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【横浜市 林琢己副市長 #5】水戸黄門型の仕事の失敗と、戦国武将に学ぶ役所の動かし方

林琢己副市長5

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戦国武将に学ぶプロジェクトを実現する力

加藤(インタビュアー):林さんは多くのプロジェクトを実現されてきました。成功させるコツを教えてください。

林氏:プロジェクトは個人プレーではできません。発案者は上司、職員、関係者を巻き込んでまさにチームワーク良く進めないとうまくいきません。順調に進めば問題ないですが、ありがちなのは、新しいプロジェクトは、前例がないというだけで、否定する人がいるんですよね。「今何が求められているのか?」よりも「どうしたらリスクを拾わないか?」という感覚ですね。減点的な仕事感覚だと、どうしても保身的に考えたり、縦割り感覚がそうさせたりと、色々理由はあります。そういう場合にどう説得するかがポイントになりますよね。

加藤:そんなときはどうしたら良いですか。

林氏:相手がリスクを恐れるタイプであれば、「もしこれを実行しないと、こういうリスクがあり、必ず問題化しますよ」といった危機感を主体に伝える方が効果的な場合もあります。さっきお話した平潟湾の件なんかはこのケースですね。あとは大坂夏の陣じゃないけど、手ごわそうな場合は、外堀を埋めていく。関連部署や関係者の同意を取り付けながら、ツッコミにも耐えられるようにし、かつ、止めると乗り遅れてしまう状況をつくる努力をします。

加藤:面白いですね。リスクを嫌うタイプには有効な気がします。

林氏:難しい調整や交渉があるときは、時々戦国武将の戦い方を参考にします。例えば島津藩の「釣り野伏せ」っていう戦法があって、戦いに負けたふりをして敵を誘い込み、伏せていた兵が一斉攻撃を仕掛けるんです。これを参考にして、相手に言わせるだけ言わせて最後一斉に急所を攻めるっていう……これは記事にするような話じゃないか(笑)。良い公務員はマネしないでください。

加藤:いえいえ、すごく参考になると思います(笑)。

林氏:これが正しい公務員像かはわかりませんが、「こうすべきだからやらせてください」というような説明手法だけでは、なかなか堅いガードは突破できないことが多いですよ。場数を踏んで、自分なりのやり方でプロジェクトを通す力を鍛えられると良いと思います。そして管理職の立場であれば、リスクは自分が拾うことも大事です。

水戸黄門型の仕事の弊害

加藤:林さんご自身が、これは失敗だったと思う経験談を伺えますか。

林氏:失敗にも色々ありますよね。見かけ上の目標は達成したけれど、自分の中で違和感が残る仕事とかね。金沢区の新任係長時代に戻りますが、当時八景島シーパラダイスの開業に合わせて、歩行者用の案内サイン計画を具体化しようとしました。金沢区の緑や歴史を感じられる凝ったデザインのサインを、歩道上や、駅施設、などに設置していくものです。

加藤:道路交通関係は衝突が多そうですね。

林氏:まさにその通りで、サイン一つ立てるだけでも関係部署がたくさんあり、当時権限のない区役所がまとめていくのは大変でした。占用許可や、維持管理などの調整が必要だし、場所によってお金は誰が出すとか、まあいろいろと苦労しました。最終的には10か所位設置しました。当初は達成感もあったのですが、区民からしたら「気がついたら役所がなんか設置したね、そういえば」ぐらいの反応でした。私としては非常に苦労してやりとげたんですけど、その効果はあまり実感できませんでした。

加藤:ちょっと悲しいですね。

林氏:当時私なりに悩んで出した結論は、「全部自分の力で解決しました」みたいな感覚で進めたこと、副将軍でもないのに「水戸黄門型」の仕事をしてしまったことが反省点でした。区民参加でデザインを決めていくなど、地域を巻き込んだ進め方をしていれば、区民共有の財産としてもっと親しまれるものになったと思います。これは私にとって将来の糧になる失敗でした。この経験は、後に携わる区役所への権限移譲の仕事や、市民や事業者との協働を進めていくモチベーションの原点になったと思います。

人生でやり遂げたいこと

加藤:その経験談は、今回一貫して話されているオープンイノベーションやパートナーシップの話とも繋がりますね。

林氏:横浜市がこれだけ成長できたのは、豊富で多様な市民力によるものです。山下公園は、市民が関東大震災のがれきを埋め立ててできたものです。横浜市に限らず、基礎自治体のパワーの源は市民力、地域力であると思っていて、私個人としても生き方のテーマになっています。私が参加していたコミュニティカフェのような、地域の人たちと一緒にやっていく活動は、今後も関わっていきたいという気持ちはあります。

加藤:他にも個人としてやりたいことはありますか。

林氏:なんでしょうね。加藤さんみたいな起業家と話をすると、そういう生き方も素晴らしいと思います。特別なスキルや能力がある方でもないので、これまで関わった方々に助けてもらいながら何かできたら良いですね。ただ今のところ考える余裕もないので、それこそお役御免になってから考えますよ(笑)。

加藤:そうなんですね(笑)。インタビューは以上です。ありがとうございました。

(取材=加藤年紀 編集=小野寺)

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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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