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週刊 寺本英仁「巻き込む力」と「ビレッジプライド」の育て方 第2号(HOLG版)

本記事では、有料メルマガ「週刊寺本英仁@島根県邑南町/「巻き込む力」と「ビレッジプライド」の育て方」の一部(A級グルメ連合についてのストーリー)をご覧いただけます。なお、掲載するメルマガは約3か月前に配信した内容です。最新かつ、全文の閲覧を希望する場合はコチラからお申込みください。

【第2号の目次(2019年6月19日配信)】
0.お知らせ! 広島でトークイベントを開催します!
1.近況ー「ビレッジプライドツアー」を開催しました
2.里山レストラン「香夢里」は立ち止まらない(2)
3.<A級グルメ連合>の仲間たち 小浜編(1)
4.著書の案内、質問募集!など

メルマガの一部をHOLG.jpに公開いただいています。

3.<A級グルメ連合>の仲間たち 小浜編(1)
志を同じくする5市町の取り組みを連載形式で紹介していきます!

 福井県小浜市は、古代より海産物や塩など朝廷に納めていた御食国(みけつくに)。豊かな海の幸に恵まれ、最高級の食材がある町だ。
 小浜と京都を結ぶ街道群は「鯖街道」という名で知られ、古くからさまざまな物資や人、文化を運ぶ交流の場だった。近年は日本遺産第1号に認定されている。
 そんな食の歴史を積み重ねた小浜市は、「重厚感のある食の街」というのが僕の印象だ。
 僕の住む邑南町と比較してみよう。邑南町は古くは砂鉄から鉄器をつくる「たたら製鉄」の町だ。その後、里山に木を植えて炭焼きを行うようになり、余った炭や灰を田畑にまいた。やがて養分がたまり、現在のA級グルメを支える豊かな土地を築いたのだ。
 僕の独断的な想いを交えつつ整理すると、邑南町は製鉄の町から林業の町へ、そして農業の町へと主産業が大きく移り変わったから、そこに住む人々は変化を柔軟に受け入れながら生きてきた。
 ゆえに、新しいものを受け入れる体質と陽気な人間性が育まれ、移住者の受け入れなど、今の新しい施策もかなりスムーズに実行できたのではないかと思っている。
 一方、小浜市は、古代から徹底して「食」を掘り下げる努力を重ねてきた。この町に住む人たちは、食文化に誇りを持って生きている人たちが本当に多いと感じる。「海のある奈良」とも言われるほどで、邑南町と比べものにならないくらい国宝や重要文化財も多いのだ。
 今回、僕が小浜市にやって来たのは、昨年発足した「にっぽんA級(永久)グルメのまち連合」(以下「A級グルメ連合」)の現状を見届けるとともに、この取り組みを出版物にするなどPR活動に向けての取材のためである。
 3日間かけて、小浜市への移住者にヒアリングをさせてもらった。すべての方から口を揃えたように出てきたのが「小浜に移住を決めたのは、人の良さです」という言葉。その後、必ず「最初はみんな様子をみているんですが、いったんコミュニティの中に入ると、とことん、面倒みてくれるんです」と付け加わるのだ。
 自分の住んでいる場所への「ビレッジプライド」を持っていて、人に優しく、ちょっとシャイという小浜の人々。そんな小浜の「ビレッジプライド」を掘り下げていくことも今回の訪問の目的のひとつだ。
 最初に訪れたのは、今年から始まる小浜市内外海地区の志積区のプロジェクトの予定地である。案内してくれたのは、小浜市が「A級グルメ連合」に加盟するきっかけを作ってくれた2人。
 彼らを紹介しておこう。一人目は御子柴北斗さん。
 彼はこの3月で農林水産省を退職し、小浜の観光局に勤務している。4年前、農林水産省のキャリア官僚だった御子柴さんは、出向して小浜市の農林水産課長を勤め、新しい旋風を巻き起こした張本人だ。
 現在でこそ空前の鯖ブームだが、少し前まで鯖は地味な存在であった。そんな中、御子柴さんは有名な鯖街道に目をつけた。だが、歴史的には有名でも、現代では鯖の漁獲高が少なくなっている。
 安定供給できるように、鯖の養殖事業を小浜市が実施したときの担当課長が彼だった。
 また、今年、小浜市にある県立若狭高校海洋学科が開発した「サバ醤油味付け缶詰」が、長年の努力が実り、JAXA(宇宙航空研究開発機構)によって宇宙日本食に認証された。「鯖」がキーワードの好機が小浜に来ている。
 そしてもうひとりは、当時の農林水産課で御子柴さんの部下となった畑中直樹さん。彼は、プロ野球選手やラガーマンに負けないくらい体格がよく、見た目は圧倒されるが、話してみるととてもチャーミングな人だ。現在も農林水産課に所属して活躍している。
 御子柴さんと畑中さんという黄金コンビに出会ったのは、2年前(2017年)のこと。視察のため邑南町に来てくれたのだ。
 当時の僕は、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』で紹介されてまもないころで、出張や視察対応に忙殺されていた。滅多にない休日だったけれど、遠くから来ていただいているのだからと、妻に遠慮(&感謝)しながら土曜も日曜もなく対応していた。
 邑南町の「A級グルメ構想」では、「食」や「農」に興味のある都会の若者に向けて、プロを目指す「耕すシェフ」という研修制度を2011年にスタートしている。総務省の「地域おこし協力隊」の仕組みを利用した制度なのだが、ネーミングも相まって多くの希望者が集まるようになった。
 その研修の場として、邑南町では高級イタリアンレストランの「AJIKURA」や「食の学校」「農の学校」といった施設・仕組みをつくっており、視察の依頼は引きもきらない状態だった。
 御子柴さんと畑中さんを案内して、さまざまな施設や現場、「耕すシェフ」が研修後に起業したお店などを回った。訪問先で説明するたび、この二人は、目を丸くして僕の話を聞いてくれるのである。
 「なんだか邑南町の『A級グルメ』の取り組みは、二人の心の中に猛烈な衝撃を放っているぞ!」と充実感があった。
 その一方で、あまりにもインパクトを受けているという反応をしてくれるものだから、次第に「この二人、もしかして事前情報があまりないのでは……」とも思い始めた。
 通常、視察に訪れる自治体や団体は、かなり深く予習してくる。感心してもらえることは多いのだが、衝撃を与えているとまでこちらが思うことは少ない。
 だが、そのことに僕自身が気がつくのに時間がかかった。
 しばらくたって、感電したみたいにシビれている二人に、遠慮気味に聞いてみた。
 「僕のこと知っています?」
 「正直、『A級グルメ構想』も寺本さんのこともあまり知らなかったんですよねー」
 と、頭をかきながら御子柴さんが答えた。
 それもそのはずである。当初、彼らの視察の目的は、新規就農者に対する邑南町の取り組みが第一希望だったからだ。
 「邑南町の新規就農の取り組み」について、日曜日から月曜日にかけての日程で依頼したところ、「日曜日には対応ができません」と役場から断られたらしい。
 仕方がないので、2番目に注目し、日曜日にも対応していた「A級グルメ構想」を選んだということのようだった。
 しかし、この一件で、一気に二人との距離感が狭まった。僕自身、視察に来る人はみんな僕のことを知っている「プチ有名人」気分だったのだが、まだまだ修行が足りないなーと思ったのだった(笑)。
 後に僕はこの二人に、邑南町の「A級グルメ」の取り組みを全国の自治体に広げていきたいという思いを告げた。彼らはそれに賛同して「A級グルメ連合」の結成へと尽力してくれるようになるのである。
 驚くべきことに御子柴さんは、一度は農水省の本省にキャリアとして戻ったものの小浜愛と、僕と一緒に「A級グルメ連合」に取り組むために、農水省を退職したのだ。
 彼は今、小浜市で観光局の職員になって、まちおこしに関わろうとしているのである。(つづく)

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