かりすぎた組織文化だと対応力を失ってしまいます。そんなときに、チームとして補完し合って仕事をする必要があるし、そこではリーダーのコーディネート力も問われると思います。

ツッコミよりもボケを覚えろ

加藤:他にも自治体の管理職が大切にして欲しい考え方はありますか。

林氏:「偉くなるほどツッコミよりボケを覚えろ」ですかね(笑)。要するに役人ってツッコミは得意なわけですよ。「これがおかしい」「ここができていない」って言うのが仕事だと思っている節の人がいます。

加藤:そうなりやすいんですね。

林氏:せめて係長までなら、まだ職員と一緒に細かいチェックもするだろうけど、課長や部長になってまで同じ姿勢の人がいます。ICT活用なんか知識もないのに、色々つっこみを入れてアイデアを潰してしまうこともあるわけですよ。それでは職員も伸びないし、組織の活力も失われる。むしろ職位が上がるのと比例して、ツッコミよりもボケて任せる力が大事なんです。

加藤:ボケる力。

林氏:管理職は、責任があるので色々チェックしたくなるのが本能かもしれません。一方で職員の発想力や課題解決力を最大限に引き出していくことが、上司の役割と理解すべきです。方向性があっていれば、チェックは必要最低限に止め、支援的に導いていくのが大切でしょう。そのためには良い具合にボケた方が上手くいくんですよ。例えばICTなんかは詳細までわからないので、色々なリスクが含まれているかもしれない。それでも、やるべきだと思ったらちゃんと背中を押すし、何とかなるリスクは上司が引き受けていくんです。リスクの濃淡は、これまでの「場数」や「ネットワーク」から得られる情報力で判断できるようにするんです。管理職はそういうスキルを上げて、良い具合にボケながら、職員や組織の成長を促すのが大切だと思います。

(取材=加藤年紀 編集=小野寺)

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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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