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【福岡市 今村寛氏:第4話】facebookの友達承認が最初の名刺交換

福岡がナンバーワンのことを誰も言えなかった

今村寛氏:ありがとうございます。福岡ファクトっていう福岡市の広報課が作っているページがあって、福岡の良いところをもっと知ってもらうために、データを切り取って、ここの部分では福岡はナンバーワンなんだよってことを短くシンプルに伝えています。
 例えば、生活面で空港から近いとか、通勤時間が政令指定都市で最短ということ、他にもビジネス面などの分野があって、今でもどんどん追加していっているんです。

福岡空港

福岡空港 提供:福岡市役所

 というのも、最初に市長が役所の人間に「福岡がナンバーワンのことを教えてくれ」と聞いたんですが、誰もちゃんと言えなかったんです。だから、「ナンバーワンのことぐらいもっとちゃんと調べて、その魅力をさらに磨いておこうよ」って言って、いろいろやっている中で福岡ファクトに行き着いたんです。
加藤:確かに、福岡ってポジティブな情報がすごく多いんですよね。それこそ、ポジティブにまとめられた記事がfacebookとかでシェアされている印象もあります。本当は、他の地方自治体にも眠っているナンバーワンみたいなものが沢山あるんじゃないかと思うんですよね。そういったものがもっともっと伝わると良いですよね。
今村寛氏:はい。ちゃんと探したら、ナンバーワンのものはどこでもあると思います。

自治体も自分一人で全部できると思ってはいけない

加藤:以前よりも地方自治体に求められていることや、地方自治体の持つ文化もだいぶ変わってきていると思うんですが、今後さらに地方自治体及びその職員が成果を上げるには、どういったことが重要だと思いますか。
今村寛氏:独りよがりでやらないことですよね。さっき財政課長が全部支えるなんてできないという話をしましたけど、「自治体も自分で全部できると思うなよ」ってことですよね。住んでいる住民、それから活動している企業、団体。そういった人たちと一緒になる。その人達に神輿を担いでもらうぐらいのことでないと、なかなかまくいきっこないですね。
 地方創生なんて言ったって、お金も人もリソースは限られているので、やっぱりみんなが力を合わせて総力戦でやらなければいけない。そうすると「同じ方向に向かっていきましょうよ」っていうビジョンと、お互いに協力しながらやっていける信頼関係が必須になると思います。
加藤:確かにそうですよね。あとは、日本の場合は特にそうなのかも知れないですけど、市民側の感覚として、地方自治体がなんでもやってくれるというような印象を持ってしまっていると思っていて、本当は市民側も考えを変えていかないといけないとは思います。
 だから、自治体側に今村さんのような「情報公開、対話、そして信頼関係」が大事と思ってくれている方がいることは素直に嬉しいですし、それによって私も一市民としても、より良い市民へと変わっていけたら嬉しいです。
今村寛氏:行政の職員が仕事で市民と接する中で、例えば「もうお金がないので地域の清掃は自分たちでやって下さい」って言うと、「今までやってくれていたのになんでだよ」って話になるので、普段から役所の職員がもっと民間の人と友達になって、なんとなく役所の雰囲気が外に滲み出て、なんか大変そうなこととか、悩んでいることとか、あるいは大事にしていることとかを対話することで、価値観や方向性の共有ができるんじゃないかなと思うんですね。
 さっき言いましたけど、「役所の外に友達をいっぱいつくれ」と。外の友達と普通に友達付き合いをしていく中で、役所への信頼感が上がっていったり、役所と一緒に何かをやることに対する抵抗感がなくなったりするから、そういう人を増やしたいなと思います。
加藤:実際に、今村さんが最初に市役所にお勤めになられた時より、そういう外と付き合う人が増えているとお感じになりますか。
今村寛氏:そうですね。最近は、私自身が外に出ていって人と付き合うようになっているので、それが良く見えますね。東北オフサイトミーティングの真似をして、九州オフサイトミーティングという自主勉強会・交流会を始めていますけど、こんなに民間の人が来てくれるんだとか、福岡市役所のオフサイトミーティングでも民間人の方が多いぞっていう会があったりとか。
加藤:そうですよね。テクノロジーの進化で、それこそfacebookで投稿したらいろんな方が見てくれていたりして、そこに賛同して集まりたいという人もいると思うので、今は昔より自治体の方も外に出て行きやすいですし、逆に民間から見ても自治体職員の方へのハードルが下がっていると思いますね。

役所の中でしか話せないことと、外で話せることをどこまで自分で峻別できるか

今村寛氏:財政の時は仕事で外の人にあまり会わなかったんですけど、今はベンチャーの方とか大学生の方とかいろんな人と会うんです。面白いと思うのは、名刺交換した後すぐに、facebookの友達申請が来るんですよ。
 私は読まれて困るようなことは書いてないので、全然問題ないんですぐ承認しますが(笑)、昔だったら有り得ないですよね(笑)。名刺交換した後にすぐに繋がって、今日の晩飯何食べたか見られているって世界が当たり前になっているんです(笑)。
加藤:今後も自治体職員の中で、facebookのようなSNSの利用の流れが拡大していくとお感じになられていますか。
今村寛氏:そう思います。私は今それが自分自身の挑戦だと思っているんですけど、facebookの設定で投稿を全面公開にしていて、一切、公開対象を変えずにやっているんですけど、役所の人間としてそれをどこまでやれるのか、どこまで役所の仕事のことも含めて書けるのかということに挑戦しているんですね。
 facebookやインターネットの世界を見る時に、物理的に会っているか会っていないかは重要ではなくて、単純に役所の中でしか話せないことと、外で話せることをどこまで自分で峻別できるかっていうことなんですよ。
 それができないから「私はfacebookは見るだけなんです」とか、役所のホームページの更新がすごく遅かったりっていうのは実は間違いで、「みんなが毎日誰かと話している時だって、話せないことや、見せちゃいけない資料は公開していないでしょ!」って思うんです。
加藤:確かにそうですよね。市長と話をしている時、課の中で話をしている時、ご家族で話をされている時、もしくは大学の同期と話をしている時、全部話すべきことを使い分けています。その中の一つの領域が、例えばfacebookであると思えば、皆さんが感じられるリスクほどのものはないのかもしれないですね。
今村寛氏:そう思いますよ。
加藤:ただ、やはり市役所の中で今村さんは珍しいタイプにはなるのかもしれないんですけど、そこは過去にfacebookなどをあまりやらない方が良いんじゃないかとか、そういうことを言われたことはないんでしょうか。
今村寛氏:一回だけあります。一回だけ。ただ、それはそうかなって納得していて、実は議会の対応をしている中でですね、議会って今まさに、霞が関でもブラック残業の話とかありますけど、発言の通告とかがあって急に対応しなきゃいけなくなったりすることがあるんですよ。
 それを我々は隠語で爆弾と呼んだりとか、地雷って呼んだりしていたんですね、急に想定してないことが来たってことで。それを呟き気に書いた時に、「議会中に今村がそれを呟いたら、それは質問が当たってお前が嫌だと思っているってわかっちゃうよ」と言ってくれた人がいたんです。
 「議員もfacebookやっているんだから、ネガティブな反応を自分がしているってことを相手に知らせない方が良いよ」と言われて、それからは議会だけじゃなくて、大っぴらに言えないことを隠語で話すことは止めました。隠語で話すぐらいならもう書くなということです。
加藤:そうですよね。本当はfacebookをやっていきたいと思っているのに、怖くてなかなかできていないという方もいるんじゃないでしょうか。
今村寛氏:いっぱいいますよね。はい。
加藤:その中では、今村さんのアドバイスとしては、「その場で言えることをちゃんと選んで発言しなさい。そうすればリスクなんて小さいし、それによって生まれるベネフィットの方がよっぽど大きいよ」ということでしょうか。
今村寛氏:そう思いますね。私はその平成20年の東京財団の研修の時からYahoo!ブログを始めて、もう7~8年オープンな場で自分の意見を書くことをずっとやってきていますけど、やっぱりこれは訓練ですよね。毎日書いているだけで、外に出せるかどうかの文章を考える訓練にもなるし、そもそも自分の思っていることを纏めるって訓練にもなる。

facebookの友達承認が最初の名刺交換

加藤:なるほど、無理してリスクを取らずに誰でも言えるようなことから始めてもいいですもんね。ちなみに、今村さんが実際にブログやfacebookを利用されている中で一番大きなメリットは何だと思われますか。
今村寛氏:やっぱりインターネット上の会ったことのない人との繋がりですよね。加藤さんとも今日が初対面ですけど、全然初対面という感じがしないじゃないですか(笑)。これはネットの恩恵ですよね。それが気持ち悪いという人はしない方が良いと思うんですけど、会ったことがない人が自分を知っているってことを私は快いと感じるんですよね。
 「まだ会ったことがないのに、こんなに知っているんだとしたら、もし会ったらどんなに楽しく話ができるだろう」って。そう思うと、友達はどんどん作りたいし、いつかその友達がいるからという理由で、そこに会いに行ったりすることもあるだろうなって。
 私、今、出前講座などのイベントで、講師として行く場合はfacebookのイベントページに参加と意思表示している人には先に友達申請を送るんですね。どうせ会うから(笑)。会うまで1ヶ月ぐらいあるんですけど、先に友達になっておいたらお互いが毎日何しているか見れるよねって。そうするとよくあるんですけど、実際にお会いした際には「facebookではかねがね」っていう妙な挨拶をするんです(笑)。
加藤:(笑)。でも良いですよね。その時点で既にコミュニケーションの段階が進んでいるので、より深い話ができますよね。
今村寛氏:私にとってネットは会っているのと変わらないんですよね。facebookの友達承認が最初の名刺交換だと思っているので。そんな風に思うと、会ったことのある人しか承認しませんというのは、価値観の違いではありますが、なんて了見の狭い人なんだと思いますけどね(笑)。
加藤:市長もネットで情報発信をされているじゃないですか、トップがそれをやることによって文化が変わって来て、福岡市役所でもドンドン発信している方は増えているんですか。
今村寛氏:実はですね、役所的に仕事のことをfacebookで書くのは良くないとかですね、ITのルールで言うとガイドラインがあって、どうのこうのとかあるんですけど、私は結構好き勝手にやっています(笑)。
 それこそ仕事時間中にfacebookを更新していいのかどうかというあたりも微妙ですが、でも多分、処罰されるようなことはやってないよという開き直りをしているので、市長も副市長もfacebookの友達で私の投稿を見られますから、「なんかあったら言ってくるやろ」って思っています(笑)。

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※本インタビューは全7話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

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