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【長島町 井上貴至氏】総務省から過疎の町へ派遣、「地域のミツバチ」として革新を起こす(2/5)

地域を支える魅力的な人達と関わった愛知県庁時代

加藤:因みに、経歴のところですが、最初に入庁された後、愛知県庁に出向されていますが、そこでは何を感じましたか。

愛知県庁

愛知県庁に赴任

井上貴至氏:本当に地域には隠れたヒーローが沢山いるなと思いましたね。1年で50ぐらいの祭に行きましたけど、「俺はトヨタの社長になるより、この神輿担ぐほうが良いんだ」と言う、地域のおっちゃんがいるのは面白いなと思ったりとか(笑)。
他にも、沢山の熱心な人とお付き合いをさせてもらって、ボランティアということを意識さえせずに、少年野球を教えたりとか、消防団をやったりしていて、そういう人達が地域を支えているんだと実感しました。
加藤:そこで地域の魅力的な人に気づかれたんですね。その後、総務省に戻られてからは所謂、法整備のようなことをされたのでしょうか。
井上貴至氏:政治資金の仕事を2年ちょっとやっていましたね。
加藤:所謂、政治資金規正法とか、そういうところを・・・。
井上貴至氏:そうですね。

「国から地方自治体へ権限移譲をして行こう」と他省庁と調整

加藤:その後は、どういう役割に変わられるのですか?
井上貴至氏:地方分権関連の業務をやりました。この時が一番大変でしたね。
加藤:具体的には何が大変だったんですか?
井上貴至氏:時間を含めてそうですし、地方分権って昔はこう、総務省と各省がこう、侃々諤々でやる領域ですから、都市伝説的に聞いたのは、昔、オフィスに朝着いたら、ノートパソコンがボンドでくっ付いていて、開かなかったりとか(笑)。
加藤:そんなことがあるんですか(笑)。
井上貴至氏:まあ、そういう冗談みたいな話はさておき、総務省は「それは地方に移しなさい」と言う訳ですけれど、今までそうなっていなかったのは、やはり、各省からすると当然それなりの経緯があったり理由があったりするんです。
その中で、厚労省から、国交省から、農水省から皆さん全部を見て、当然、相手の言っていることをしっかり理解して調整しようとすると、それは膨大な量になるわけで大変ですよね。
加藤:他の省庁に対しては基本、「国から地方自治体へ権限移譲をして行こうよ」と伝えていたのでしょうか?
井上貴至氏:権限移譲もありますし、「そんなことまで国で決めなくていいんじゃないのか」というようなことですね。
加藤:そこは調整が難しそうですね。それも2年くらいですか?
井上貴至氏:2年弱くらいです。

拉致被害者のサポートを担当しながらも、地域の現場に出ていく

加藤:その後は、どういったお仕事をされていたんでしょうか?
井上貴至氏:その後は、内閣官房で拉致問題の担当になりました。報道担当とご家族支援、総括担当、国会担当等をしましたね。
加藤:具体的な実務としては、どういうことをしたんでしょうか。
井上貴至氏:交渉等は外務省とかがいますので、帰って来たご家族のサポート等ですね。皆さん住むところもなければ、お子さんは日本語を喋れないですよね。仕事もなかったり、年金も当然ないですよね。そういうところを自治体と一緒にサポートしました。
拉致被害者の皆さんが折角、帰って来られたのに、「北朝鮮の方が良かったね」と言われるのは寂しい話なので、そういうところをサポートすることが一つの大きな役割でした。後は、国会対応や報道担当ですね。そんなことをやっていました。
総務省
加藤:皆さんがちゃんと生活できるような状態に持っていくと。
井上貴至氏:はい。僕がまさか拉致問題をやるとは思わなかった訳ですけど、どんな環境でも与えられたところで全力を尽くして行くことで、「見えるもの・気づくもの・得られるもの」が沢山あったと思っています。
そうすると、思わぬところで物事が繋がるんですよね。例えば、僕が長島町に行く時に各紙各局の方達が「今度、井上君という人が、鹿児島の長島町に行ったら宜しくね」ということを鹿児島の支局長に連絡してくれる訳ですよ。
これは、本当に大した話ではないんですけど、相手の為にと思ってやったところから仲良くしてもらっているんです。記者クラブ、記者の方達の詰め所がありますよね。担当の役人としては、そこに「9時に大臣記者会見するから来て下さい」とファックスをすれば、とりあえずは仕事をしたことになる訳ですよ。
だけど、記者もずっと記者クラブにいる訳じゃないですから、どうすれば仕事がし易いかなと思った時に、いつも来る人にはメール送った訳です。ただ、それだけなんですけど、記者からすると、「この人は自分達が仕事をし易いようにやってくれているんだなぁ」と感じてくれて、そんなことから、「井上さん、今度飲みましょう」となりました。
その飲みの時の話のネタが、地方ネタだったりしたんです。記者の人も異動をして、大体5年くらいは地方にいるじゃないですか。そこで結婚されたりして思い出がある方もいて、僕が超マニアックな町の話とか色々すると喜んでもらえたりしました。
まあ、それを振り返ると僕は、地方分権担当の時も拉致問題の担当の時も、人に会ったり、町に出ていたなと思います。それが大好きなんですよね。だから毎年、100万円以上交通費に使って、色々な現場に出て行っています(笑)。
加藤:凄い額と行動量ですね(笑)。
井上貴至氏:地域で活動する人は東京でも会えるんですけど、その現場、ホームグラウンドで輝くので、直接現地に出かけて行くってことが大事だと思っています。
今でもその考えは変わらなくて、僕は、あまり役場にいなくて、畑に行ったり、海に行ったりしています。農家さんや漁師さんと役場の中で話しても、本音で話せないんですよ。
でも、現場に行くと「これを食べて見ろ」とか、「井上さん、これ美味いだろう」とか、「最近、(漁船に利用する)油代が、値上がりして大変なんだ」とか色んな話を聞かせてくれる訳ですよ。そこに政策のヒントがある訳だし、それを解決していけば良い訳ですよね。
加藤:その現場感は地方自治体ならではのものですね。そこで、現場の情報を集めて、井上さんの広い視点と知識をもとに、アクションして行くと。
井上貴至氏:仕事としてそれができるということは、まさに天職ですよね。「自分がやりたいこと・できること」と「社会から求められること」が一致しているんで、これほど楽しいことはない訳ですよ。
こうやって話していたり、飲んでいたりしている時でも、ふと、「ああ、これなんか長島町に持って帰ると面白いな」とか、いつもそんなことを考えちゃう訳です。
世の中では労働時間の話ばかりしているんですが、「本当に労働時間だけなのかなぁ」と思っていて、上から言われて押し付けられたものがずっとあったら、ストレスになりますけど、自分がやりたいことやできることがあって、それがまた社会から求められていると、それは別に苦痛でも何でもないんですよ。
加藤:それはわかります。

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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

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