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事例を知る 勉強資料 財政

【今村寛さんによる出張財政出前講座】財政健全化ってなんだろう?

2016年10月15日に、福岡市役所の今村寛さんが九州大学にて
「出張財政出前講座withSIMふくおか2030」を行った際の勉強資料。
地方自治体の財政問題が取り沙汰されることが多くなったが、福岡市が現在の状況や未来に起こることの想定を元に、何をしてきたか、何をしていくべきかがまとまっている資料。
https://www.slideshare.net/secret/t5wf2IfxhU1to
 

Holg.jpでは地方自治体職員の方の勉強会資料を共有・発信しています。ご掲載をご希望の場合は、[email protected]まで①②③をお送り下さい。①資料(パワーポイントまたはPDFファイル) ②利用された勉強会のお名前・日時 ③資料作成された方のお名前と概要(任意)

 
【注目ポイント】
①福岡市の財政は将来的に厳しくなることが予想される
②福岡市の財政健全化の取組が成果を上げている
③組織の改革を行い、局区の自律経営の強化している
④「創意工夫による経費節減や財源確保などを行った場合に、その対象額を翌年度の各局予算の配分額に加算できる制度」を導入
スライド後半に記載されている③④部分の改革は、地方自治体の新しい試みとして非常に価値のあるものではないかと感じた。
また、福岡市は出前講座として、様々な情報公開や説明を試みている
 
【資料のサマリー】
1.福岡市の財政構造
・直近の歳入は微増である
・歳出(支出)構造の変化が起きている
-公債費(借金及び利子の返済等)の増加:
2001年464億円→2010年1,015億円
-扶助費(社会保障費等)の増加:
2001年218億円→2010年559億円
※上記共に一般財源ベース
2.これまでの福岡市の財政健全化の取り組み
市債発行の抑制:
平成23年度における一般会計の市債発行額を450~500億円程度に抑制することを目標として段階的に縮減する。
20年度 566億円 → 23年度 510億円
下記の行政改革により合計289億円のコスト削減(計画期間:H20~H23)
-歳入歳出一体見直し 106億円
-資産・負債の圧縮   93億円
-システム・手法の改革 90億円
3.今後の財政見通しの概要 (H25年3月版)
・老年人口(65歳以上)が増加し、生産年齢人口の割合が低下。特に、75歳以上(後期高齢者)は10年間で1.4倍に
・生活保護世帯、障がいのある方が引き続き増加していく可能性
・昭和40~50年代に整備した公共施設等の老朽化、大量更新期の到来
・さらなる財政健全化の取組みを行わなければ、政策的経費に使える財源は、平成26年度から平成28年度までの3年間の合計で、300億円程度に減少する
・限られた財源の中で行政サービスを維持しつつ、「生活の質の向上」と「都市の成長」を実現するには、事業の「優先順位の最適化」を図る必要がある
・政策推進プランとの連動により「投資の選択と集中」を図り、必要な財源を「積極的な歳入の確保」、「経常的経費の見直し」により確保する。
4.健全な財政運営に向けた取組み
・数値目標① 政策的経費の財源確保
-財源の減少への対応ではなく、「ビルド&スクラップ」の精神により、重要施策の推進や新たな課題への対応といったビルドを行うための目標設定とする。
-重要施策の推進や新たな課題への対応に要する経費(政策的経費)の一般財源について、経常的経費の見直しや投資の重点化などにより、3年間で750億円以上の確保を目標とする。(25年度水準の約1割(3年間で100億円)圧縮)
・数値目標② 市債管理について
(1)一般会計における市債発行額(臨時財政対策債を除く)を減らしていく
財政健全化プラン(H16~H19)
計画期間発行実績2,380億円
財政リニューアルプラン(H20~H23)
計画期間発行実績1,689億円
行財政改革プラン(H25~H28)
発行抑制目標1,600億円以下
(2)臨時財政対策債について
他の政令指定都市と連携し、国に対し速やかに廃止を求めるとともに、国が示す発行可能額に対して可能な限り抑制する。
(3)市債発行額全体について
各年度の市債発行額全体を元金償還額以下とし、残高を増加させない
5.H28予算編成 改革による財源確保
平成25年6月に策定した「行財政改革プラン」に基づき、重要施策の推進や新たな課題の対応に必要な財源を確保するため、「歳入の確保」や「行政運営の効率化」などの取組みを進め、平成28年度当初予算においては約65億円の財源を確保。
平成26年度から平成28年度までのその累積効果や財源対策による財源確保額は,約490億円の効果が見込まれる。
6.市債残高の推移
H28年度末の満期一括積立金を除く全会計市債残高見込額から、国が償還額を全額地方交付税措置する臨時財政対策債の残高見込額を除いた額は、そのピーク時のH16年度末から6,389億円減少し、1兆8,726億円となり、1.9兆円を割り込む水準にある。また、その市民一人当たり市債残高見込額は、H16年度末から約60万円減少し、約125万円である。
7.組織改革
・局区の自律経営の強化
(1)現行の予算制度における課題
-市長と局区長の間で、政策分野ごとの課題認識や方向性にズレが生じている場合がある
-局枠が毎年減少傾向にあるため、重点事業と位置づけての要求が肥大化している
-局裁量経費の中でPDCAがうまく機能しておらず、事業費の一律カットが行われている
-政策・施策の着実な取り組みを進めるための局長の権限や裁量が十分ではない
(2)解決に向けた取組み
-市長と局区長のコミュニケーションを活性化し、経営理念や方針の共有を図る
-資源配分にかかる局長の権限を強化し、政策ごとに事業のプライオリティがつけられる体制とする
-失敗を恐れず果敢に挑戦する意欲を促進する仕組みづくりを行う
・局/区による自律経営に向けた取組み①
予算編成における局区長の権限と責任(裁量予算)の拡大
・局/区による自律経営に向けた取組み②
予算編成における市長・副市長と局区長とのコミュニケーションの場を創設
・局/区による自律経営に向けた取組み③
経費節減インセンティブ制度の導入
創意工夫による経費節減や財源確保などを行った場合に、その対象額を翌年度の各局予算の配分額に加算できる制度を導入
 

今村寛(いまむらひろし)
京都大学を卒業後、福岡市役所にて現在まで勤務。2016年3月まで、財政調整課長を務め、2016年4月より創業・立地推進部長となる。財政調整課長時代に培った経験から、地方自治体の財政状況をわかりやすく説明する「財政出前講座」と、財政シミュレーションゲーム「SIMふくおか2030体験会」を全国各地で行っている。現在は、福岡市における企業誘致や民間の新規事業創出に貢献している。また、福岡市にてオフサイトミーティング「明日晴れるかな」を運営し、福岡市と他自治体、民間等のつながりを生み出している。

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