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女性として働きづらかった時代の経験を糧に、活き活きと働く女性のロールモデルを目指す【諫早市:村川美詠氏】(5/5)

男性上司は女性職員へ気を遣い過ぎても逆効果

村川美詠氏:それと、これは能力ではないんですが、男性も女性の扱い方になれていなくて、必要以上に遠慮しているところはあると思います。「これをさせたら、家庭があるから無理なんじゃないか」と、好意で仕事のチャレンジをさせないこともあるんですね。
加藤:そこは、上司が遠慮せずに言うだけ言った方が良い。ただし、断りたい場合もあるので断れる余地を残して聞いて欲しいということですかね?
村川美詠氏:そうです。そうです。それが対話だと思うんですよね。ただ、ある程度の年齢の男性は、女性が今まで職場にいなかったから、男性も女性のマネジメントに慣れていなくてわからなかったと思うんですよね。
加藤:最近、女性をマネジメントするにはというナレッジ本などが出てきていますが、そのナレッジの蓄積は自治体だけでなく民間でもまだまだ足りていない状態なのかもしれないですね。
 いずれにせよ、男性の上司は、女性の部下には遠慮せずに任せたいことを伝えればいいと。逆にその一方で、若い女性に対してはどういうことを感じますか
村川美詠氏:仕事を頼まれた時に「そんなの私にはできないです」とか、「今の仕事をする中で、あまり目立たなくていいんです」なんて言う人もいて、勿体ないと思う時はあります。今までそういう機会が無かったから、失敗したら怖いと思ってしまっているんじゃないかと感じています。
 でも、厳しい採用試験を突破していて能力は十分ある筈なので、自分一人では難しい業務があっても、他の人の力を借りてやれば、なんの心配もいらないと思うんですね。できると思われているから、その仕事が回ってくるわけで、そういう話が来たときには、チャレンジして欲しいと思います。

共に活動する仲間からみた印象

加藤:次に、ご自身の強みを教えていただきたいのですが、この話は「おこしの会」を村川さんと中心になって運営している諫早市役所の吉田さんと、大久保さんから、つまり身近にいる人からの意見もお聞きしたいと思います。

吉田慎一郎 大久保康子

おこしの会を共に支える 大久保氏<左>・吉田氏<中央>

 
加藤:まず、村川さんご本人にお聞きしますが、ご自身の強みを教えていただけますか。
村川美詠氏:私はストレングスファインダーを使って、自分の強みを調べたら、一番強いのが勉強意欲なんですよね(笑)。
吉田賢一郎氏:すごくわかります(笑)。
大久保康子氏:わかりますね(笑)、本もすごく読まれていると思います。
加藤:お2人も納得なんですね。ちなみに、他者から見た視点として、お2人は村川さんの強みはどういうものだと思いますか。
吉田賢一郎氏:まず、行動力があって動きが早いんですよね。何かやろうってなった時にすぐ資料を作ったりとか、「さっきまであそこにいたのに、もうこんなところにいるんだ」って思うことも良くあって、村川さんは3人いるんじゃないかっていう都市伝説もあります(笑)。
 あと、人としての魅力があって周りが助けてくれるんですよね。それも、女性からだけでなく、異性である男性からもサポートされているのがすごいと思います。
加藤:なるほど。大久保さんはどうでしょうか。
大久保康子氏:最初の印象については、村川さんが職員課で仕事をされていた時に、諫早がホストとなって他の複数の自治体と合同で、中堅職員向けの研修を行ったんですね。その時に、市役所内で村川さんがまだ若いのにその業務担当に抜擢されて、しかも物怖じもせず活き活きと皆を統率して仕切っていく姿を見て、すごいなと思ったんです。
 元々、市役所の中で存在は知っていたんですけど、その時に、村川さんという仕事のできる人がいるんだなというのが頭に鮮明に残りました。
加藤:なるほど。900人もいる職員の中で、記憶に引っかかったわけですね。
大久保康子氏:あとこれは女性としての立場ですが、彼女は女性職員のロールモデルの象徴的存在なんですね。女性から見ても、まだまだそういう人って本当に少ないです。吉田も同じだと思うんですが、私個人として感じることはこの人となら一緒になって色んなことをやりたいと思えるんです。
加藤:素晴らしいですね。
村川美詠氏:普段こんなこと言われないので恥ずかしいですね(笑)。
吉田大久保氏:(笑)
加藤:確かにあんまり言う機会は普段ないですよね(笑)。短い時間でしたが、吉田さん、大久保さん、ありがとうございました。
うないさん御守り

皆さんから頂いた諫早神社の「うないさん御守」

 

地域の人と人を繋ぎたい

加藤:ここからは、村川さん個人のお考えをお聞きしたいのですが、今後、どういう活動をしていきたいですか?
村川美詠氏:最近の私のテーマが「共助」なんですね。この前、熊本県の大津町のワークショップに行ったんです。そこで、「震災の時に何がありましたか?」と6ヶ月を振り返って、役所の職員、町内会長さん、高校生、大学生、普通の主婦とか本当に多様な人が集まって喋るという場に参加させてもらったんです。
 その時に、「被災当時は役場の職員は何にもしてくれんって不満を思っていたけど、よくよく考えたら200人の職員が34,000人の町民全員を見きれるわけもない」という住民の方の話があって、だとすると、近所の人の助け合いが必要なわけで、「元々お互いの顔が見えていることが大事だよね」なんて話になったんです。
 同じ避難所でも、うまく運用できていて円満なところもあったし、逆にそうでないところは食べ物の取り合いとか、住民のコンフリクトがあったそうなんですね。こういうのもやっぱり、お互いの顔を知って、日頃から理解を深めていることが大事なんだと思います。
 生涯学習課に行って思うのは、「地域を良くしたい」とか、「子どもの為になりたい」って人がその地域にいるんですよね。それってすごい財産なんです。ただ、PTA、婦人会、健全育成会とかがあっても、その組織が横で繋がってなくて、似たような雑務に忙殺されてすごく疲弊していたりするんですよ。
 だから、それを繋げて分担とかができたらいいと思うんです。なので、そういう人と人を繋ぐ仕事がしたいと思っています。例えば、おばあちゃんが電球一つ変えられないとか、台風の時に、重い雨戸を閉められなくて業者を呼んだりするんですけど、本来、近所には元気な雨戸をさっと閉めてくれる人がいる筈じゃないですか。そういう人と人をマッチングさせるような仕事がしたいですね。

公務員は、自分が信じる公益の為にどん欲にチャレンジできる仕事

加藤:最後の質問になりますが、村川さんにとって地方自治体で働く醍醐味はなんでしょうか。
村川美詠氏:勤務時間中もその後も地域に貢献できる仕事で、すごいやりがいのある仕事だと思います。
 しかも、ちょっと言い方は極端ですけど、失敗をしてもクビにはならないので、本来、自分が信じる公益の為にどん欲にチャレンジできる仕事ですし、その結果として社会の仕組みを変えることもできると思うのです。本当にやりがいのあるすごく良い仕事だと思います。
加藤:本当にそう思います。ありがとうございます。インタビューは以上となります。
村川美詠氏:こちらこそ、わざわざ諫早まで来ていただきありがとうございました。

恋するフォーチュンクッキー

恋するフォーチュンクッキー諫早verの撮影

編集後記

村川さんにはとてもパワーがあった。それは、女性が仕事をしづらい時代の中、どうにか逞しく生き抜く為に必要なものであったからかもしれない。ただ、村川さんの話を聞いていると、ここ20~30年で、女性に対する配慮や期待は大きく変わったことは間違いないだろうし、これからはさらに女性にとって活躍がしやすい時代になっていくのだと思う。
 村川さんが言っていたが、私もコミュニケーション能力において、男性より女性の方が優れていることが多いと感じる。
 実際に私が民間企業で勤めている際に、経営計画の策定においてある女性が経営陣、経営企画部、実際にビジネスを行う事業部の間で板挟みになりながらも、関係組織全体の調整を柔らかく進めて前進させていたことがあった。それは明らかに私を含めた同じ役割を持った他の男性とは違う進め方であり、そういうやり方もあるのだと当時、自分の中で新たな気付きとなった。
 ところで、地方自治体はその地方に存在する資源や魅力に気づけていないということが良く言われることではあるが、女性自身も既に持ち合わせている高い能力に気づけていないのではないだろうか。日本人女性は謙虚さ故に、自己評価が低くなることがあるように思える。日本文化における謙虚さは往々にして、自己肯定感や自尊心にも干渉するからだ。
 もし、それぞれの女性が持つ自身の魅力や強みを理解しながら、自信を持って行動することができれば、今以上に仕事で結果を残すこともできるようになるだろう。そして、結果を出したことによって、さらに自信を持てるというポジティブな好循環が生まれれば、誰もが村川さんのように、女性が活き活きと働くことのできる社会を自ら手繰り寄せられるような気がするのである。

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