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【キングコング西野亮廣氏 #4】お金とは信用である

西野亮廣4

――2017年11月12日に渋谷ヒカリエで開催された国家公務員、地方公務員が600人集まった「第10回よんなな会」。お笑い芸人キングコングの西野亮廣氏が、お金と広告、そして公務員についてお話された。第4話。

絵本は一人で作ることが常識だった

西野亮廣氏:『えんとつ町のプペル』はこれまでの絵本とは作り方が大きく変わっているんです。なにを変えたかっていうと、分業制で作られたんですよ。これまで絵本は一人で作るのが当たり前で、それが常識だったんです。僕も、最初は『えんとつ町のプペル』を一人で作ってたんですよ。でも、それに疑問を感じたんです。

 だって、例えば映画だったら、監督さんがいて、音響さんがいて、照明さんがいて、メイクさんがいて、役者さんがいて、美術さんがいて、いろんな方がいらっしゃって、それぞれの得意分野を持ち寄って一つの作品を作られてますよね。で、テレビのドラマもバラエティーもいろんな方がいらっしゃって、それぞれの得意分野を持ち寄ってそういったものを作ってる。

 世の中のものはほとんど分業制で作られてるにもかかわらず、絵本だけはなんか知らないけど一人で作ることで決定してしまっている。でも、絵一つとっても、例えば空を描く仕事と、建物を描く仕事と、煙を描く仕事と、キャラクターをデザインする仕事と、色を塗る仕事っていうのは微妙に業務内容が違うんです。

 「空を描かしたら誰よりもうまい」って方がいらっしゃるだろうし、「建物をデザインさせたら私が一番だよ」っていう方がいらっしゃるだろうし、「キャラクターをデザインさせたら俺が一番だ」って方がいらっしゃる。「キャラクターは描けないけど、色塗らせたら誰にも負けないよ」っていう方がいらっしゃる。

 であれば、空のプロフェッショナル、キャラクターのプロフェッショナル、色塗りのプロフェッショナル、煙のプロフェッショナルで一つの作品を作ってしまえば、誰も見たことがない絵本ができるのではないか? 超分業制で作ってしまえば、誰も見たことがない絵本ができるのではないかっていうことで、『えんとつ町のプペル』はスタートしてるんです。

 問題はこの誰でも思い付きそうな絵本の分業制というアイディアが、なぜ今まで実現されてないかです。そこには何かしらの理由と原因があるなって思って分解して考えていくと、それはきわめて明確で、日本では絵本は五千部とか一万部でヒットと言われるような市場のサイズなんです。それだと売り上げが見込めないから、制作費が用意されない。製作費が用意されないからスタッフさんにお支払いする給料が用意できない。だから一人で作るしかない。つまり絵本が一人で作られてた理由のど真ん中にあったのは、お金であったと。

資金調達のためにクラウドファンディングを活用

 つまり、お金さえあれば分業制っていう選択肢がとれるんだから、最初に手を付けたの何かっていうと、『えんとつ町のプペル』資金調達です。その資金調達の方法として、クラウドファンディングを使った。自分は今、日本のクラウドファンディングで一番お金集めているんです。今のところ、クラウドファンディングを4回ぐらいやって1億円ぐらい集まった。1億円よりもうちょっといってるかな? 『えんとつ町のプペル』のクラウドファンディングは2回やったんですけど、延べ1万人ぐらいの方に支援していただいて、5600万円ぐらい集まった。この5600万円が『えんとつ町のプペル』の活動資金、制作資金になった。

 ただ、クラウドファンディングは金のなる木ではないです。やればお金が集まるっていうわけでは決してないです。「お前が有名人だからお金集まってるんじゃないの?」って、お考えの方が、もしかしたらいらっしゃるかもしれないですけど、クラウドファンディングとテレビタレントの相性ってすこぶる悪いですよ。テレビタレントってクラウドファンディングをした場合、だいたい失敗するんですよ。それはなぜか、ここが説明できてないと、たぶんクラウドファンディングしても失敗するんです。

 もう一つ、同じような企画でも、100万円集まってる人と1円も集まらない人がいる。そこも説明できないとクラウドファンディングをやっても失敗する。ここで押さえなきゃいけないのは2つで「お金とは何か」、もう一つは「クラウドファンディングとは何か」。これが説明できないと絶対負けるんです。逆にこの2つの説明がきちんとできれば、クラウドファンディングの勝ち方って結構簡単だと思うんです。

お金とは信用である

 お金とは信用なんです。信用を数値化したものがお金であるっていう話をしたところで、あんまりピンとこないと思うので良い例を挙げると、僕の友達にホームレスがいるんですよ。ホームレスの小谷君っているんです。で、彼は5年ぐらいホームレスをしてますが、お金の本質を完全に捉えちゃってるんです。

 ホームレスを始めて25kg太ったんです。毎日寿司食ってるんですよ。毎日ですよ。今月だけでも海外4、5回行ってます。なんか思ってるホームレスと違くないですか? なんかホームレスって、もっとなりたくない姿なんじゃないですか? でも小谷は違うんですよ。好きな服着て、好きなときに好きなものを食べて、好きなときに好きな国に行ってるんですよ。もっと言うと、美人の嫁を捕まえてるんです。思ってるホームレスと違いますよね。

 小谷っていうのはどういう活動してるかって言うとですね、自分の1日を50円で売ってるんですよ。で、(客席に向かって)「小谷のこと知らないんでしたっけ? お姉さん、知らない?」 じゃ例えば、お姉さんが小谷を買うとするじゃないですか。家の庭の草むしりをしてくださいと。

 朝からこう一生懸命、草を、お姉さんの家の草をむしるんです。一生懸命むしってむしってむしってむしって、昼までバーって働いたら、お姉さん、最初ギャグで50円で買ったものをさすがに申し訳ないとなって、たぶんね、昼ご飯ご馳走するんですよ。で、小谷食べるんです。

会場:(笑)。

 おかわりもしますね、確実に(笑)。で、良いものを好みますね。

会場:(笑)。

 小谷が「本当ありがとうございます!」って言って、また昼からバーって草むしるんですね。むしり残しなんかはもちろんありますよ。クオリティは低いですよ。でも、それは50円だから文句言わないでくださいよ(笑)。

会場:(笑)。

 でも一生懸命むしるんですよ、朝から晩まで。そうして朝から晩まで、30歳まわった男をですね、50円で働かせてたらどうですか? 「帰って」って言えますか? 言えないですよね。たぶん、夜ご飯ご馳走するんですよ。で、小谷食べます。

会場:(笑)。

 おかわりもしますよ(笑)。で、昼夜をともにしてるとお姉さんちょっと仲良くなっちゃって、「ちょっと飲みに行きましょうか?」ぐらい、たぶん言い出すんですよ。で、結局、この時点でお姉さんは、昼代出してるし、夜代出してるし、飲み代なんかも出してるんです。でも、飲みの席で小谷に言うのはこれなんですよ。「今日は小谷さん、50円で働いてくれて本当にありがとう」。で、むちゃくちゃ感謝するんです。

※本記事は全6話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

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