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【セミナー動画あり】スマホ普及率100%を目指す日高村、デジタルデバイド対応の狙いと打ち手

(HOLG.jp編集長 加藤年紀)

8月に地方公務員オンラインサロンで開催されたセミナー「『誰ひとり取り残さないデジタル社会』実現のために、自治体ができること-日高村の事例から」で、日高村企画課の安岡周総さんが登壇し、日高村のデジタルデバイドへの対応について語った。

本記事ではその一部について紹介する。
安岡さんが語った詳細な背景や具体的な施策内容、取組みを前進させる秘訣にご興味があれば、本記事にあるセミナー動画を視聴いただきたい。

スマートフォン普及率100%を目指す自治体宣言~人口減は課題ではない

日高村のスマートフォン普及率は、令和2年5月に64.5%だったものが、令和4年6月時点で79.7%に向上した。また、人口から子供や障害者を除いた実質普及率は約86%となる。

この成果が注目を集めるが、セミナーを通じて感じた日高村の特筆すべきところは、徹底的に深掘りされた課題設定、対応方針、実施施策だったように思う。

日高村の人口は4,812人、高齢者の割合は43%を占める。毎年、人口が約100人減少しており、このままだと2060年には2,000人程度の人口になる見込みだという。そのような背景の中、令和3年5月に日高村はKDDI株式会社、株式会社チェンジと包括協定を締結しスマートフォン普及率100%を目指す自治体宣言をおこなった。

もちろん、スマートフォンの普及は手段であって目的ではない。この施策の目的は身近なところから住民自治を始めてもらい、役場と一緒に住民が地域課題に向き合う環境を作ることを目指している。では、地域課題とはなんだろうか。安岡さんは「人口減」そのものを課題として設定するのではなく「行政サービスを維持継続するために圧倒的に不足する『カネとヒト』」を課題だと定義している。

もし、「人口減」そのものを課題としてしまうと、その対応策は移民を含めた移住、あるいは、出生率の向上という施策に絞られる。しかし、本当の課題は行政サービス維持の『カネとヒト』の問題であり、そのための解決手法として、デジタル化・DXを進め、効率化と費用削減を進める必要があるという。

DXの解像度を高めて見える不都合な現実

安岡さんは、令和元年の12月にこの着想からスマートフォンを普及させるための事業の企画書を書いたが、役所内で上司の理解を得るのは簡単ではなかった。初めに住民全員に紙で調査をおこない半数以上の回答を得て、自らの課題感を実際のデータと合わせて分析した。そこでわかったことは、日高村の年代別のスマートフォン保有率だった。60代は70%、70代は41%、80代が11%、90代が9%という値、特に70代から80代の壁が大きかった。

解像度をあげてデジタルデバイド層の実態をさらに分析する。その結果、彼らが「高齢者かつ低所得者層」そして、「行政サービスのヘビーユーザー」である点に着目した。もし、デジタルデバイドが解消されなければ、いくら行政サービスのDXを進めても、それが利用されない事態になることを確信した。

デジタルデバイドはどの地域でも解決可能

セミナーではデジタルデバイド対応における課題設定、対応方針、実施施策について詳細に共有がなされたが、最後に安岡さんが残した言葉が印象的だった。「デジタルデバイドの問題はそれぞれの地域の現状に合わせて行うことで、解決可能」だという。

日高村はこの事例を全国の自治体・企業に還元するため、令和5年8月にKDDI株式会社、株式会社チェンジとともに、一般社団法人「まるごとデジタル」を設立。代表理事は、日高村村長の戸梶眞幸さんが務め、設立時点で発起人である日高村を含め8つの自治体が賛助会員となった。自治体は無料で賛助会員になることができ、日高村やその他の参加者の知見を学び、実践していくための支援を得ることができるという。

なお、セミナー参加者のアンケートでは以下の声があった。デジタルデバイドというと、目的にやや抽象的な印象を受けることもあるが、セミナー後にその解像度が高まっていたことがわかる。

  • 「デジタルデバイド対策は、課題の一つとしてとらえていたが、根幹の課題であると認識できた」
  • 「デジタルデバイドの解決は複合的な側面で考える必要があると気づかされた」
  • 「なんのためのデジタル化なのかということを再認識できた」
  • 「事業の経緯や背景、ゴール設定などとても興味深い話を伺えて、知りたかった部分も聞けた」

デジタルデバイドを解決するというのは簡単ではない。徹底的に課題を考え抜き、具体的な施策を実行する苦労を経験しながら、それでも楽しそうに事業を振り返る関係者の様子もあわせてご覧いただきたい。

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