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公務員が生成AIでプログラミング?日向市で進むバイブコーディングの実態とは

日向市は、令和8年7月22日に開催された日本DX大賞において、庁内DX部門の「奨励賞」を受賞した。評価されたポイントは、API連携やアプリ開発にまで踏み込んだ生成AI活用の実践と、約8割の職員が生成AIを活用し、効果測定の指標となる生成AIの効率化測定ロジックを整備した実績である。

特筆すべきは、削減効果のうちプログラミングが大きな割合を占めていることだ。IT企業などでは、非エンジニア職が生成AIを活用したプログラミングによって業務改善を進める事例を、耳にする機会が増えてきた。

一方、地方自治体において、こうした事例を耳にする機会はまだ少ない。
本記事では日向市行政改革・デジタル推進課 主任主事の平山凌さんに、その内情について伺った。(日向市は正職員数約600人、会計年度任用職員等を含むと約900人)

1.生成AIを活用したプログラミングの事例

Q.生成AIを活用したプログラミングによる業務改善事例の件数と、取り組んだ職員数(実人数)を教えて下さい

平山氏:生成AIアカウント付与者680人を対象に活用状況についてアンケートを取っています。回答数が280件だったため、すべてを網羅できているわけではありませんが、そのアンケートでは15人がプログラミングをしていると回答しました。アンケートの回答数が正職員数の約半分なので、実際にはもう少し多いかもしれません。

Q.具体的にはどのような改善が生まれていますか?

平山氏:アプリを作ったり、ExcelやAccessでマクロを書いたりしていることが多いようです。最も効果が大きかったのは、ふるさと納税担当がExcelのマクロを作って、年間240時間かかる作業を4時間で終わらせたそうです。

Q.具体的にはどのような実務だったのでしょうか?

平山氏:システムから抽出したデータの加工や、寄附者の属性分析です。データから居住エリア、年代、返礼品の分類を自動で行い、分析結果を返礼品事業者の訪問用資料に出力することができるようになったと聞いています。リピート率の算出などもおこなっているようです。

Q.これまで、どのようなアプリを開発してきましたか?

平山氏:自分が作ったもので恐縮ですが、先週サクッと作ったものがあります。1階の総合案内にモニターがあり、そのモニターに当日の会議情報を載せています。今まではExcelに入力していましたが、リアルタイムに反映できないという課題がありました。現在は、専用の入力画面に情報を入力すると、モニターへすぐに反映されるようになりました。

他には、日向市のプロモーションに活用できる画像がグループウェアの中にあったのですが、ファイル名だけでは、どれが使いたいものかわからないところがありました。そこで、画像を一覧表示し、使いたい画像を簡単に見つけられるようにして、クリックするとダウンロードできるアプリを作りました。この他、別の課の職員が、業務フローを作成できるアプリを作ったりしています。

(これまでの画面)

(開発したアプリで簡単に画像の中身が分かるように)

Q.最も大きな業務改善効果が生まれているのは、どのような作業や開発手法ですか?

平山氏:Excelのマクロだと思います。公務員はExcelを使って様々な業務を日々こなしているので、そういった業務を自動化できるというのは効果が大きいと思います。

Q.メールアプリとの連携などもできますか?

平山氏:当市はサイボウズ社のGaroon(ガルーン)というグループウェアを使っていますが、APIという技術によって生成AIと連携させています。例えば、メールの返信をする際に、「Hyuga_AI」というボタンをクリックして、お礼というボタンをクリックすると自動で返信案が作られます。そこで、OKボタンをクリックするとすぐ送信できる状況になります。

(出典:日本DX大賞2026)

Q.職員が業務改善のアイデアを思いついてから、実際にプログラムの作成を始めるまで、どのような手順で進めていますか?

平山氏:うちの部署に相談があった場合には、その対象業務や背景を確認します。その上で必要に応じてプロトタイプなどをこちらで作り、それをもとに改善を進めることが多いです。相談がなく、そのまま自分で作る方もいます。私に相談に来るのは月1件くらいなので、自分でやっている方のほうが多いのではないかと思います。あと、私から他の部署に声をかけて、アプリを作ることもあります。先ほどのプロモーション画像のアプリもその例です。

2.生成AIを活用したプログラミングができる職員を増やすには

Q.最初に生成AIを活用したプログラミングを始めた職員は、どのような経歴の方で、どのような取組を行いましたか?

平山氏:令和6年頃からだと思います。各部から1名ずつ選出して12人くらいのプロジェクトチームを組んでいたことがあり、その方々が電卓アプリやExcelのマクロを作っていました。

Q.その後、どのような部署や経歴の職員に広がりましたか?

平山氏:部署はバラバラです。年齢層は20代後半から30代が多い印象です。自主学習グループでゲームを作ったり、研修を実施したりする中で、取組が広がっています。もともと詳しい人がさらにできるようになったというケースが多いですが、触れることで興味が出た人もいます。

Q.取組の広がりを強く感じた出来事やタイミングはありましたか?

平山氏:一つは令和6年12月に、AIを使ってExcelマクロのコードを書く研修をおこなった時です。もう一つは令和8年3月に、バイブコーディングの研修を開催したことですね。実際にその研修で作ったウェブアプリをウェブサーバーに載せています。

3.業務環境等

Q.職場でプログラミングを行う際、どの生成AIサービスを利用できますか?

平山氏:コードを書くのはAzure OpenAIを基盤として開発した「Hyuga_AI」というアプリです。ChatGPTやGeminiなど、外部の生成AIサービスの業務利用は、セキュリティの観点から禁止しています。「Hyuga_AI」に入力した情報はAIモデルの学習データとして利用されないため、機密情報も扱えるようにしています。

また、「Hyuga_AI」ではRAGにマニュアルなどを取り込んでおり、各課の課長の判断で新たな情報を登録できます。

Q.原則として、すべての正職員が上記のツールを利用できるのでしょうか?

平山氏:正職員は基本的に全員が利用できます。会計年度任用職員も、申請すれば利用でき、現在は60~70人にアカウントが割り振られています。

Q.作成したプログラムは、他の職員のパソコンでも簡単に利用できますか?

平山氏:可能です。職員が作ったものを、当課が紹介することもあります。

Q.作成したコードやアプリを保管・共有する場所はありますか?

平山氏:アプリについては、ウェブサーバーに載せたものは職員がアクセスできるようにしていて、庁内の広報誌でも紹介しています。

(出典:日本DX大賞2026)

Q.業務時間中に、プログラミングを学んだり、開発したりすることは認められていますか?

平山氏:目的となる成果物があれば可能です。日向市の管理職は全員が生成AIを多く使っているので、かなり理解があると思います。

Q.生成AIを活用して業務改善をおこなった職員を、評価や表彰する仕組みはありますか?

平山氏:既存の人事評価制度において、「業務改善」という項目で各課の課長が判断して評価することになると思います。DXに関する表彰制度は行っていませんが、今後検討したいと思っています。

4.組織内の役割分担

Q.行政改革・デジタル推進課内の人数と役割を教えて下さい

平山氏:課の人数は正職員が11人です。CIO補佐官と課長のほか、ICT推進係(DX推進)が3人、情報管理係(情報インフラ整備)が4人、行革推進係(行政改革)が2人です。生成AIの利用促進は、私とソフトバンク社から出向いただいているCIO補佐官の2人で行っており、アカウント管理や、利用促進のほか、プログラミングに限らずツール全般の研修なども行っています。

Q.どのような研修を行いましたか?

平山氏:部署別、職位別に「Hyuga_AI」の研修を行ったり、バイブコーディング研修やAIアプリ作成研修、データ分析研修などテーマを分けて研修を行っています。令和7年度には39回開催し、514名が参加しました。

(出典:日本DX大賞2026)

Q.原課に課している目標などはあるのでしょうか?

平山氏:特にはありません。ただし、令和6年7月の導入当初から、利用率が低いところにはCIO補佐官が研修を行っていました。

Q.ソフトバンクグループとの包括連携協定は、どのような役割を果たしましたか?

平山氏:導入前から伴走支援をいただいているため、生成AIの導入や浸透を迅速に進めることができました。また、週次で定例会をおこなっていて、最新の知見を得ることができるのも大きいです。

5.課題と今後の展望

Q.生成AIを活用したプログラミングができる職員を増やすうえで、最も大きな課題を3つ挙げるとすれば、何でしょうか?

平山氏:一つ目は、セキュリティ面で気を付ける必要があること。二つ目は、ウェブサーバーの管理が属人化していること。三つ目は、各課で作ったアプリを全庁展開したり、保存・共有したりするためのルールが十分に整っていないことです。

Q.それらの課題に対して、どのような打ち手を検討していますか?

平山氏:人材育成やアウトソーシングなどによって対応したいと思います。

Q.生成AIを活用したプログラミングによる業務改善の効果は、今後さらに高まるとお考えですか。また、取組が頭打ちになるとすれば、どのような要因が考えられますか?

平山氏:高まっていくと思っています。以前より、本格的なシステムが作れるようになってきました。頭打ちになるとすると、コードの仕組みを把握しないまま開発を行うので、大きな仕様変更があったときに対応できない可能性があることだと思います。

Q.プログラミングに苦手意識がある人もいます。そういう人はどこから手を付けるといいですか?

平山氏:ExcelのVBAなど、身近なところからプログラムを実際に書くのがいいのではないかと思います。書籍などもありますが、ネットやYouTubeで探せば簡単なものから学ぶこともできると思います。

Q.日向市および全国の自治体で働く、プログラミング未経験の職員に向けて、メッセージをいただけますか?

平山氏:やり方はAIに聞けば出てくるので、AIに聞くのが早いと思います。同じような業務を全国で行っているので、広域で人材をシェアしたり、日向市にできるのであれば、他の市町村も支援したいと考えています。(※令和7年に40自治体が日向市を視察)

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