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総務省消防庁コラム1

事例を知る 防災

災害対応ピクトグラムの開発について ~絵文字を用いた現場活動~[岡山県 岡山市消防局]

(記事提供=総務省消防庁 広報誌『消防の動き』

はじめに

 岡山市は、中国地方の南東部に位置し、中国山地を背にした風光明媚な瀬戸内海に臨む面積789.95㎢、人口約70万人の岡山県の県都で、京阪神、九州、四国を結ぶ重要な地点にあり、古くから海陸交通の要衝として知られています。
 平成16年から隣接する吉備中央町の消防事務を受託し、現在、1局2部5課5署1分署13出張所1救急ステーションの職員約750名体制で管轄面積約1,059㎢、管轄人口約72万人の生命と財産を守っています。

岡山市消防局位置及び管轄図

岡山市消防局位置及び管轄図

開発の経緯

 消防は、災害時における要配慮者(子ども、障害者、訪日外国人など)を含むすべての人への対応を迫られます。しかし、多数の傷病者が発生するような災害現場や、要配慮者に対しての対応は、現在、実施している「声」、「ジェスチャー」、「文字」による方法のみでは十分ではない場合があります。
 これらの対応策として、要配慮者を含むより多くの人に対して、絵文字を用いて効率的な指示を行うことができる、「災害対応ピクトグラム」を開発しました。

災害対応ピクトグラムとは

 ピクトグラムとは、一般に「絵文字」や「絵単語」などと呼ばれ、何らかの情報や注意を促すために表示される視覚記号の一つであり、1964年東京オリンピックの際、外国語でのコミュニケーションをとることが難しかった当時の日本人が、外国人向けに分かり易く情報を伝えるために開発したのが始まりです。代表的な例には、トイレマークやオリンピック競技マークなどがあります。
 このようなピクトグラムを災害時に使用することを目的に開発したものが災害対応ピクトグラムです。
 そこで当市は、災害時において傷病者とのコミュニケーションが最も困難なことが予測されるNBC災害を想定して「避難誘導」、「トリアージタグ取付け」、「脱衣管理」という3つのアクションについてピクトグラムを開発しました。
 また、開発に当たっては、川崎医療福祉大学医療マネジメント学部医療福祉デザイン学科の青木ゼミに協力を依頼し、学生と有識者を交えた専門的観点から作成を行いました。

期待できる効果

(1)遠くからでも視認可能で、多くの人に簡単に情報を伝えられる。
(2)日本語の通じない人や耳の不自由な人にも、情報を伝えられる。
(3)情報量の多いとされる視覚情報を与えることができる。
(4)声の伝わらない状況下でも、消防側の意思を伝えられる。

求められる条件

 ピクトグラムの「パターン」、「色」、「大きさ」、「文字の表示」などについて検証と改善を繰返した結果、次のような条件が求められることがわかりました。
(1)屋外で使用する場合、A2サイズ以上の大きさが必要であること。
(2)当局が使用している化学防護服は黄色のため、黄色の反対色である青色を基本色とすること。
(3)ピクトグラム持った時、文字が隠れないよう隅に余白を作ること。
(4)色覚特性の方にも見やすい配色(青と白)とすること。
(5)折りたたんで持ち運べること。
(6)補助的に日本語、英語の文字を入れること。

共同開発チーム

共同開発チーム

最終案を用いた訓練

最終案を用いた訓練

ピクトグラム

おわりに

 今回の開発はNBC災害という切り口から3つのアクションについて図案を作成しましたが、この災害対応ピクトグラムはNBC災害だけに限らず、自然災害、救急現場、火災予防など様々な分野への応用が可能な発展性と拡張性を有しています。
 また、災害特性や消防に寄せられる要望には地域性が存在し、それらの対策には大学等教育機関が有する専門性と地域性を最大限に融合させることで、地域の実情に応じた対策を行うことができます。
 これが官学連携最大のメリットであることを、再認識することができました。
 今後はこの開発により、災害対応ピクトグラムの使用がスタンダードとなることによって、2019年ラグビーワールドカップ及び2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた、日本らしいきめ細やかな災害対応の一助になることを願います。

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