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市役所B

HOLG編集室

感染拡大地域でも約4割の自治体で全員出勤-現場の公務員は何を想う

<HOLG.jp編集長=加藤年紀>
緊急事態宣言が全国に発令されたが、HOLG.jpでは現在の自治体の接触低減の状況について、23団体から22人の自治体の職員から状況を確認した。調査は発令前の4月16日に回答されたものである。
23団体のうち、16団体が緊急事態宣言が既に発出していた7都道府県内の自治体。また、それ以外の7団体は感染者数が多い、あるいは人口あたりの感染比率が高い愛知県、石川県、福井県内の自治体職員からの回答だった。
▼組織として職員が接触低減を進める方針があるかどうか
ある:13
ない:9
「組織としての方針がある」と答えた13自治体のうち、6自治体は内部文書レベルで外部に公表していないが、いくつかの自治体は今後公表予定だという。昨日、職員向けに方針が示されたという組織もあり、直前で対応している自治体も多いことが推測される。
▼組織全体のおおよその出勤率(※平時比)
出勤率が平時と変わらない自治体が約40%を占める。また出勤率7~9割の自治体が5団体あり、出勤率が半数以下の自治体は約35%存在する。
出勤率2割: 2団体 福岡市など
出勤率3割: 2団体 神戸市、公益財産法人小平市文化振興財団
出勤率5割: 4団体
出勤率7割: 3団体
出勤率8割: 1団体
出勤率9割: 2団体
出勤率10割: 9団体
▼テレワーク環境の有無
・あり 5自治体
・なし 17自治体
▼組織の方針について
・東京都「感染症拡大防止対策やこれに伴う雇用・経済支援などの緊急 対策、医療・福祉施設や上下水道等のライフラインの維持等に従事する職員を除いた上で、その他の職員の2割程度の出勤で業務を行えるよう、業務の休止・縮小等を行う」
・福岡市「在宅勤務、代休振替を活用し、出勤者数2割以下」
・神戸市「4/8新型コロナウイルス感染症対策最優先宣言(市役所の資源を集中・緊急性の低い業務は当面実施を見合わせ)」
「4/13 出勤する市職員の約7割削減(在宅勤務・年次有給休暇の取得・フレックスタイム制の活用)」
「定例人事異動の延期」
・公益財団法人 小平市文化振興財団(小平市から出向)「職員7割が在宅勤務」
https://www.skylarktimes.com/?p=22529
・越前市「会議室等での分散勤務」
・多摩市「交代勤務による出勤5割減」「役所内で人との接触8割減」
応急対策と福祉は交代勤務なし、ただし、執務場所を分離。遠距離通勤・疾患あり・妊娠中・保育園利用者などや新人は常時在宅勤務「通勤手段」「市民サービス提供」「職員間の仕事方法の見直し」から接触低減を目指している。
・青梅市「出勤者数2割以上削減を目途に、週5日勤務のうち1日以上在宅勤務」
最低2割減なので全庁的に取組ができる状況。企画部門5割減など、業務が減っている職場は2割減以上取組をしている。有給休暇の取得も同時に推奨しているので、実態は在宅+休暇取得で出勤者の2割減以上を実施する状況。15日から始まったばかりなので、実際に出勤者がどの程度減らせたのかは今後わかる。
・高槻市「在宅勤務、土日出勤(振替)、有給休暇取得、時差出勤による常時勤務職員の2割減」
・青梅市「出勤者2割減、1人週1日を目安に在宅勤務。公共施設休館」
・日野市「二交代制」
組織の方針が出ていないが、所属部署レベルで自発的な対応を行う事例もあった。具体的には、「2交代制/3交代制」、「事務の4割を自宅(部内共通)。保育園現場は週代わりの2班体制勤務、班内の出勤者を法令の範囲内で最低限とする」などがある。

他自治体の事例について

▼進んでいると思う他自治体
複数名前があがったのは以下の自治体。
・神戸市(https://www.kobe-np.co.jp/rentoku/covid19/202004/0013269338.shtmlhttps://www.city.kobe.lg.jp/a57337/kenko/health/corona_taiouhoshin6dan.html
・福岡市
・港区(https://www.city.minato.tokyo.jp/houdou/20200408_press.html
・渋谷区
その他、大阪府、千葉市、堺市、和泉市、藤井寺市、武蔵野市など。
▼進んでいる自治体が行っていることは何か
〇方針
・新型コロナウイルス対応を最優先に行うという宣言
・あらかじめBCPに基づく体制と運用が整っていること
・プラスのメッセージを発信
・バックキャストで「接触しない」ということをまず先に決めること。「感染が段階を踏んで、組織の出勤体制ややり方を変えることを検討する」のではない。
〇働き方の変更
・テレワーク環境構築
・自宅からネットワークサーバへアクセス出来ること
・書面会議への変更
・フレックスタイム制度の活用
〇出勤の制限
・出勤抑制
・交代勤務制
・在宅勤務の促進
〇業務の縮小/改善
・窓口業務を減らしている
・待合時間の公表
・スマホなどからの事前手続き促進(住民票取得など)
〇その他
・大幅な接触削減を目指すことで、既存事業の要否・やり方の見直しを進めた

思うこと・感じていること

▼困っていること・助けてほしいこと
・ルールを作る側だが、周知徹底にばらつきが大きいこと。
・「誰か感染者が職員から出たら」という認識なので、窓口・庁舎来訪にリスクがあることを上層部に認識させること
・財源。財源があれば、うちの情報部門は対応できると言っている
・市民への効果的な広報を知りたい
・感染が怖いのでちょっとでも人を減らして欲しい
・先進的な取り組みの情報(上司へ提案するときの武器)
・実施している組織とそうでない組織の実態が分からない、分かりにくいこと
・神戸市さんのようにトップを動かす。または、下から団結して動くなにかいい知恵がないものか考え中です
・新たにテレワーク(在宅勤務)を検討されている自治体の状況を知りたい
・金融政策や生活支援施策の詳細な解説、理解を得る為の手段が少ない
▼その他感じること
・収入の保証がない民間の方が断腸の思いで営業自粛しているのに、ひとまず収入も身分が保証されている公務員が(コロナに関係ない部署も)通常通り勤務している状況は、ますます公務員不信を招くのではと心配です。
・組織としての方針はありませんが、子どもの保育園からの登園自粛要請を理由として個人的に在宅勤務を認めてもらいました。ただ、同じ部署でも「今、急がないといけない仕事はないから、くる意味ないよね。早く上が決めてくれないかな」と言っている人は沢山います。
・在宅勤務でも自宅出張して職務専念など考えると細かいルールが多くなる。裁量を持った働きも必要だが、マインドとしてできる職員とできない職員がいる。
・庁舎内、組織内で感染者出たら、そのオフィスは全滅なのに分散配置をできないのは負け。戦況と戦略、戦術を真剣に考え、現況戦略で全滅しないことを工夫してほしい
・このコロナで市の業務の見直しや仕事のやり方を変える良い機会であると感じています。ただ、この状況下で変えられなかったものは、この先ずっと変えることができないかもと合わせて感じています
・職員の勤務日数・人数削減を検討していますが、職員は担当事務ごとに抱える必須業務が異なります。そこに配慮せずに一律削減や一律シフト化を行うと、事務の非効率化とモチベーションの低下が起こり、もし国の接触削減要請が長期化してしまった場合に、途中で息切れしてしまうのではないかと思います
・どのような形で勤務削減をするにしても「業務効率が相当に下がることは当然に起こってしまうが、そこは組織や上司が責任を持つ」というスタンスをとり、職員にしっかりと伝える、前向きに職員が削減に取り組める体制で臨むことが重要になると思います
・出勤抑制については、決定が遅かったと感じています。また、庁内勤務者に感染者が出たので、今後、急激に対応が変わる可能性があります
・この危機を機に、自治体間のネットワークがより強固になって、改善の機運が進むことを願っています
・どんな自治体も手探りの中取り組んでいると思うので、このピンチを利用して今までなかなか進まなかった取り組みが少しでも進み業務が改善するように、自分ができる限り取り組もうと思っています

まとめ

調査時点では、全国に緊急事態宣言が出されてはいなかったが、既に感染が広がる地域の自治体では、職員レベルで接触低減に対する不安が広がっていた。また、迅速な対応が進む自治体では、多くの場合首長が率先して指示を出していた。中でも顕著なのが、テレワークが出来ないから出勤するという発想ではなく、自宅に待機している中で何が出来るのかという発想に立ち返っていたことだ。
そして、先ほど(16日夜)、緊急事態宣言が全国へ発令されることとなった。今後、多くの自治体が対策を迫られることが予想される。

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