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【八幡浜市役所 高倉万記子氏】システムのスペシャリストが創出した役所の外に広がる輪(2/5)

市民と自治体から見たマイナンバーの使い道

加藤:なるほど。ご自身でマイナンバーに関するお仕事に携われている中、使う側の市民として見た時に、こういうメリットを感じられるというようなものはありますか。
高倉氏:やはり、添付書類の省略ですね。来年から直ちにうまくいくという話にはならないかもしれませんが、何年か経てば役所同士で情報連携が進んで、色々な公共団体の証明書をそれぞれ取得してから役所に申請に行くような手間はなくなってくると思います。
加藤:利用者としては、そこは便利になりますよね。一方、サービスを提供する地方自治体から見たメリットはどういうことがありますか。
高倉氏:国としては、まず番号カード使ってもらう、そして、マイナンバー情報でログインできる、マイナポータルを使ってもらうということを目指しています。このウェブサイトで行政サービスに関する様々な仕組みを使えるようにしていきます。

マイナポータル

マイナポータル 画面イメージ 総務省HPより

私個人が広域連合で働く中で思うこととしては、年に何度か医療費通知という病院に行って保険を利用した頻度や、医療費の額が記載された通知をハガキで送っているんですね。
その運用には、ハガキの印刷費用、郵送費、それに職員の人件費がかかるんですが、マイナポータルを使って通知を見られるようにすれば、ハガキを無くしてコストを抑えることができると思っています。
加藤:確かに、行政では紙のコストが大きいと言われることもあると思います。
高倉氏:そうですね。例えば、利用する用紙を削減する為に、用紙1枚に収めるレイアウトや文章を考えたりすることもあるんですよね。それがウェブ画面であればサイズの制約もないので、より作成作業や説明コストにかける人件費が抑えられると思います。
加藤:高倉さんはシステム化を進めるお仕事を長くされてきましたが、自治体の中でもっとコストを削れると感じる部分はどういうことがありますか。
高倉氏: 窓口対応ですね。対応する人件費もそれなりのコストですし、クレームなんかも多くて病む人もいるんですよね。そういうのもある種の損失だと思うんです。韓国だと、窓口にほとんど人が来なくなった庁舎もあるみたいなんですよ。
何故かというと、自宅でも証明書によっては印刷できるんですね。そして、駅の売店なんかに行くと、もっと多くの書類が印刷できる。そういうことを進めていたら窓口に関わる職員が半分ぐらい減らせたと聞いています。
なるべくコスト削減ができるものを進め、ルーチンではない住民サービスの仕組みを企画するとか、地域活性化の話のような中長期的なことに職員のリソースを割り振って行けるといいと思うんですね。

行政サービスの電子化を進めるには

加藤エストニアは電子政府化が進み、選挙までもウェブ投票で完結できるという話ですよね。そうしたら、選挙の度に看板とかポスターとか、投票所というレベルのものまで用意する必要がなくなりますよね。

エストニア政府 電子サービス

エストニア政府の電子サービス https://e-estonia.com/

高倉氏:はい、私は選挙に関わる仕事もしていたんですけど、入場券を印刷して、それを郵送しても、来ていないと電話があり、対応が必要になるようなこともあるんですよね。投票日前夜に期日前や不在者投票の状況を反映させた選挙人名簿を紙で印刷して、当日投票所に持っていくように管理することも大変でした。
加藤:日本は住民に気を遣い過ぎていて、バサっと仕組みを変えることができない文化や風土がある気がします。以前、ジャカルタに住んでいたんですが、ジャカルタ市営のバスがあり、そこでは元々、紙の切符を窓口にいる販売員から買う仕組みだったんです。
でも、ある時いきなり、「これから1ヶ月後にICカードだけしか使えないようになります」と言い出して、どんなお爺ちゃんでもお婆ちゃんでもICカードが無いと乗れないようにした為、皆がICカードを買っていました。
それを見ると、日本は住民に気を遣い過ぎて勿体ないと思います。我々住民側も、それによって結果的に税金が沢山使われていくという現実を理解した方が良いと思います。
高倉氏:松山って割とICカードの先進地域なんですけど、お年寄りも良く使っているんですね。なんで使っているかというと、1割引になっていたんですよ。もう終わっちゃったんですけど(笑)。
加藤:それは良いですね。
高倉氏:だから、お金等で優遇するようなインセンティブがあれば、高齢者の方に使ってもらうこともできるんですよ。
加藤:確かに、何かモチベーションが上げられる要素があると良いですよね。

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