仕事観が変わった観光課の仕事、全体を見る
加藤:市役所ではよく異動があると思いますが、印象的だった部署はありますか。
同前氏:私の仕事感が劇的に変わったのが、観光課での仕事です。技術職が観光課に異動するのは珍しいのですが、その部署での1年半は本当に良い経験でした。
それまでの技術職の仕事としては、上司から言われたことを現場で改善しながらこなしていくやり方だったのですが、観光課で知り合う方々は備前市全体の将来を見据えて仕事をするんですよね。
加藤:そこで同前さんの「市の未来のために」の考え方が強くなられたのですね。
同前氏:そうですね。備前焼の作家さんや漁業組合の方々など、「将来のために今これをしないといけない」という考え方をお持ちなので、それってすごく格好良いなと。それまでの自分は今のことしか考えていなかったのが、すごく恥ずかしくなったんです。
そして下水道事業に関わるようになったとき、その未来を調査したら絶望的だったので、改革をしたい気持ちが強くなりました。観光課での経験がなかったら、この考え方にはなれなかったかも知れません。
住民の困りごとを一緒に解決したい
加藤:同前さんの今後の展望についても教えてください。
同前氏:観光課の経験から人との関わりがすごく楽しかったので、例えば市民協働課という市民と一緒に協働してまちを作っていく仕事には興味があります。
加藤:役所外でやりたいことは何かありますか。
同前氏:一度思ったのが、私はいろんな部署で改善をしてきたんですね。その経験やスキルを市役所に限らず民間企業でも発揮できたら良いのかなと。
それが退職した後になるのか、今からでもできるのか分からないですけど、誰かの困りごとを解決してみたいです。もし解決できたら、お互いに「よっしゃー!」ってなれるじゃないですか。
公務員は人から感謝される仕事
加藤:最後の質問です。地方自治体で働く醍醐味を教えてください。
同前氏:これはもう明らかで、市民の皆さんから「ありがとう」と感謝してもらえることです。「すごく良くなったわ」とか、「おかげで助かったよ」とか、そういう事を言ってもらえる仕事って多くないと思うんです。
最初私は民間企業で働いていましたが、そんな言葉を一般の方々からいただいた記憶はないので、公務員の仕事はそれがあるのが醍醐味ですかね。
加藤:「ありがとう」と言われる仕事ですか。
同前氏:はい。ただし漫然と仕事をしていてもそうはならなくて、やっぱり計画と住民の意思がマッチしているかどうかが重要だと思います。下水道事業の費用削減もそうですが、市民のニーズに応えられて初めて感謝の言葉をいただけるので。
これは例えば道路でも同じで、単純に道路を広げるのではなく「こうしたら市民の方々にとって使いやすいはずだ」という思いがあってこそ「良くなった、ありがとう!」と言ってもらえると思います。
そうやって皆さんのお役に立てる点が、役所で働く醍醐味ではないでしょうか。
(取材=加藤年紀 編集=小野寺将人)
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