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コラム

地方自治体職員とともに歩みたい、ある民間人の独り言-古田智子

【古田智子氏 経歴】
慶應義塾大学文学部卒。株式会社LGブレイクスルー代表取締役。地方自治体との官民連携事業にコンサルタントとして25年携わる。地方自治体職員の人材育成も手がけ、指導した職員数は20,000人を超える。和光市市庁舎にぎわいプラン専門検討委員会副委員長。著書に「地方自治体に営業に行こう!」(実業之日本社)がある。

地方自治体職員最強説 〜官民連携分野で彼らが最強である3つの理由〜

「地方自治体職員最強説」。

これをお読みになっている誰もが、初めて目にする言葉ではないでしょうか。
それもそのはず、筆者が勝手に作った言葉だからです。

自治体職員というと、多くの方が抱くのは残念なイメージばかり。「発想が硬い」「仕事が遅い」「税金で楽な仕事をしている」。だから、これをお読みになっている多くの方々が、「は?なぜ最強?」「そんなはずあるわけないじゃない?」といくつもの疑問符が頭に浮かんでは消えるに違いありません。
では、なぜあえて筆者はこの言葉を口にせずはいられないのでしょう。それは、社会環境の激しい変化に見舞われ将来に不安を抱くすべての法人・すべての個人が未来を拓く「鍵」を手にしている人材、それが地方自治体職員だと確信しているからに他なりません。

多くの読者にとって不可解な筆者の確信が一体どこから出てくるのか?今回のコラムでは、まず官民連携という切り口から紐解いていくとしましょう。

今、地方創生の機運の高まりから、地域活性化のあらゆる分野で官民連携が始まりました。空き家対策、地域での起業支援、観光客を呼び込む様々な施策やイベント。都市部の大手民間企業が先陣を切って地域と組んでビジネスを展開し、包括連携協定を締結するなどでメディアにも取り上げられるようになりました。今まさに民間企業がビジネスパートナーとしての自治体に注目し始めたのです。

こうした背景から昨今盛り上がっているのが、地方創生を目的とした民間企業と自治体職員の交流会。民間企業にとっては、自治体とコネクションを作る絶好の機会です。
この原稿を書いている今もパソコンを開きfacebookにログインすると、IOT、まちづくり、観光などをテーマとした官民連携交流会や勉強会、カンファレンスの情報が画面に次々と流れてきます。自社の製品やサービスで地域課題の解決を目指す企業のキーパーソンやスーパー公務員がゲストスピーカーを務め、ワークショップをしたり、懇親会で盛り上がったり。交流会の結果はもちろんSNSなどに地域に明るい未来を感じさせる文調で投稿され、拡散されています。

さて、問題はその後です。

交流会やカンファレンスで掲げられたビジョンやミッション、具体的な取り組みが必ず通らなければならないのが「実装」というフェーズです。
現場で実装されない取り組みは存在しないのと同じ。実装フェーズで巻き込んでいかなければならないステイクホルダー、それは言うまでもなく地域で長年生活を営んでいる地元住民。あるいは自治会、商工会などの方々。彼らはまさしく「地域」そのものと言っても過言ではありません。こうした地元の理解と合意あってこそ、地域に根を張り未来へと続く取り組みとなり得るのです。
ところが、これがなかなかうまくいかないケースが後をたちません。
地域で取り組みを始めようと都会から移住した人が既存のコミュニティから孤立してしまったり、民間ビジネスの常識と地域の常識のズレから地元の信頼を失い頓挫したり。地域に住んで生活したこともない外部の人間が綺麗事を言っているだけ、と協力が得られないことも。
まさに官民連携の「闇」の部分です。
こんな残念なことがあるでしょうか。

では、仮にこうした残念な状態が生じたとして、調整や合意形成に力を発揮できるのは一体誰でしょうか。全体最適を視野に入れつつ地元の頑固なおやじさんや地域に影響力を持つ農協や漁協、商工会や自治会に丁寧な対話をして、計画が絵空事にならないように取り組みを考えた者との橋渡しができるのは誰でしょうか。
それは、外でもない地方自治体職員の方々です。否、地方自治体職員しかいない、と言った方が正確かもしれません。

理由は三つあります。

まず、地方自治体職員個人の持つ地域の人的ネットワーク。
人口の少ない自治体であればあるほど、多くの職員の方々が地元の小中学校を卒業して地元住民に同窓生がいたり、親戚縁者が地域で暮らし働いていたりします。新たなことへの理解を得るのは信頼あってこそ。地縁が信頼獲得の何よりの武器になっています。

次に、上記と同じ理由で、地域で生まれ育っているがゆえ、地域の隅々まで詳しいこと。
〇〇の情報はあの地域に昔から住んでいる誰それが知っている、など、地方創生を掲げて都市部から地域に乗り込む人材がどんなに優秀でビジネススキルが高くても、情報のありかがわからない以上こうした地方自治体職員には遠く及びません。

最後の三点目は、腹の括り方と覚悟。
地方自治体は、何があっても地域から逃げ出すことができません。
例えば民間企業の製造工場。社会情勢の変化などを理由に閉鎖してその地域からいなくなってしまうのはよくあること。地域ビジネス目的に移住しても、うまくいかないことがあれば「やっぱりやめた」と地域を去ってしまう起業家もいるでしょう。
一方、地方自治体職員の方はどうでしょう。地域住民からいわれのないハードクレームを受けようと、財政状況が厳しくなろうと、事務量がどんなに増えようと、絶対にその場から逃げ出すことはありません。地域の課題を正面から受け止め、住民と真摯に向き合い根気よく対話し続ける。そんな彼らの姿は、プロレスで極悪なヒールが繰り出す必殺技を顔を歪めつつも雄々しく受け続けるベビーフェイスさながらです。
中長期的に地域で官民連携を進めようとする民間企業にとって、これ以上頼もしい相棒がいるでしょうか。

筆者は、長年あらゆる領域の自治体職員の方と一緒に仕事をしてきました。少なくとも私と一緒に仕事をしてきた職員の方々は全員、地域のプロとしてふさわしい法的知識と調整力と、多くの人に役に立ちたい、地域をなんとかしたいという真っ直ぐな心を持っておられました。お一人の例外もなく、です。

都市部でどんなに地方創生の機運が盛り上がろうと、スタイリッシュな会場で優れたビジョンやミッションが美酒とともに語られようとも。
地方自治体職員が現場で動くことなしには、実現に向けて1ミリも進むことはないのです。

官民連携がどんどん進み、生まれ育つ誰もが未来に明るさを感じられるような地域。その未来を開く鍵を手にしているキーパーソン。
それが地方自治体職員その人であり、彼らこそ最強であると筆者が信じて疑わない所以なのです。

さて、次回のコラムでは「自治体職員最強説」を地方自治体組織という切り口からお話しすることと致しましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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