最近、総務省から自治体に、テレワークをするにあたって具体的なセキュリティ対策の要件に関する通知を出したとiJAMP(時事通信の会員制サイト)に掲載されていた。総務省としても今まで自治体にテレワークを推進していた立場であり、内容も含め少し前進するのではないかと思う。
マスコミも自治体のテレワークについて関心が高かったので、なぜできないのかコメントを求められた。(朝日新聞:2020年5月29日掲載「テレワーク、自治体難航 個人情報膨大、セキュリティー課題」)
記者には添付のベン図とともに説明した。そのときは自治体の作業環境の要因が大きいという話をしたが、後に気づいたことがある。
若手の職員たちはテレワークに順応できても、それを許さないという幹部、上司たちがいるということだ。
例えば、一人でウェブ会議にアクセスできないため、部下の手助けが必要な人たちがいる。
また、今まで部下へは見渡して誰かと話していないことが視認できるので、すぐに声をかけられていたが、テレワークだと相手の状況を把握するのにもツールの知識が必要なので、不慣れだと声をかけられない。同僚らと喫煙所や廊下で気軽にコミュニケーションをとれていたが、そうもいかない。無難なメールやチャットが頼りということになる。
web会議ツールを使う機会も増えたと思うが、画面からは表情を読み取りづらく、マスクをしていると、なお厳しい。オーバーな身振り手振りがちょうどよいぐらい。しかし動画は通信量が多くなるので顔出ししない風潮、お断りもある。一方年齢層が高くなると顔が見えないのが不安になるそうだ。音声通話もあるが、専門的なことを話すにはメールの方が良い。
そうやって文章でのやり取りが中心になるので、書く力と読む力がより一層求められるようになる。
企業だと、こういうコミュニケーションが円滑にいくように操縦できる人を配置するよう気を配るが、自治体では、そういった人の育成含めコミュニケーションを円滑にすることによる生産性を低下させることへの抑制がおざなりになりがちなように思う。
こうしてコミュニケーションの手法が変わったことに付いていけない人たちが、必死で抵抗しているように見える。逆に言うと、そういった抵抗勢力がいなくなった10年後にはテレワークが当たり前になっているのだろう。
また、民間企業でも、自治体がWeb会議に応じず訪問を要請しているところもあり、企業の人たちはリスクを犯して移動している実態もある。一方で、多くの自治体では新しい生活様式にあわせたサービスへの対応に補助金、助成金を設けているところもある。それはつまり民間に行動変容を促しているということだが、変革は民間企業だけで良いのだろうか。企業自身も時代にあわせ、積極的に提供サービスを変えて生き残ろうとしているところもあるが、行動を変えようとしない企業は経営が厳しくなっている。自治体も同じことが言われているはずだ。
【高倉万記子氏の過去のインタビュー】
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