主張・意見

消防士への憧れプロジェクト 〜 10年先の将来を見据え、 憧れという目に見えないものを形として表現した採用広報強化事業~[豊橋市消防本部 総務課 人事教養担当]

総務省消防庁コラム1

(記事提供=総務省消防庁 広報誌『消防の動き』

(PR)=HOLG.jpが本になりました「なぜ、彼らは『お役所仕事』を変えられたのか?」

はじめに

 近年、当市における消防職員採用候補者試験の受験者数は、ゆるやかではありますが下降線をたどっており、今後の採用においては、少子化や民間企業のお金と時間を投資した積極的な採用広報活動などの影響により、より厳しい状況となることが予想されます。
 組織においては若年化が進行し、組織力の低下も懸念されています。経験豊富、蓄積された技術をもった団塊世代に定年退職が訪れ、職員の平均年齢は現在37.9歳となり、10年前と比較して約4歳下がりました。また、階級でいう消防士の全職員に対する割合は19%から34%にまで上昇しています。その中、社会情勢や環境の変化により災害は多様化、大規模化し、それらの新たな時代に立ち向かうため、当本部では若手職員の人材育成強化を図っていますが、採用の段階からより優秀な人材を求める必要性を強く感じるようになりました。
 そこで平成27年度より「消防士への憧れプロジェクト」と題して採用広報強化事業を手探りで開始しました。女性活躍推進事業と連携し、女性消防士確保という課題も意識しながら取組みを実施しています。

平均年齢
職員の定数と消防士の数

消防士への憧れプロジェクトの紹介

 10年先の将来を見据え、憧れという目に見えないものを形として表現することで、幼少期から青年期まで一元的に消防士のPRを行い、消防士の担い手の確保、優秀な人材を確保することを目的に、プロジェクトを第1弾から第3弾に分けて展開中です。
■第1弾 子供に対して憧れを抱かせる啓発品の開発
■第2弾 女子大生が学生の目線から消防士のイメージを調査分析し、PRツールを作成
■第3弾 高校生に対して消防士の魅力を伝える授業の開始(FFC:Fire Fighter Class)

プロジェクト第1弾 企業とコラボ

■テーマ ・幼少期の子供が憧れを抱く啓発品を予算をかけずに開発したい。
■背 景 ・従来の啓発品は予算の関係上既製品のポケットティッシュや文房具等から選ぶしかないため、現代の子供にとって消防士に憧れを抱く啓発品ではなかった。
■取 組 ・地元の企業と協定書を締結し、地域貢献として開発費を企業の持ち出しで消防本部オリジナルPRグッズを共同開発。
■効 果 ・常時店頭で販売しているため常にPRが可能。市の費用負担がない。
     ・各種消防情報の発信が可能。※以下◎部分

ファイアーバウム 水ピタ防水シート ファイアーアンブレラ おいしい防災おこし ファイアーヒーローズクッキー

プロジェクト第2弾  女子大生とコラボ

■テーマ ・学生の目線から消防士のPRを研究。PRツールを作成し採用ガイダンスに活用したい。
     ・女性消防士を憧れの職業にしたい。
■背 景 ・学生目線のPRツールを持っていない。
     ・女性消防士の認知度が低い。
■取 組 ・官学連携事業で女子大生による消防士のイメージアンケートの実施及び分析。
      分析結果を反映させたPR動画の作成、女性消防士PRポスター作成。
■効 果 ・学生目線の採用広報が可能。
     ・消防、学生相互の活性化が図れる。

学生約900人を対象にアンケート調査

女性消防士PRポスター 活動の様子

第二弾PRツール作成後に採用ガイダンス等でのアンケート調査

プロジェクト第3弾 高校生とコラボ

■テーマ ・青年期に対する人材確保。
     ・地元の高校生に消防士をPR。
■背 景 ・大学生には就職ガイダンスを実施しているが、高校生には消防士の魅力を伝える機会がなかった。
■取 組 ・地域連携として申込みのあった高校へ赴いて授業を行う。
     ・現役消防士による経験談から「仕事のやりがい」「命の大切さ」を伝える。
■効 果 ・ガイダンス会場の確保、宣伝を行わなくても男子、女子高校生にPRが可能。

FFC実施後の学内アンケート抜粋

おわりに

 採用というものをベクトルに置き換えて考えています。ベクトルは「向きと大きさ」を持っています。向きは憧れであり、大きさは努力です。向きは採用する側が提供し、採用される側の受験生は、向きに合せた大きさを、合格ラインまで伸ばす努力をします。消防士へベクトルを向けてもらうためには、消防だけの目線ではなく、多角的な視野を持って、他の分野と積極的に連携することが大切だと考えています。憧れの効果を数値化することはなかなか難しいのですが、事業を推進する課程ではEBPM(エビテンスに基づく政策立案)を意識し、政策目的を明確化したうえで合理的根拠に基づきこのプロジェクトを第3弾まで発展させてきました。
 採用担当である以上、採用に繋がる人材の確保という目の前の目標はあるのですが、このプロジェクトにはその背景にある大きな効果を期待しています。「消防士ってかっこいいな」そんな感覚を、幼少期から青年期までの将来を担う若者に抱いてもらうことが、その後の消防行政全体の理解や発展を生むきっかけとなるはずです。
 果実は種を蒔かなければ実りません。人口減少時代に直面し、何事においても効率化が重視され、AIの導入や機械化が加速する現代だからこそ、人の憧れという感情に働きかける必要性があります。10年後の将来を見据え、地道に消防士への憧れという種を蒔く作業も我々の使命ではないでしょうか。

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