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地方にしか、国や歴史を変えることはできない-石破茂#4

石破茂4

石破氏:私が学生の頃、サラリーマンになりたての頃は、中古車を買って、彼女を隣に乗せてドライブするのが夢だった。この間早稲田大学で講演して、「休みの日に彼女を隣に乗せてドライブしたい人、手をあげて」って言ったら、一人も手をあげなかった。冗談かと思ったら、本当に一人も手をあげなかった。

 おじさんが若い頃は、明日はドライブデートだっていう日は、前の晩は徹夜でテープ編集をしたものだ。

会場:(笑)。

石破氏:ここはユーミン、ここはサザンって編集した。そしたら一人手をあげて、「すいません、テープ編集ってなんですか?」って。

会場:(笑)。

石破氏:ね、みんな同じもの欲しくなきゃ、同じもの安く作って大勢の人に売るという、そんなビジネスモデルは向かない。もちろん、公共工事もやります。気象庁の予報課長のお話にあったとおり、「災害は忘れた頃にやってくる」っていうのが、最近は「忘れる間もなくやってくる」ようになったから、強靱化もやんなきゃいけない。公共建造物は50年経つと壊れるので、これ以上補修をしなきゃいかん。
だけど、昭和40年代、50年代と同じことはできません。製造業だって伸ばしていかなきゃいけない。日本はイタリアとフランスに貿易で全然勝ててない。食料品、ブランド、ファッション、伝統工芸品、これで勝てていないと。これは伸ばしていけなきゃいかんですよ。だけど、大量生産モデルで何千人と雇用するわけにはいかん、ということになってくると、いかにして地域が持ってるポテンシャル、女性の持ってるポテンシャルを引き出せるのか、ということが重要になってきます。
 世界の中で男女の賃金差が1番大きいのは韓国で、2番目が日本なのだそうです。女性が持ってる能力をフルに発揮してもらわないと、この国はもたない。地方地方の持っている力もそうです。その魅力を最大限に引き出す。エンターテインメントもそうだけれども、モノではない、コトなんだ。
 私はこの間の水曜日、茅ヶ崎に行って講演していたんですが、茅ヶ崎市も「どうやって夢を実現するか」っていうまちです。茅ヶ崎っていうとサザンだ、みたいな話だけど、他にもいろんな魅力があり、夢があり、それを叶えるためのいろんな投資があって、どうやって、「モノからコトへ」、そしてGDPを上げていくかっていうことだと思います。

 徳川時代の価値観というのは『天下泰平』、安定だった。そして明治から敗戦までは『富国強兵』、強くなること。敗戦から今日までは『経済成長』、豊かさ。でも、これから先は多様性であり、付加価値であり、一人ひとりの生きがいであり、それをどうやって見出すかっていうことは、地域地域でやっていかなければいけないことであります。
 いつの時代もそうだけど、都や中央のえらい人たちが歴史や国の形を変えてきたのではありません。歴史を変え、国を変えるのは都ではない、権力者ではない。地方しか国を変えられない、歴史を変えられない。そういう時代に我々は生きているのだ、と思っております。
 この時代に、何をするんだ、ということ。今我々が、一人ひとりの人たちが、地方から、中央と連携をしながら、何ができるんだ。それをやらないと、この国を次の時代につなげることはできない。

 私たちは、この豊かで、平和で、自由な日本を、なんとしても子どもたちに、その孫の世代に渡してやりたいと思っています。それは、誰かがやってくれるんだろう、ではありません。権力者がやってくれるんだろう、ではありません。総理大臣がやってくれるのを待っていればいいわけではありません。
 一人ひとりに対して、その思いに一番近いところにいるのは皆さん方なのです。皆さん方がその地域と一緒になって、持てる力を最大限に引き出すということだと思っております。

 全国1718市町村ありますよね。それぞれのPR動画ってのを出してみていただきたい。いろんな面白い動画がありますが、私が一番好きな動画の一つは宮崎県小林市のものなんですね。ご存じの方も多いと思います。「宮崎県 小林市 動画」って検索すると出てくるから。3分から4分くらい、ほとんどフランス語で、下には字幕があり、フランス人がしゃべってるとしか思えない。でもオチは「皆さん気がつきましたか。私がずっと西諸弁でしゃべってたことに」っていうんです。フランス語じゃなくて、その地域の言葉だったのね。ここには小林市のいろんな素敵な場所が出ます。作ったのは、小林市の20代の公務員たちなんだ。中学生たちと一緒になって作った。
 高校受験に「小林市のいいところ」という問題は出ない。小林市の歴史も出ない。だけど、自分のまちの素敵なところ、自分のまちの歴史、それを知らないで外へ出たら、帰ってこようってことにならないのですよ。

 高知県に佐川町ってところがあるけど、あそこにいってみると、総合計画を中学生たちが一生懸命書いている。役場はデータを提供する。町長は中学生にこう言ってた。「みんな、ここには大学がないから、大学は東京に行こうが大阪に行こうがかまわん。みんながどんなまちをこの佐川に作りたいか、それを実現するために勉強してこい」。これが本質ではないかと私は思っております。

 大切なのは、「今だけ、ここだけ、あなただけ」。逆に、「やりっぱなしの行政、頼りっぱなしの民間、全然無関心の市民」これが三位一体になったらば、絶対に地方創生は成功しない。地方創生が成功しなければ、日本の国に未来はない。と恐ろしそうなことを言って失礼をいたしました。なんか政治家なのに、政治家みたいな演説をしてしまいました。

会場:(笑)。

石破氏:まあしょうがないね(笑)。
 でも、しかめっ面ばっかりしていても仕方がないのであってね、本当に楽しく明るくやることで、人がどれだけ笑顔になってくれるか。楽しい思い出ができるか。そういうものを常に念頭に置きながら、今日の1日をお過ごしいただきますようにお願いしてお話を終わります。ありがとうございました。

会場:拍手

 

(写真 = 荒井勇紀)

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