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坂本さんコラム

HOLG編集室

地方公務員オンラインサロンセミナーレポート『自主研運営の秘訣〜立ち上げから継続まで』(神奈川県大和市 坂本 勝敏さん)

文=納 翔一郎(富田林市)

「自主研」と聞いて、みなさんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?一般的には、ネットワークづくりやスキル・知識を得る場、そして、地域を知るきっかけなどを想像する人が多いかもしれません。参加者として様々な自主研の存在を知る人も多いと思いますが、今回の地方公務員オンラインサロンは、自主研運営者目線のお話でした。関東自主研サミットをはじめとする「全国で自主研と言えば、この人!」と言われる程の神奈川県大和市の坂本勝敏さんから、自主研運営の立ち上げから継続までの秘訣を教えていただきました。

<セミナーの流れ>
・自主研に魅せられて
・そもそも自主研とは?
・自主研が目指す効果
・自主研の立ち上げ方
・自主研が持つ構造的性質
・長く続ける秘訣
・運営のリアル
・おすすめプログラム
・越境で見える世界
・自主研の進化

坂本さんと自主研の出会いは、身近な人が「K33ネットワーク」という自主研に参加したことがきっかけでした。また、一人の自治体職員として課題感を抱えていたこともあり、「K33ネットワーク」参加へと繋がりました。そして、「K33ネットワーク」への参加を通じて、今までの自分は井の中の蛙だったことを痛感されたそうです。学び、視野、経験が絶対的に不足していることに気付き、ここから様々な自主研への参加や大和市自主学習グループ「Y-G」と「関東自主研サミット」の立ち上げに繋がったそうです。自主研の参加を通じて「井の中の蛙だったことに気付く」ことは、地方公務員として成長する一つのきっかけになるものだと、坂本さんのお話を聞いて私も強く共感しました。

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そもそも自主研とは、どのようなものなのでしょうか?坂本さんからは、以下の言葉の略とご紹介しました。

・自主研究活動
・自主研修活動

一言で「自主研」と言っても、その活動は、人脈形成や学び、情報共有など、多岐にわたります。活動内容は違うとしても、どれもが「自主研」であり、結論として立ち上げ時の"願い"が何よりも大切だと坂本さんは語りました。そして、自主研が目指す効果として、大きく以下の4つがあると紹介されました。

・専門スキルを高める
・幅広い知識を身につける
・地域を知る&つながる
・越境体験

これら4つに加えて、ネットワークも効果の一つと考えられます。そして、地域を知り繋がることは、自主研にとっても相性が良いです。「地域を知ることで、仕事が楽しくなることもある。」と坂本さんからもお話があり、参加者も多くの方が頷いていたのではないでしょうか。

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次に、自主研の立ち上げ方です。坂本さんからはただ一つ、「とにかくいつやるのかを決めることが全て」とのことでした。そして、自主研の立ち上げの際に押さえておくべきこととして、以下のような内容を列挙されました。

・幹事メンバーを集めること
・目的・目標を定めること
・運営の形を定めること

また、自主研は、立ち上げより継続が難しいものです。坂本さんは、過去に「関東自主研サミット」で自主研運営の実態調査を行い、継続における5年の壁があることを発見しました。自主研運営5年目以降で、活動が低下しているケースが多いとの結果だったそうです。

そして、自主研を長く続ける秘訣として、「継続することを目的化しないこと」とお話がありました。もちろん長く活動することの価値もありますが、活動のきっかけとなった"願い"に立ち返ることが大切だそうです。そして、運営が無理をせずに楽しんでやることも欠かせません。私は5年未満の自主研を運営していますが、このお話は心にしっかり留めておこうと思いました。

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次は、自主研の運営方法です。主に「代表制」「手上げ方式」「幹事制」の3つに分類することができるそうです。それぞれ、運営の負荷やフォロワーの関わり方、そして、参加者の確保方法などに良し悪しがあります。その中でどのような運営方法を選ぶのかは、活動したい内容や組織規模などにより判断すると良いでしょう。そして、自主研活動をするうえでのおすすめプログラムとして、以下のようなご紹介もありました。

・実践者等による講義+ダイアログ
・職員による業務紹介
・退職者による暗黙知継承
・政策法務研究
・その他業務研究タイプ
・ナッジ研究
・まち歩き等のフィールドワーク
・SIMなどのゲーム体験
・対話の場

自主研活動のプログラムを組む中で理解しておくべきことは、「人は自分の話を聴いてもらうことを好む傾向がある」ことだそうです。この傾向をうまく活用することで、話し手も参加者も喜ぶ「WIN-WIN」の場づくりが実現出来るかもしれません。プログラム例を参考に、私も自主研での活動を改めて考えてみようと思えたご紹介でした。

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次は、自主研による越境のお話でした。現在、世の中は確実に急速に変化しています。過去の自治体では「より良い政策をつくるスキル」が必要でしたが、これからは様々な現代課題に応じたスキルや知識が必要になります。そのような中で外部人材活用などの施策をとる自治体も増えていますが、同時に、地方公務員自身の視座を上げる必要もあるとのことでした。そのため、自主研で越境体験の機会を得ることができるため、自主研運営自体にも価値があるというお話でした。

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最後は、これからの自主研についてです。自主研の過去や要素の分解、今後関連する外部要因、未来予測を基に、坂本さんは自主研の分析を行いました。そこで見えたことは、社会変動が大きく動いている中で外部要因が大きく変わってきていることでした。そのため、これからの地方公務員には、多様なインプットが必要不可欠になるそうです。また、オンライン学習の機会増による受動的な傾向や同種性の高まりによる越境機会の低下なども課題としてあげられました。このような課題感も含めて、坂本さんのノウハウやこれまで培ってきた知見は、noteにまとめてられています。ぜひこのnoteもご覧いただき、今後の自主研運営の参考にしてみてください。
https://note.com/sakakatu

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今回の坂本さんのオンラインセミナーでは、自主研運営に関する様々なノウハウを学ばせていただきました。自主研を運営するとなると大変なことも多々ありますが、ここまでノウハウが分解して整理されていると、誰でも自主研運営をすることが出来るのではないかと私は思いました。時代の流れと共に自主研の在り方も変化していますが、その中でも本質的なことを改めて教えてもらったオンラインセミナーでした。

▼坂本 勝敏(さかもと かつとし)さん
神奈川県大和市。関東自主研サミット実行委員会。神奈川県大和市役所入庁後、財政課、障害福祉課、教育総務課、すくすく子育て課を経て、現在は病院事務局経営戦略室の係長として、病院の経営改革に取り組む。庁外では、スキルを高める勉強会などを主催する自主研修活動に深く関わる。神奈川県自治政策研究会「K33ネットワーク」にも参画し、広域で自主研グループが一堂に会する関東自主研サミットの実行委員会では代表的な役割を務めながら活動している。
▼今後開催予定のオンラインセミナー

【2月4日(金) 20:00〜21:15】
第4回 超実践会議『泥臭いDX推進を考える-農林水産省eMAFFの事例から』

【2月8日(火) 21:00~23:00】
講演-鈴木文彦さん(大和総研)
『自治体の財政診断入門: 「損益計算書」を作れば稼ぐ力がわかる』

【2月16日(水) 21:00~22:30】
講演-田鹿倫基さん(日南市マーケティング専門官)
『誰でも簡単!地方公務員が知っておくべき地域データ活用の手順』

【2月21日(月) 21:00~22:30】
パネルディスカッション-「公務員→民間」転職者のリアル
登壇者:菊川小百合松尾泰貴柳橋雅彦

地方公務員オンラインサロンでは、月に3〜5回のペースで、魅力的なオンラインセミナーが開催されています。今回のような、地方公務員が持つノウハウのシェアも多々行われています。また、アーカイブで過去のオンラインセミナーを視聴することもできますので、ぜひご参加の上、ご覧ください。

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