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高倉万記子

コラム 事例を知る 情報システム

政策批判の前に-高倉万記子

【高倉万記子氏 経歴】 一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)インターネットトラストセンター企画グループ主査。 2000年に愛媛県の八幡浜市役所入庁。市民課を経て、2003年に基幹系システムの保守運用開発部門に異動し、国民健康保険や福祉制度業務等を担当。2013年に、愛媛県後期高齢者医療広域連合へシステム担当として派遣され、マイナンバー制度等の導入作業を行う。 総務省自治大学校の行う情報システム領域における育成研修において、パネルディスカッションのコーディネーターを務め、自治体職員に対してマイナンバーやSNS活用の講師等を行っている。

 かねてから日本のGDPが諸外国に比べ低いのはリテラシーがある人は知っているし、数年前から生産性の低さが取り上げられ、政府も生産性革命に取り組んでいた。
 今回、デジタル化をしなければいけない、ということが多くの国民に受け入れられることになったのはコロナによる生命の危機、給付金がすぐに受け取れないという各人の経済危機を思い知らされ、またスムーズにマスクを配布したり経済対策をしている諸外国と対比され報道されたことにより、政治や日本の将来にも関心のないような高齢者、主婦層までが「よくわからないけど、日本はデジタル化をしないと私も困るのか」と気づくことになったことが大きいのだと思う。
 そのデジタル庁の議論の研修の様子が報道されているが、参加しているのはマイナンバー制度開始から携わられている、見慣れた面々。一方でマイナンバー制度に対する批判がIT業界や行政関係からも聞こえ始めた。ときとして、日本政府は諸外国の様子もテクノロジーも無知なのか、と言わんばかりな糾弾もみかける。それはちょっと違うと言いたい。
 「情報が芋づるに抜かれるのではないか。」
 そんな仕組みになってない。中央でデータを集めず、分散管理。アクセスできる組織も法律とシステムの両面から制御している。一方で、「なぜそんな複雑な仕組みにしたのか」とも言われる。それは住基ネットの最高裁判決が影響しているからだろう。
 「北欧すごい。北欧見習え。」
 もちろん制度を作る時に諸外国の調査をしている。北欧だけでなく、アメリカや韓国など、周りの国の失敗も参考にして制度を作っている。
 北欧は教会が住民の情報を管理する風土で、住民が管理されることの抵抗もない。(参考:国勢調査と住民記録 行政記録情報により人口センサスを行なっている国(2)北欧諸国
 北欧は各個人の所得も公開されている。(AFPBB通信:全国民の納税記録がネットで閲覧可能 ノルウェー
 制度が日本のように複雑でなく、所得制限もないという話も聞く。
 そもそも諸外国は人口が少ない。日本の規模でIDを振っている国は限られる。このような背景でいかに制度を作って運用するのが難しいことであるか。
 「マイナンバーをどうして配るの」
 マイナンバーはもう皆さんに付いています。
 マイナンバーとマイナンバーカードは別物。
 JavaとJavaScript、インドとインドネシア、カレーとタンカレーぐらい違う。
 これも制度が始まってもう5年以上経つのに、未だにメディアで説明しなくてはならない状況だ。マイナンバーカードという名付けをした時には、マイナンバーと違うということを一般の人に理解させるのにここまで時間と労力がかかることを予見できていなかったのではないだろうか。それは、ほとんどの国民に使ってもらうことになる道具やルールを、高学歴、もといそれなりに理解力ある人たちばかりの世界でものごとを決めてしまうことが原因ではないだろうか。普及のコストを考えた制度設計も大切だし、広報に力を入れた方が良いのだろうなとは思う。
 今までなんとか世の中に貢献しようと努力してきた人たちへのリスペクトが見られず、持っているスマフォで過去の情報を調べることもなく批判投稿に熱心な人は、情報を読み解く力がないのだなと思うが、行政の仕事をする上で、ルールがどういう背景で作られたのか、歴史を学ぶことはとても大事なことだと思うのです。ちょっと目の前のパソコンやスマフォで調べればわかることはたくさんある。その上でおかしいと思ったことに声をあげれば良い。もちろん、自治体のビジネスに関わる人も。

【高倉万記子氏の過去のインタビュー】

システムのスペシャリストが創出した役所の外に広がる輪

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