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【備前市 同前嘉浩 #3】「やる気に不可能なし」、改革に終わりはない

上司の説得が一番難しい

加藤:下水道事業の費用を抑えるための方法をいろいろと伺ってきましたが、最も大変だったところを教えてください。

同前氏:上司の理解をもらうのが、一番難しかったですね。地元の方が理解してくれても、例えば洪水が起こるような大雨が降った時に、何かあったら市が責任取れと言われるリスクは選びたくないと思うわけでして。
 そこの上司の不安を解消するのは、それなりに時間がかかりました。説明のための資料を何パターンも用意して伝え続けました。

加藤:説明しても分かってもらえないときはどうされましたか。

同前氏:そこは1回で諦めずに、ダメだと言われても数日後に伝えて、2週間後に伝えて、2ヶ月待ってからまた伝えて、という具合に何度も伝えていました(笑)。今でこそ笑って話せますが、何回もチャレンジするのは結構きつかったですね。
 大雨のリスクに対しては予備の水路があるとか、宅地化されているからこの水路は必要ないとか、市民に説明するような感じで上司にも一つひとつ伝えていましたね。

「市の未来のため」

加藤:計画変更には多くの方を説得する必要があったと思いますが、伝える上で大切なことは何だと思われますか。

同前氏:私の場合、必ず伝えていたのは「市の未来のため」ですね。市民にも上司にも、一貫して「市のためになることをしたい」と発信し続けていました。

加藤:そのメッセージが重要なのですね。

同前氏:そう思います。実際に試算をしたら、現状の下水道事業を放っておくと財政破綻は免れないとわかってしまったので、それだけは避けたいと皆さんに伝えてきました。それが少しずつ伝わって、「市の未来のためなら仕方ない」と思ってもらえたのかなと思います。

加藤:他の自治体でも下水道事業の費用は課題になっていると思いますが、同前さんのやり方が他でも使えると思いますか。

同前氏:新聞等のメディアでもこのお話をしてから、他市の方から質問が来るんですね。それに答えていたら、ある時「うちで試したら1億円ぐらい削減できた」と教えてくださった方がいました。なので他でも使えると思いますし、そうやってお役に立てているのであればそれは嬉しいですね。

やる気に不可能なし

加藤:他の市でも効果が出たとのことですが、やはりお話を伺っていると相当な意思や覚悟がないとできない気もしています。改めて、なぜ同前さんは実現できたと思われますか。

同前氏:これはやろうと思えば皆さんできる範疇の仕事だと思うんですね。私は「やる気に不可能なし」という言葉を大切にしているんですけど、私がしてきたことはやる気になれさえすればできることかなと。
 下水道事業に必要な知識を得ることも、一つひとつの改革も、それなりに大変なことだとは思います。綺麗事のようですが、そこは「市の未来のため」と思ってやる気を出していければ突破できるのではないでしょうか。

LINEを導入して年間数百時間を削減

加藤:大きな成果を残すためには、どうしても業務量は増えてしまう傾向があると思います。同前さんは何か工夫をされていましたか。

同前氏:恐らくどこの役所でも無駄な業務はあると思うのですが、それはどんどん減らしていくと良いですよね。不要な事務作業が見つかったら、必要がない証拠を揃えて「これ要らないですよね」と上司に説明して、その事務を丸々なくしてみたりとか。そこで生まれた時間を事業の改革に充てていくイメージです。

加藤:下水道事業のなかで時間効率を上げる施策はありますか。

同前氏:一番効果があったと思うのが、LINEの活用ですね。私たちの業務は現場の管理もするのですが、何かトラブルがあったときや確認が必要なときに業者の方から「とりあえずちょっと来て欲しい」と呼ばれるんですよね。現場をたくさん持っていれば一日に数回呼ばれることもあって、往復の移動だけでも数時間取られてしまうんです。

加藤:それだと他の仕事ができませんね。

同前氏:これは効率化しなければと思い、業者の方とLINEで繋がることで画像のやり取りができるようにしたんですね。個人のスマホで繋がると癒着の疑いが生まれるので、情報政策の部署に相談してiPadを貸し出してもらって、下水道課としてLINEを使わせてもらいました。このおかげで、恐らく年間何百時間の効率化ができたと思います。

改革に終わりなし

加藤:今後力を入れていきたいことはありますか。

同前氏:まずは何より、残り一年で終わる予定の下水道整備を無事に完結させることです。これまで以上に臨機応変に対応できるよう、先ほどのLINEの話も含めて関係性の構築をしていきます。
 あとは引き続き下水道事業の費用を抑える工夫ですね。老朽下水道管更新時の浅層埋設であったり、あとは処理場の広域化も大事なテーマです。

加藤:広域化とはつまり、他の市町村と連携するのですね。

同前氏:そうですね。今までは市町村単位で処理場を作って浄化させるのが普通だったんですけれども、そこを広域的に処理するような施設が必要だと思っています。次から次に手を打っていかないといけないので、改革には終わりがないですね。

(取材=加藤年紀 編集=小野寺将人)

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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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