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林有理2

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【四條畷副市長 林有理 #2】日本一前向きな市役所には、職員の存在意義が不可欠

職員の覇気をより引き出したい

加藤(インタビュアー):林さんは入庁されてから、まずどんな課題感を持たれましたか。

林氏:一言でいうと、「覇気」について考えることが増えました。というのも、私がかつていたリクルートという会社がちょっと極端で、覇気でできているような組織でしたから(笑)。職員の覇気については気になるポイントでした。

加藤:民間企業のなかでも、リクルートさんは特にそんな特徴がありますよね。

林氏:そうなんです。リクルートって「私たちは何のためにここに存在しているのか」を強く意識する文化があるんですね。行政の中に入ったとき、その問いに答えられない職員が目についたので課題意識を持ちました。
 「日本一前向きな市役所」を目指す上で、職員の覇気というか、当事者意識がより必要になりますよね。職員に「その仕事は何のためにあるのか」と聞いたとき、スパーンと答えてもらえるようにしたいと思いました。

加藤:仕事の存在意義を質問した当時、職員からはどんな回答が多かったのでしょうか。

林氏:「上(国や府、上司等)から言われているから」「行政としてやるべきだから」「他市から預かってきてしまったから」とかですね。
 そういう回答ではなく、未来のまちを作っていく意識が感じられるような発言を、特にマネジメント層から引き出せるようにしなければと思いました。

「当事者意識」への奮闘

加藤:では副市長に就任された頃は、そうとう悩まれたのではないでしょうか。

林氏:このインタビューに際し、当時のメモを見返してみたんですけど、なかなか辛辣なことを書いていました(笑) 。もちろん良いこともたくさん書いてありますし、課題点についても今となっては「まぁまぁそう言うなよ」っていう気持ちになっているところもありますが。

加藤:具体的にどんなことを書かれたのでしょうか。

林氏:まず、「データで語らない」というメモがありました。成果目標が明確に定められていないことが多いんですよね。そうなると改善する視点や、よりインパクトのあるアウトプットを出す視点を持ちにくくなります。
 課題解決志向という視点がなければ、自ら進んで行動できませんよね。その課題解決志向の土台には、具体的な根拠やデータが要ります。とりあえず気合でカバーできることもあるのかもしれませんが、持続性は低いものです。
 そのような課題解決志向は、担当している事象をこのように改善したいという当事者意識につながります。そこはとても重視しています。そのような意識から他部署との連携もスムーズになったり。

加藤:当事者意識というのが重要なキーワードなんですね。

林氏:当時者意識がある職員ももちろんいるんですが、当時は総じて低いように感じました。今となってはそのようなことを表に出すタイプが少なく、裏に秘めているとも感じていますが。どうしたら皆を駆り立てられるのか、そのためには私自身が変わる必要性も同時に感じていて、そこは悩んでいましたね。

覇気がない背景を紐解くと

加藤:なぜ覇気が感じられなかったのでしょうか。

林氏:のちに時間が経ってからですが、その原因がわかってきました。四條畷市は15~20年ほど前に財政破綻ぎりぎりのところまで落ち込んだんですね。それこそ財政の健全化リストに上がるぐらいまで。
 当時は民間企業出身の方を上部層に入れ、大きな行財政改革を進める中で、原則、どのような新規施策も一切やらず、人員調整などもいとわない様な変革の時期がありました。

加藤:つまり職員からすれば、挑戦させてもらえない時期が続いたのですね。

林氏:まさに現在のミドルマネジメント層から部長級は、当時若くて伸び行く時代だったのにもかかわらず、「一切何もやるな(できない)」と言われ続けたようです。「とにかく縮小を目指せ」「他市でやっていることは、羨ましいかも知れないけれど見るな」と。
 そうやって10年以上育てられた方々ですから、今になって急に何か新たなことをやろう!というような挑戦や覇気を求めるのは難しかったんだろうと思います。

加藤:そういう背景があったのですね。

林氏:課長代理のレイヤーから部長級まで一人ひとりと個別に面談をして、少しずつその辺りの背景を理解できました。皆さん個々人と話すとモチベーションは決して低くないのですが、組織になると違ってくるんです。「日本一前向きな市役所」にしたいわけですから、その謎を紐解くことは重要だと思っていました。
 東市長が作ろうとしている未来は、投資的な考え方をベースに「考えろ」「凝り固まるな」という方向性ですから、これまでの常識を理解した上で、変えていくところからが私の役割だったのだと思います。

(取材=加藤年紀 編集=小野寺将人)

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※本インタビューは全6話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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