(PR) 学びと人脈が自宅で手に入る。全国で300名以上が参加する、地方公務員オンラインサロンの詳細はコチラ

コラム

コラム

これからの働き方を考えたら、地方自治体がまず変わるべきことが見えてきた話

「○○代は××しろ」という考え方

 最近思うのだが、10年スパンで人生を考えるというのは、案外理に適っているのかも知れない。
 もともと私は、「○○代は××しろ」みたいな考え方は好きではなかった。特に「20代の苦行は善である」という良く聞かれる話が一番気になる。
 それを言っている人は、自分の過去を美化し、現状の「がんばらない自分」に言い訳をし、挙句の果てには若い人に面倒を押し付ける卑しさがある。
 ただ、この「○○代は××しろ」という考え方の一部となっている、「10年スパン」というフレームについてはあながちくだらない話ではないかも知れない。何かに取り組み、そしてそれを自分の武器にするということにおいて、「10年スパン」というのはアリではないか。
 その理由としては、単純に10年という数字がシンプルでわかりやすい(わかりやすいって大事)。また、「天才と呼ばれるまでのスキルを得るには、1万時間かけることが水準になる(※)」としたとき、その現実的な実行期間として10年間は適切のように思える。
(※)「天才!」マルコム・グラドウェル著 より
 なぜこのholg.jpのコラムで「10年スパン」の話をしているのかというと、これから訪れる労働環境の変化に対して、一人ひとりがなにをどう準備していくべきか考える上で役に立ちそうな話であり、そしてそれはどうも、このholg.jpのテーマである「地方自治体を応援する」話に繋がりそうだからである。

「LIFE SHIFT」「WORK SHIFT」から学ぶ2025年の社会

 未来の話なので絶対ということはあり得ないが、昨年話題になった「LIFE SHIFT」のリンダ・グラットン氏の著書「WORK SHIFT」が伝える2025年の予想図は、知っておいて損はないだろう。
 私は1986年生まれなので、いわゆるY世代(あるいはミレニアル世代)に属する。Y世代は「ワークライフ・バランス」や「環境意識・ソーシャルな活動」などに関心が高い傾向があるのだが、2025年にはその価値観が会社・社会に反映されやすくなり、実社会で制度化されていく。
 具体的には、「週休3日」や「リモートワーク」、「副業」などが当たり前になる。これらは2017年の現在でも、実施に踏み切る企業が増えてきていることからも明らかだ。
 さらに、2025年にはAI・ロボットの進化がいよいよ本格化し、同時に中国・インドからのエンジニア流入が増えることで、現在ある多くの業務が自動化、もしくは代替されていく。
 あらゆる業務が自動化・代替化されることで社会や組織全体の生産性が向上し、全体として「余暇時間・課外活動の時間が増加」することになる。これには先に触れたY世代の「ワークライフ・バランスを重視する」といった考え方も大きく影響する。
 そうすると、前述した制度の変化と相まって、これまでの「平日は会社で仕事、休日は家族サービス・趣味」というモデルは崩壊し、多層的な暮らしが訪れる。
 このように1日単位でも多層化は進むが、人生全体においてもこれは同様である。長寿化が進み「人生100年」ともなれば、65歳で引退してもあと35年ただ漫然と生きるだけというわけにはいかないから、結果として常になにかをやり続けることになる。
 そのとき、例えば70歳の自分が、ある程度自分で仕事を選べるだけの条件を持ち合わせていなければ、日々を「やりたくないこと」に時間を割くことになるかも知れない。

人生の最期までイキイキと生きるヒント「10年1山」

 このように多層化する人生において、最期までイキイキと生きるにはどうしたらよいのだろうか。その手段の一つとして推薦したいのが、冒頭の「10年スパン」ということになる。
 リクルート出身で、公立中学校の校長も勤められた藤原和博氏の「坂の上の坂」理論、つまり人生の山は一つじゃなくなった時代においては、自ら山を複数設定することが必要になる。その設定をする上で、10年スパン、つまり「10年1山」と考えてみてはどうだろうか。
 社会の変化が速度を増す中で、その時代その時代に求められる人材になるには変化を受け入れ続ける素養が必要になる。「10年1山」の意識はその助けとなるだろう。
 常に時代が求めるスキルを見極め、10年かけてAIや他国の人材に代替されないレベルまで伸ばす。スキルの選択は、自分が好きなこと、やりたいこと、向いていることの中から選び続けることで、最期までイキイキと生きることができるのではないかと思う。
 ちなみに、藤原氏によればスキルの掛け算は人材としての希少性を高めることになるので、高いスキルを複数持つことはそういう意味でも有用ではないかと思う。

ますます地域のアピールは重要性を増し、さらにその方法を根本から変える必要がある

 2025年の未来予想で出てきたキーワード「週休3日」「リモートワーク」「副業」「余暇時間・課外活動の時間の増加」を見て、何か気づくことはないだろうか。
 それは、居住地域で過ごす時間が大幅に増えるということである。それにより、これまでよりも居住地域にこだわる人が増えてくるだろう。もし完全リモートワークの仕事ということであれば、もはや職場の所在地に縛られることが全くなくなるという人も増える。
 居住地域については、万人にとって住みやすい街というのはなく、やはり自分がなにに価値を感じるかを理解して探すことが不可欠だろう。自治体側の立場から言えば、なにを強みとし、どんなメッセージがささるのか、これまで以上に知恵を絞ることが必要になる。
 そのときに重要なスタンスとしては、組織の方が個人よりも影響力があると思わないことだ。組織名や役職名といったいわゆる権威が持つ影響力というのは年々衰え、変わりに特定の個人が持つ影響力は年々増している。
 グロービスの堀義人氏が自身のブログで、2017年1月のダボス会議について投稿していた。その中でも特に印象的だったのが、「組織やリーダーに対する信頼度は毎年予期せぬスピードで衰え、CEOやリーダーよりも普通の人や社員が数倍信頼されている。コントロールの時代は終わり、全てシェアをしなければならない。」といった主旨の内容だ。
 職員がSNSで投稿することに抵抗がない地方自治体はどれだけあるだろうか。このholg.jpのインタビュー記事でも自治体職員のSNS利用について話が及ぶことがあるが、まだまだ否定的な空気があることは確からしいので、やはりそこは変えていくべきだろう。
 住んでいる地域を良くするために働いている自治体の方々が、SNS等を通じて身近に感じられるだけでも、街の印象は大きく変わる時代になっていく。そして同時に、自治体職員のことを知った住民はお客様意識を捨て、持て余した時間を自ら地域貢献という形で還元するようになる。

時代は自治体職員のSNS利用を求めている

 時間を使うというのは、命を削ることと同義である。無駄な命がないならば、無駄な時間と言うのもない。それが言い過ぎでないほど、時間と言うのは貴重なものとして扱わなければならない。
 先に触れた「10年1山」で取り組むことについては、仕事に限った話ではない。必然的に、地域への貢献活動という選択肢を持つ人が今後増えていく。人生100年とすれば、数回は選ばれるチャンスがあるのだ。
 一人ひとりの貴重な時間の使い道として選ばれるような地域づくり・人づくりができる自治体を、時代は求めている。この時代の流れをチャンスと捉えて、SNS利用に積極的な自治体が一つでも多く増えて欲しいと願うばかりだ。

小野寺将人
湘南在住。不動産情報ウェブサイト運営会社、お出かけ情報ウェブサイト運営会社にて営業・企画職を経た後、現在は総合ポータルサイト運営会社にて企画職に従事。

-コラム

© 2020 Heroes of Local Government , All Rights Reserved.