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女性として働きづらかった時代の経験を糧に、活き活きと働く女性のロールモデルを目指す【諫早市:村川美詠氏】(2/5)

セクハラ発言が当たり前だった時代

村川美詠氏:その頃は、セクハラも普通に遭っていましたけど、「セクハラ発言をいなしながら、逆に言い返したりして気にせずに仕事をするのが働く女性像だ」みたいな風潮があったんです。
 選挙の最中に子供を産んだんですけど、お休みをいただくので迷惑をかけるじゃないですか。その後にもう一度妊娠して、結局それは流産しちゃったんですが、「この間まで産休取ってまた妊娠するなら、もう妊娠しないおばちゃんの方がよっぽどいいよね。」と普通に言われました。
 もっと酷いのは「しばらくフタしとってくれ」とか、訳のわからないことを言われて、本当に酷いですよね?(笑)。今なら大問題になると思いますけどね(笑)。
加藤:確かにすごいですね。時代なんでしょうか。
村川美詠氏:でしょ?(笑)。こないだそれを若い女性職員に話したら「えー、そんなことあるんですか?」って言っていました(笑)。育休とかも今の子は当たり前にあると思っているけど、当時は全然当たり前じゃなかったですからね(笑)。

激務だが、いつも仕事ができることが幸せだった障害福祉課

加藤:8年間選挙管理委員会にいた後に、どこの部署へ異動されたんでしょうか。
村川美詠氏:その後は5年間障害福祉課ですね。そこが、すごく忙しいところだったんですよ。5年ちょっといたんですけど、その間に土曜日と日曜日を両方休んだのはほんの数日でした。
加藤:どういう業務だったんでしょうか。
村川美詠氏:昼間は障害者の方のご相談を窓口で対応をして、夜に事務処理をしていました。
加藤:事務処理というのは具体的に、どういうことをされていたんでしょうか。
村川美詠氏:例えば、車椅子を給付するとか、この方にこの補装具を交付していいのかどうかという決裁的な仕事をしていました。ただ、私は選挙管理委員会で仕事が無い時期が長かったので、仕事があることが幸せで、山のような書類を捌いていくのが楽しくて、残業はあまり苦ではなかったですね(笑)。

女性の先輩社員から言われた「迷惑なんだけど」

加藤:その時は女性だからということで、男性と違う仕事があったんでしょうか。
村川美詠氏:その時はそういうことはなかったんですが、残業をガツガツやっていたら、先輩の女性がある日、私の席に来ていきなり「迷惑なんだけど」って仰られたんです(笑)。
 どうやら「村川さんは小さな子どもがいるのに、残業とかバリバリしているやろ、あんた達も頑張らんばたい」と言われるから迷惑ってことらしいです。
 それはすごく悲しかったですね(笑)。女性の敵は女性と言いますけど、「これかー」という(笑)。切なかったー・・・(笑)。
加藤:なるほど。そういうバリバリ働く女の人がいなかったので、目立っていたということなんでしょうか。ちなみに、激務だった障害福祉課に5年いらして、その後はどういう部署に移られたんでしょうか。

セクハラと戦う職員課時代

村川美詠氏:その後は職員課という、人事や給与、福利厚生の部署で、職員研修の担当をしていました。職員課は2回行っているんですけど、1回目の時です。
 丁度その頃(1999年)、男女雇用機会均等法に、セクシュアル・ハラスメントに関する規定が新設されて、セクハラを企業の責任として対応しなければいけないということになったんですね。
加藤:なるほど。セクハラと言う話がその頃に出だしたんですね。
村川美詠氏:それで、私が女性だったのでセクハラの担当ということになり(笑)、セクハラの要綱を定めたり、体制を整えました。実はその少し前に、私自身がセクハラですごく悲しい想いをしていたんです。
 生理的に受け付けられないすごく偉い人から、飲み会の時に無理やりチューをされて、さらに、無理やり車に乗せられそうになったんです。「嫌なら、言えばいいじゃん」って男の人は言うんですど、そういう、本当に怖くて何も言えないという気持ちは自分もその時に初めて知ったんですよね。
 そんな時代なので全然理解がなくて、偉い方達を集めて「セクハラの要綱を決めました。これからこういう体制でやっていきます」と説明会をした時も、「こんなことガチガチ言うからダメっさ。あれもコミュニケーションの一つやん!」みたいな、そんな軽い感じだったんですよ(笑)。
村川美詠2
加藤:なるほど(笑)。そうすると、研修プログラムを作るようなお仕事をされていて、その中の一つでセクハラのことも組み入れたということでしょうか。
村川美詠氏:はい、もちろんセクハラだけではなく職員研修として、係長研修や課長研修とかを組み立てて講師に依頼をしていました。そこに私も同席するんですが、自分が係長や課長でもないのに、その話を聞けたのは役得だったと思います(笑)。
加藤:それは、コンプライアンス関連だけではなく、スキル関連の研修ものもあったんですね。元々、そういう講義をお聞きするのはお好きだったんですか?
村川美詠氏:まだ、当時はそんなことなかったと思います。その火が点いたのは、その後に男女共同参画課という部署に行ってからですね。
加藤:そうですか。職員課にいたのは何年ぐらいだったんでしょうか。
村川美詠氏:それも8年です(笑)。
加藤:長いですね(笑)。
村川美詠氏:途中で諫早市が周りの自治体と市町村合併したんですね。そうすると、人事制度も給与も文化も違うってことで、色んな調整に時間がかかったんです。その間に出そびれてしまいました。

男女共同参画課で世の中と自分の家庭の違いを知る

村川美詠氏:その後に、男女共同参画課という「男女が均等の役割を果たす意識を促進する」という、役割を持った部署に行くようにと言われました。具体的には市民の方達と一緒に、「仕事や子育てでも、男女が協力してやっていきましょうね」という意識を啓発する講座を企画するような部署でした。
 ただ、私自分の場合、うちの夫が主夫のようにして子供を育ててくれていたんですよ(笑)。
加藤:当時で、しかも九州でそうだと聞くと珍しい印象がします。
村川美詠氏:今から振り返るとそうですね(笑)。だから、私は家に帰ったら夫が作ったご飯を食べ、夫が沸かした風呂に入り、夫が敷いた布団に寝ていたので、男女共同参画って言われても、普段、家で起きていたことが世の中では当たり前じゃなかったなんて知らなくて、「そんな仕事必要?」って思っていたくらいです(笑)。
 それと、自分の中でメインの部署じゃないという感覚があって、「左遷されたのかな?私、なんかしたっけ?」って思いました。(笑)。
加藤:そうなんですね(笑)。
村川美詠氏:ただ、なったからにはどうにかやろうとするんですけど、私が受けたい講座が全然なかったんですよ。それで他所の市がどんな講座をやっているのかを調べました。
 特に、福岡市は当時から一歩先に行っていて面白い講座をやっていたんですよ。それで、福岡市の講座に諫早から自腹で通って参加させてもらって、その時に講師の方に、「諫早から来ました。実はこれだけしか予算はないんですけど、諫早で講演してもらえませんか?」って色んな人を勧誘して連れて来ていました(笑)。
加藤:そこで営業されるんですね(笑)。
村川美詠氏:はい(笑)。ほかにも、男女共同参画課に行ってからびっくりしたことがあって、それは、地方には地域で草刈りとかをする時に、作業に出られなかった人はお金を払ってくださいという“出不足金”と言われるものがあるんですね。
 そこで、他所から引っ越してきた女性が草刈りに出たのに半額払ってくださいって言われたらしいんです。その理由は、「女性は一人前じゃないから」と言われたそうで、その方が「どうしても納得いかないんですけど」って男女共同参画課に相談に来られたんですよね。
 そういうのと向き合っていると、世の中は、まだそんな状況だったのかと気が付くわけですよ。
加藤:出不足金というのは初めて聞きました。
村川美詠氏:それと、出産・退社をして、子供が落ち着いたらまた働きたいという方向けの再就職セミナーをやったんですけど、そこで女性の悩みを聞いたら、一度キャリアが切れているからなかなか就職できないということもあったんですが、それ以上に問題だと思ったのが、働きたいけどそれを夫に言うと反対されるということでした。
 「俺に迷惑かからんとやろね?」とか、「俺の飯はどげんするとや?」とか言われるって聞いて、私の家庭とは全然違うと思って(笑)、その時、男女共同参画って男性に理解してもらわないと解決しないんだなって思いました。
加藤:なかなか、自分一人の視点から社会の全体像を見ることは難しいですよね。男女共同参画課には何年ぐらい、いらっしゃったんですか?
村川美詠氏:そこは4年ぐらいですね。本当に楽しくて、市民の人と何かやるのも楽しかったですし、いろんな人脈ができたのもその部署のお蔭ですね、最初は左遷だと思ったんですけど(笑)。
加藤:そこで講演に興味を持ったんですね。
村川美詠氏:そうなんですよね。ただ、その頃に我が子が不登校になってしまったんですよね。娘が小さい頃、私が仕事中心の働き方をしていたので、自己肯定感とかを育ててあげられなくて、彼女としての精一杯の意思表示が不登校だったんだと思うんですけど。

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