インタビュー

【浦安市 小泉和久氏:第5話】自治体ホームページ導入期と同じことが起きている

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官民でデータを集約、共用化していく必要がある

加藤:少し広い話になりますが、全国の自治体や国が政策支援GISを有効に使っていくには何が必要でしょうか。

小泉氏:まずは、データですね。しっかり政策を分析したり、計画を立てるためには、庁内にある情報・データだけでは足らない。そこで、国や県、他市町村が持っているデータも必要となるわけです。

 そして、民間の持つ重要なデータも役立てられると思います。例えば、プローブデータと言って、車の流れやブレーキを踏んだ場所だとかがわかるデータもあれば、それは道路計画や安全なまちづくりに役に立つはずです。

 また、災害時には、電気・ガス・水道の公共インフラはもちろん、コンビニやガソリンスタンド等の商用レベルのデータも必要となります。市は住基データという静的な住民のデータを持っていますが、災害が起こった時は、今この市内にいる人が対象となります。そうなりますと、スマホや駅の自動改札から割り出せる人流データが重要になってくると思います。

 本市が共用空間DBという入れ物を用意したように、国も全国版GISのど真ん中に一個バケツを用意してくれて、国・県・市町村のデータを入れたり、そこに民間のデータも入れて、それらのデータをお互いで共用できるようになれば良いなと思います。もろちん、個人情報をきちんと保護した形になりますけど。

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自治体のホームページを作る時と同じことが起きている

小泉氏:実際に、国がそれを目指して「G空間情報センター」というものを進めているんですね。

加藤:そこに自治体が持っている情報を入れることができるのでしょうか。

小泉氏:そうです。ただ、強制力がないものなので、まだあまり広まっていないとは思います。GISやオープンデータの話となると「情報を出すメリットは何?」という話になりがちですが、実は昔、自治体ホームページ導入期にも、どこの自治体でも「この情報をホームページに掲載して、何かメリットがあるのか?」というような議論をしていたんですよね。

 今はホームページに情報が出ていないと市民から怒られるのが当たり前ですけど、当時は、ホームページに情報を出すことを反対していた職員も多くいたんです(笑)。だから、少しずつ市民から「この市のこの情報・データがないぞ!」って力がかかると、一気に広がるかもしれませんね。

加藤:要望が突き上げられなかったら、優先順位も上がらない訳ですよね。

小泉氏:なぜオープンデータやGISが庁内で進まないかと言うと、それがなくても仕事ができてしまうし、現にやって来たんですよね。プラスアルファを目指す自治体は、先へ進んでいますけれど。

 他にもマイナンバー導入やセキュリティ強靭化、介護保険制度改革や国民健康保険の広域化等目の前にやらなければいけないことがゴロゴロ転がっている中、オープンデータやGISが、どうしても優先順位が後ろになってしまうのが、現状ですよね。

民間会社からの転職 東京都庁と浦安市役所の転職試験に合格

加藤:小泉さんの個人的なお話になるのですが、地方自治体で働くきっかけを教えていただけますか?

小泉氏:元々、ある民間企業にいました。1年程やっていて、経済の先行きがなんとなく見えてきて、安定した方が良いかなと(笑)。

 実はその時に、東京都と浦安市を受けて両方受かったんですよ。ただ、どうせ頑張るなら「人数の少ないところでお山の大将になりたいな」ということで(笑)。それと、浦安で生まれ育ったというのもあって、浦安のために仕事ができる方が良いなというのもあり、浦安市を選びました。

市役所の仕事なので 多少は感謝される仕事だと思っていた

加藤:自治体に入ったらどういう仕事をしたいと思っていましたか。

小泉氏:1年間、そういう仕事をしていたこともあり、「財政とか税金の関係をやりたいです」ということを面接で言いまして、結果的には収税課に配属になりました。
 市役所の仕事なので、市民に多少はありがたがられる仕事だと思っていましたが、収税課はどちらかと言うと税金を納めていない方を相手にしていますので、「お礼」なんてほど遠い世界でした。

未納の徴収に行き、軽自動車税1000円を投げつけられる

小泉氏:実際、仕事が始まると、ボロクソに文句を言われて「そんなに金が欲しいなら持って行けよ!」と軽自動車税1000円を投げつけられて(笑)、「今、領収書を書きます」と玄関先で手を震わせながら、領収書を書いた記憶があります(笑)。自分よりもさらに若い人にそういうことをされて、本当に悔しい思いをしました(笑)。

加藤:なるほど(笑)。似たようなことは今も起きているでしょうし、公務員志望の方も、そういう現実があるというのは知っておいた方が良いかもしれませんね。

※本インタビューは全6話です

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