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【横浜市 林琢己副市長 #1】副市長が4人 横浜市の副市長の仕事とは

林琢己副市長1

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【林 琢己(はやし たくみ)経歴】
1985年に横浜市に入庁。南区区政推進課長、市民局区連絡調整課長、市民局市民協働推進部長、区政支援部長など、主に市民協働や区政部門に従事。2009年から2012年まで、ボランティアとして、コミュニティカフェの開設・運営に携わる。2012年から2014年まで金沢区長を務めた後、2015年に経済局長に就任し、IoTやライフサイエンスを活用したオープンイノベーションプラットフォーム「I・TOP横浜」「LIP横浜」を立ち上げ、新ビジネスの創出や社会課題の解決、中小企業の生産性向上・チャレンジ支援に取り組み、現在会員数900超、100以上のプロジェクトを創出。2019年にベンチャー企業成長支援拠点「YOXO BOX」を設置するなど、企業、団体・個人がつながり、新たなビジネスを生み出す「イノベーション都市・横浜」を推進している。2020年4月に横浜市副市長に就任。

 神奈川県横浜市の人口は約377万人(2021年4月時点)。これは、基礎自治体として日本一の数を誇る。職員数も規格外の約5万人(教職員含む)。副市長には4人の名が連なるが、その一角を担うのが同市で多くのプロジェクトを実現させてきた林琢己氏だ。
 変革が難しい大組織で、なぜ林氏は数々のプロジェクトを遂行できたのか。オープンイノベーションの取り組みや地域を巻き込んだ施策、そして、副市長の職に就いた今、同氏の仕事術について伺った。

副市長に求められること

加藤(インタビュアー):林さんは横浜市の副市長をされていますが、副市長にはどんな役割があるのでしょうか。

林氏:市政には様々な仕事がありますが、副市長はそれらをトータルで見る役割を持っています。例えば経済にしても、観光や国際行事、最近ではコロナ対策も関わっているので、それらを横断して見ていく必要があります。

加藤:広い視野と、現場感覚が求められる役割ですね。

林氏:同時に、役職としては市長と実働部隊の間にいるので「痒いところを服の上から掻く」仕事とも言えますね(笑)。私は比較的ぐいぐい仕事を進めるタイプですが、今は痒いからってあんまり手を突っ込むと現場の人たちがやりづらくなるので、そこは気をつけるようにしています。

日本一人口が多い横浜市

加藤:横浜市は日本一人口が多い基礎自治体ですね。

林氏:はい。横浜市の人口は377万人を超えていますが、これは四国4県とほぼ同じ規模なんですね。そう考えると、かなり特殊な都市だと言えます。横浜市には副市長が4人いますが、人口的に言えば四国の県知事さん4人と同じぐらいの規模感なんです。

加藤:そう聞くと、どれだけ人口が多いか分かりますね。

林氏:そのフィールドの大きさが、横浜市の市政に関わるメリットの一つだと思います。私の体験でも、地域の町内会で膝を突き合わせる仕事から、国際的な交渉まで実に様々なんです。ただし、2千万以上の人口を抱える上海市長には「300万人ぐらいで羨ましい」って言われました(笑)。中国では人口1千万人以下は大都市ではないようです。政令指定都市の特殊性は色々ありますが、現場と直接向き合うのが基礎自治体である市町村であって、規模にかかわらず共通項があると思います。

2020年1月に竣工した横浜市役所新庁舎

2020年1月に竣工した横浜市役所新庁舎

副市長はコーディネーター

加藤:林さんは日々、どのようなお仕事をされているのでしょうか。

林氏:それは難しい質問ですね(笑)。常にその時期の重要事項を扱う仕事ですから、タイミングによって全然違ってくるんです。週3回は4人の副市長が集まって、筆頭副市長である平原氏を中心に情報共有をして、連携して政策を進めています。

加藤:4人の副市長の中で、林さんはどのような役割を持たれていますか。

林氏:私の分担としては、成長戦略に関わる部分が多い、サッカーでいうところのフォワードですね。前に区長や経済局長をやらせていただいたので、その経験を生かせる役割を頂きました。担当は、財政局、国際局、市民局、文化観光局、経済局、そして、市内の6つの行政区もみています。

加藤:攻めの役割の中、財政局を担当されているのも面白いですね。ちなみに、経済局長から副市長に立場が変わられて、どんな違いを感じますか。

林氏:やっぱり実働部隊を直接率いているか、そうでないかは全然違いますね。経済局長は、地元企業や商店街の未来を描きながら職員一丸となって頑張るんですよ。
 一方で副市長は全体を見渡さないといけなくて、国や県などの動向、財源確保の見込みなどを押さえながら、コロナ対策やそのための応援体制の整備、事業者への支援や区役所の窓口対応など、様々な調整をしていくんです。イメージとしては、コーディネーターのような仕事をしている感覚がありますね。しかし、状況によって直接現場に出向いて、市を代表して交渉や調整を行うこともよくあります。

接着剤として、コラボレーションを推進

加藤:林さんが重点的にアプローチしたいテーマはありますか。

林氏:色々ありますが、テーマは「接着剤になる」です。
 私は噴出する社会課題を解決していくためには、市民はもとより、産学官などあらゆる領域の人たちが横断してパートナーシップを組まないと、実現できないと思っているんですね。そのためには、役所側から積極的に呼びかけないといけないと思い、様々な主体を接着すべく働きかけて、掛け合わせて化学変化を期待するんです。

加藤:どんな仕掛けでしょうか。

林氏:例えば、百貨店と女性起業家の掛け合わせです。小売りの経験の少ない女性起業家に、大手百貨店などの夢のような舞台を用意して、販売体験をしてもらい、アドバイスも頂くのです。役所が接着剤になることで、敷居が下がります。百貨店にとっても、新しい業態と出会えて、アンテナショップの効果もある。起業家を役所で育てるのではなく、「まち」で育てる考え方です。

加藤:すごく面白い発想ですね。

林氏:従来は、空き店舗スペースを用意して、女性起業家に販売体験をしてもらうような、丸抱えの手法でした。それでは、「頑張れ頑張れ」って言っても可能性は広がりにくいじゃないですか。だから発想を変えて、借り上げ費用はカットして、百貨店に協働の申し入れをしたわけです。百貨店側も最初は一部しか反応してもらえませんでしたが、年々広がりが出てきました。この発想を出したとき、経済局内でも半信半疑の雰囲気も感じましたが、始めてみると職員の方がアイデアを出すようになり、バイヤーが多く集まる目利き会のようなイベントまで生まれて、どんどん盛り上がっていきました。

加藤:役所が接着剤になると、ありがたいですね。どれぐらいの実績が出ましたか。

林氏:様々な主体の協働を広げるために、二つのオープンイノベーション・プラットフォームを立ち上げました。例えばIoTの分野だと『I・TOP横浜』というプラットフォームを5年前に立ち上げました。企業・大学・団体・起業家・金融機関など、業種や規模の枠組みを超えて、IoTビジネスを目指すプレーヤーの「連携」「マッチング」を実践する場で、現在、500者以上が参加してくれています。オープンイノベーションは協働による創造力を信じ切らないと踏み出せない施策です。KPIも設定しづらい。最初は予算も中々認めてもらえない状況もありましたが、粘りに粘ったところ、やっと認めてもらいました。粘れたのは、まったく異分野ですが、ボランティアとして地域の人たちと一緒にコミュニティカフェをゼロから立ち上げ、アイデアを出し合って運営した体験が大きかったです。協働の力を信じ切って走れました。これまで『I・TOP横浜』や『LIP・横浜』では、自動運転やスマートハウスの実証実験など、様々なプロジェクトにトライし、新しいビジネスの可能性を広げています。

(取材=加藤年紀 編集=小野寺)

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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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