記事タイトル:「漁業は魚を獲ることだけではない」 海の資源を未来へ 漁業の現場で広がる、“守る”取り組み
https://news.yahoo.co.jp/articles/9b098e81adf9c4e7b789c2030c751eea3a2a7499
(文=中村 広花)
「魚を獲るだけが漁業ではない」資源を育て、守り、地域と繋ぐ新時代
「漁師の仕事は何だと思う?」
そう問われたとき、多くの人が「海に出て魚をとること」と答えるでしょう。
しかし今、日本の海で起きている劇的な環境変化は、その前提を根本から変えようとしています。
兵庫県明石市の明石浦漁協が進める「海底耕耘(かいていこううん)」や、海底に放置された「タコ餌木(えぎ)の買い取り・回収」の取り組みは、まさに「漁業は魚を獲ることだけでは成り立たない」という厳しい現実と、それに立ち向かう漁業者たちの強い覚悟を物語っています。
「獲りすぎ」だけではない、海の貧栄養化と環境変化
長年、水産資源の減少といえば「過剰漁獲」ばかりが注目されがちです。
しかし現場では、下水処理技術の向上や陸域の環境整備に伴う「窒素・リンなどの栄養塩の不足(栄養不足による豊かな海の衰退)」という深刻な課題に直面しています。
「海がキレイになりすぎて魚やノリが育たない」という構造的な問題に対し、自らの船を出して畑を耕すように海底を掻き混ぜ、底の栄養を巻き上げる漁師さんたちの姿は、まさに海を管理・育成する「海の農家」そのものです。行政主導の環境保全ではなく、現場の漁業者自らが立ち上がり、海の生態系を再生させようとする試みはとても素敵。
「対立」ではなく「協調」で未来を創る
もう一つ、明石の取り組みで参考になるのが、放置された釣り具(タコ餌木)を巡る対応です。
当初は「マナーの悪い釣り人 vs 怒る漁業者」という構図になりがちだった問題を、漁協が「1個50円で回収・買い取り」という形で仕組み化し、さらにはメーカーや釣具ファンを巻き込んで「根掛かりしにくい餌木」の開発やルールづくりへ発展させました。
漁協の方の「誰かを責めるのではなく、一緒に取り組んでいきたい」という言葉は、これからの地域水産行政における最大のキーコンセプトです。海を愛するプレイヤー(漁業者、釣り人、ダイバー、観光客、地域住民)を分断するのではなく、「豊かな海を守りたい」という共通の想いで繋ぎ合わせることこそが、課題解決の唯一の道筋です。
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