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【千葉市長 熊谷俊人氏】政令市の最年少市長が語る、最高にやりがいのある地方自治体の仕事とその最前線(2/5)

官民連携では大枠のコンセプトを作り、それに合うものは認めるべき

加藤:千葉市は今お伺いしたような成功事例があり、うまくいっている部分があると思うのですが、官民で一緒に仕事をする際の難しさもあると思います。千葉市ではどのような点に気を付けていますか?
熊谷市長:何でもかんでもOKではないですけど、コンセプトの中に収斂するものであれば、我々が想定していないものでもOKだという姿勢は伝えないと、民間側が話に乗ってこないと思うんですね。
 泉自然公園という「さくら名所100選」にも選ばれている、もみじも綺麗で野鳥の宝庫になっている県内有数の公園があるんですけど、そこも今、民間事業者募集をやっていますが、これは「森の中だからこそ楽しめるものを作って頂けるなら、一切制約を設けない」としていまして、こちらも面白い結果になりそうだと楽しみにしています。

泉自然公園

泉自然公園の紅葉

熊谷市長:今お話したような事例から考えると、行政が所有しているものを開放していくことで色々なものができると思います。今我々は、他にも仕込んでいるものが沢山ありますから、新しい事例をどんどん千葉市から生み出していきたいと思います。
加藤:他の自治体でも、そういった不動産やアセットを持っていると思われますか?
熊谷市長:あると思います。行政は、とにかく凄いものをいっぱい持っていますよね。でも、全部自分達で作って全部自分達で所有したがるんです。
 公民館というのは自治体の代表的な所有物ですが、1つの自治体が単独で所有する必要性ってあまりないですよね。例えば、民間のショッピングモールと一緒に作ってもいい筈ですよね。
 今後は、そういうものも含めて他の民間との複合施設化や、もしくは他の自治体と共同で所有するということを、少なくとも選択肢の1つとしては検討していかなければいけないと思います。
加藤:実際にそういう事例が増えてきていると思います。

役所は批判に引きずられず、全ての住民にとって最適な選択をするべき

加藤:現在、市長はSNSでLGBT等センシティブな問題についても発信をされています。発信することによる、「メリット」・「デメリット」はどういったことがありますでしょうか。
熊谷市長:メリットは普段、行政からの情報にあまり接しない、むしろ興味を持たない人達も市政について関心を持ってくれるというのが大きいですよね。
 特に紙媒体や、旧来型の行政の広報ではなかなか声が届かない方々がいらっしゃいますから、私もよくお祭りや、色々な市民の行事などに顔を出しているんですが、その時に若い方々から「facebook」や「twitter」を見ているとよく言われます。市役所と市民の距離が近づくという観点でメリットが凄くあるということですね。
加藤:炎上リスクのようなものもあります。実際にSNS運用をしていく中で、投稿などを改善されていったものはありますか?
熊谷市長:特段ないですかね。もちろん、表現に気を付けてはいますし、多少の微修正はあると思いますが、私の場合は元々リスクをとった上でやっています。
 というのも、これはSNSに限る話ではないんですが、少数の強い批判をする方々がいるが故に、90パーセント以上の人々に喜ばれるような、社会的意義のあることがなされていないということが結構あるんですよ。
 もちろん、少数派の方に実害が出るようなものに関しては慎重であるべきですし、少数派の方の強い批判はそれとして受け止めます。
 ただ、役所の判断はそういうものに引きずられるのではなく、全ての住民にとって最適な選択をするべきだと思っていて、「批判の為の批判に、行政としては負けることはあってはいけないよ」と職員にいつも伝えています。
千葉市 熊谷市長5
 
加藤:熊谷市長がSNSを運営されているお姿を見て、他の首長の方もそういうことをやってみたいと感じた場合に、炎上リスク等を気にしてしまうと思うんですが、そこは何かアドバイスのようなものはありますか?
熊谷市長:無理してやるのであれば、止めた方がいいですよ(笑)。私のスタンスというのは、私ができるし、やりたいと思ってやっていることなので、このスタイルが全ての首長に求められたりするかというと、そうではないと思っています。
 政治家には多かれ少なかれ情報が集まってくるわけですね。その情報をできる限り「見える化」して、行政や街づくり等、様々なものごとを考える機会を提供する。それが元々の私の哲学というか、政治家としてのライフワークです。
 その一環としてやっている部分がありますから、そう考えていない人にとっては、無理してやる必要はないと思います。
加藤:なるほど。そうすると、熊谷市長の哲学を具現化する手段の一つとしてSNSを活用されているわけですね。
熊谷市長:そうです。そうです。

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