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高倉万記子

コラム 事例を知る 情報システム

職員の長期賃貸借契約してよろしいか-高倉万記子

【高倉万記子氏 経歴】
一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)インターネットトラストセンター企画グループ主査。
2000年に愛媛県の八幡浜市役所入庁。市民課を経て、2003年に基幹系システムの保守運用開発部門に異動し、国民健康保険や福祉制度業務等を担当。2013年に、愛媛県後期高齢者医療広域連合へシステム担当として派遣され、マイナンバー制度等の導入作業を行う。
総務省自治大学校の行う情報システム領域における育成研修において、パネルディスカッションのコーディネーターを務め、自治体職員に対してマイナンバーやSNS活用の講師等を行っている。
レンタル移籍という言葉が自治体職員たちの間でバズワードになっている昨今。
かつてとある九州の自治体でも、首長らの呼びかけで、近隣の自治体で職員の転籍を、という議論になったことがある。
理由として、防災対応で、自分の自治体から離れているところにいると困るから、というのが挙げられていた。
その後、この話は聞かなくなったので、結局話がまとまらなかったのではないかと思う。
そのあと、ある代議士から公共のイノベーションになる政策提案を依頼されて、職員FA制度を提案した。私が自治体にいた数年前である。
提案した背景に、自治体職員の移籍の流動化のニーズが多かったから、というのがある。
現在でも割愛という転籍制度があるが、国や都道府県、都道府県と市など、私が目にしている限りは、運用されている自治体は限られているようであった。
数年間の人事交流だと、自治体同士だと、政令指定都市間とか、首長や自治体同士の結びつきが強いところも目にしたことがある。人事交流も、当初はノウハウを持ち帰るという目的があったが、最近は派遣の垣根が低くなって人事交流専用枠ができてノウハウを活かせていないという話も伺う。
実は私も、自治体職員時代、違う自治体で働いてみたいと思い、他市と人事交流をしている、とある関東の自治体の幹部と、このことを内々で協議したことがある。結果、先方からうちの自治体に話を付けることはできるが、人の指名までは出来ないとのことであった。
そういうことを考えても余程のその人でないと、という事情がないと難しいなと感じた。
前向きな理由で本人の能力を元に移籍できれば良いが、配偶者の地元に住むためとか、親の介護のため、などという理由も働き方改革の文脈上悪いことではない。最近は地銀が人手不足なのもあって、地銀間の職員の受け入れをしている事例もある。アメリカの消防士だと、全国均一資格があるから、現在の経験を元に転職しているらしい。日本の役所も民間の経験者採用の受験資格に元公務員を含めているのはだいぶ増えてきているが。
県の人事委員会の担当経験者に訊くと、公務員にふさわしいか、だけでなく、その自治体にふさわしいか、という観点を持っているということで、簡単に流動性は付加できないようであった。
そう言った観点から、短期間の移籍というのが現実的であった。
受け入れ先がとにかく人が欲しい、というような小規模の自治体だと役所のお作法が分かっている職員は歓迎されるだろう。
東日本大震災の直後も各自治体に担当業務が割り振られて、その業務経験者が派遣されていたのも記憶に新しい。
最初は1週間〜数週間に交代しているところが多かったようだが、引き継ぎに手間取り、被災地に迷惑をかけることになるため、今では半年から数年単位になっている。
ただ、私も他の組織に派遣された経験があるのでわかるが、平常時、今のところと派遣先のところが合意しないと難しい。遠方だと旅費や単身赴任手当の予算計上など、考えないといけないことが盛りだくさん。被災地の対応という大義名分あってこそ、だと思う。
数年間の人事交流、レンタル移籍を行なったとしても、方言や地名、組織文化、人間関係に慣れていった頃には数年の期間を超えて移籍期間終了となる。
数年間でも結果を出すなら省庁や都道府県からの出向者のようにそれなりの役職付きで権限を与えてもらうのが良いだろう。
ただ、ある自治体から別の自治体の特別職に数年間出向した方の話では、基礎自治体の特別職になるには、退職が必要ということだ。退職金は長く勤めてもらう方が得であるし、身分保障の継続ができないことは大きなハードルである。実際に元いた自治体に戻れるかは、首長が交代してしまっている場合など、政治的な理由などで前の職場に戻れない可能性もある。国や県から基礎自治体の出向の時は退職しても退職金はもらわなくて良いらしいが、基礎自治体同士だと、そうならないらしい。
そもそも、今の自治体をやめて別の自治体に普通に職員に採用された場合も、退職金が不利になるのがハードルなので、身分保障したまま転籍の話が盛り上がるのだ。
このことについて、ある市長を通じて地方分権改革検討会議の講師だったとある先生に訊いてもらったところ、「退職金条例を1800自治体がつくっているので、それを通算する法律をつくればいいのでは?」という答えもいただけたことをご紹介しておく。
数年で成果を出すというのが職員という立場では通常難しいので、募集する自治体がプロジェクトを設定して、その枠に応募する形をとってみては、という意見もあり、それが落とし所かな、とぼんやり考える。

【高倉万記子氏の過去のインタビュー】

システムのスペシャリストが創出した役所の外に広がる輪

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