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コラム

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地方都市とO2O(オムニチャネル)

少し前に、ポケモンGOが被災地支援に乗り出すという発表があった。
▼東北・熊本の4県、ポケモンGOで被災地振興 運営会社と連携
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFB10H1E_Q6A810C1000000/
これにより被災地に人が訪れ、お金を落とすことで復興に繋がるとすれば、とても素晴らしいことだと思う。
このポケモンGOの登場により、O2Oというインターネットからリアルに人を集める時代へと少しだけ前進したのではないだろうか(O2Oは昔は「クリック&モルタル」、最近は「オムニチャネル」とも呼ばれるが、それぞれの意味に大差がないのでここではO2Oと呼ぶ)。もともと「位置ゲー」と呼ばれるGPSの位置情報とゲームを組み合わせたものは存在していて、代表的なところでは株式会社コロプラの「コロニーな生活」や株式会社マピオンの「ケータイ国盗り合戦」などがあげられる。
そのほかにも「Foursquare」や、既にサービス終了してしまった「ロケタッチ」など、今のようにスマホ全盛でなく、Facebookを始めとしたSNSのチェックイン文化も存在しない頃から、インターネットで人を動かそうとする取り組みは存在していた。今回のポケモンGOが起こした社会現象は、一部のゲーマーだけでなく沢山の人が位置ゲーに参加することになったので、その果たした役割の大きさは特筆すべきものだ。
O2Oという言葉の定義は時代と共に変化をしており、最近では手法としてインターネットが絡んでいればO2Oと呼ぶようになっている。そういう意味では、最近の地方自治体によるバズ動画はブランディングという観点を含め、面白いものが多い。これまで地方自治体が作るPRの内容は、基本的に観光地をいかに美しく見せるか、特産品をいかに美味しく見せるかしかなかった。これが最近ではより潜在層にPRをするための仕掛けが用意され始めている。
まず有名なところでは、宮崎県小林市 移住促進PRムービー「ンダモシタン小林」があげられる。こちらは小林市の魅力を存分に見せるだけでなく、見終えた後に、字幕をONにして再度見たくなる仕掛けがなされている。ちなみに、小林市の公式サイトを見ると、よほど好評なのか、トップページにこの動画が設置されている。
もう一つ力が入っている動画で言えば、大分県のPR動画である「おんせん県シンフロ篇」があげられる。こちらもぜひ字幕をONにしてご覧いただきたい。取り上げられている温泉に訪れたくなるはずだ。この「おんせん県」のように、県の特徴を一つに絞り取り上げることはブランディング上非常に有効と考えられるが、これを他に実施しているところで香川県の「うどん県」がある。うどん県というフレーズが有名になったあと、香川県が制作したPR動画はうどんを絡めた「うどんのひみつ」である。
ポケモンGOのような位置ゲーや、宮崎県小林市のPR動画など、インターネットが地方都市に人を運ぶツールになる事例は、今後より増えていくだろう。それを成功させるには、インターネットが持つ本質的な価値に目を向けることが重要となる。例えばポケモンGOであれば、「位置情報が取れること」や「いつでもどこでも繋がること」を存分に活かしたものであり、PR動画であれば「双方向性」や「拡散性」を活かしている。他にも、「即時性」を活かして釣果情報を次々とアップすることで集客に成功している釣り船屋などもある。
それほど遠くない未来に、あらゆるものがインターネットに繋がるIoT時代が確実に到来する。そのとき、その時代に沿った打ち手を考えられる人材の確保、体制の整備等を、地方こそ率先して行っていくことで、人口減少や予算規模の小ささなどのハンディキャップを補うことができるかも知れない。地方自治体・地方中小企業こそ、集客手段としてのO2Oについて、今一度検討を進めてみてはいかがだろうか。

小野寺将人
湘南在住。不動産情報ウェブサイト運営会社、お出かけ情報ウェブサイト運営会社にて営業・企画職を経た後、現在は総合ポータルサイト運営会社にて企画職に従事。

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