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松坂健の「トラベルスクエア」

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ホテル三日月の体験を資産に【トラベルスクエア】

松坂健の「トラベルスクエア」

[記事提供=旬刊旅行新聞]

 いやあ、この新型コロナウイルス。超深刻な問題であることは間違いない。連日、観光地がガラガラで、あのにぎわいを見せていた浅草だってガラガラ。私事ながら、兄が新仲見世という仲見世と直行する商店街で靴店を営んでいて、割に繁盛店として有名なのだが、この2月、3月は、開業して50年で毎日最低の売上だという。SARSの時よりもリーマンショックの時よりも、さらに3・11の後よりも、はるかに客数が少ないという。
 そんななかで唯一、旅館業が社会貢献を果たしたと我が事のように喜ばしいのは、千葉勝浦のホテル三日月さんが、ダイヤモンドプリンセス号からのお客の隔離場所として手を挙げ、立派にその役目を果たしたことだ。
 スタッフへの感染、地域からの反発も予想されるなか、本当によくやったと拍手ものだ。
 そこで、提案だが、ことの騒ぎが収まったころでいいから、この隔離措置となった2週間、館内のスタッフの動き方、注意した点などをきちんと整理し公表してほしい。
 実際、キッチンでは調理スタッフがどのような格好で、どんなシフトで、またどんな調理・配膳手順で、200人を超えるお客さんたちに食事を提供したかのプロセスを知りたいと思う。
 かのクルーズ船の内部も時々報道されていたが、キッチンなどかなり混乱したようすが見られる場面もあった。起こってしまったことを、さらに深刻化させないためにも、事後のこのような供食体制の整備マニュアルの完備が業界として求められているのではないだろうか。
 この三日月さんの事例はなるべく早く業界共通の財産として生かしたいと思う。
 というのも、嫌な話だからさっさと済ませたいのだが、南海トラフ地震や都市直下型地震が起きる確率もそれなりにあると報じられている昨今だ。今のような疫病ではなくとも、衛生面でのパニックが起きかねない。そういう天災であっても、ホテルや旅館はシェルターとしての機能が要求されることは必至なのだから、そこでの供食体制でいかに衛生を徹底させ、被害を最小に留めるかの事前の用意は必要だと思う。
 こんな話は今、聞きたくもないかもしれないが、そういう災害時のことを常に考えている姿勢が、この業界にステータスを与えていくのではないだろうか。
 それにしても、ビュッフェ型の食事提供も大きな曲がり角に来ている。今と同じ仕組みでやっていても、盛り付けは対面販売個別型になれば、人件費削減につながらなくなるし、商品の「作り置き」にも厳しい視線が注がれるだろう。
 今回の疫病騒ぎは本当に、あらゆる局面を変えてしまうディープインパクトだと思う。

松坂健
オフィス アト・ランダム 代表 松坂 健 氏
1949年東京・浅草生まれ。1971年、74年にそれぞれ慶應義塾大学の法学部・文学部を卒業。柴田書店入社、月刊食堂副編集長を経て、84年から93年まで月刊ホテル旅館編集長。01年~03年長崎国際大学、03年~15年西武文理大学教授。16年~19年3月まで跡見学園女子大学教授。著書に『ホスピタリティ進化論』など。ミステリ評論も継続中。

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