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小泉進次郎と脇雅昭が語る今後の日本と公務員の役割(上巻)

小泉進次郎1
【小泉進次郎氏の経歴】
1981年に神奈川県横須賀市で生まれる。2006年に米国コロンビア大学大学院政治学部修士号取得。2009年に、衆議院議員に初当選。その後、自民党青年局長、内閣府大臣政務官・復興大臣政務官を経て、2015年10月より、自民党農林部会長を務める。

-公務員が批判されることは多々ある。『お役所仕事』という言葉はその典型例だ。だが、我々はその認識を改めるような時代に差し掛かっているのではないか。

 2月19日(日)の午後、渋谷ヒカリエで約550人の国家公務員、地方公務員が集まる『よんなな会』というイベントが開催された。

よんなな会 オープニング

 この会は、『47都道府県の地方公務員』と『中央省庁で働く官僚』をつなげる目的で年に数回開催される。プログラムとしては大きく2つあり、「著名なスピーカーによる講演」と、「参加者同士の交流会」がセットになったイベントだ。

 ここでの一幕で、一際、熱気を増したプログラムがあった。将来、総理大臣の筆頭候補と呼び声が高い小泉進次郎氏と、『よんなな会』の主催者、総務省官僚である脇雅昭氏による二人の対談だ。「同世代の政治家から見る、今後の日本、公務員の役割」というテーマで、30代半ばの二人が熱く語った思いを、公務員だけではなく多くの方々にご覧いただきたい。

理屈じゃないところを持っている人が大好き

【脇雅昭氏(写真左)の経歴】
1982年生まれ、宮崎県出身。2008年に総務省に入省。現在は神奈川県庁に出向し、国際観光課長に従事。広く深い人脈を生かして、「よんなな会」を主催し、官僚と47都道府県の地方自治体職員をつないでいる。入省後に受験した新司法試験に合格。

小泉進次郎氏(以下、小泉氏):僕は、公務員の皆さんとは縁が深いんですけど、脇君は今まで出会った中で、最もお顔がワクワクしている公務員ですよ。なんかね、脇君って子ども心が顔に出るじゃないですか。

脇雅昭氏(以下、脇氏):褒めていらっしゃいますよね?(笑)

小泉氏:褒めています(笑)。すごく褒めています(笑)。そこが脇君の魅力だと思っています。だから、つい「くん」って呼んじゃうんです。「脇君、脇君」って。

脇氏:皆の前で言うのもなんですけど、私が総務省に採用された理由を聞いたことがあるんですが、他の人は彼の「ここが良い」って具体的にあるのに、僕だけ「なんか良い」って理由らしいです。無限の可能性だなと(笑)。

小泉氏:(笑)。でも、そこの理屈を越えたところは大事ですよね(笑)。僕が復興庁の政務官の時の秘書官も、採用試験の時に「なんで、この20年間は日本でも失われた20年だったと思う?」という質問を受けたんです。僕の秘書官は答えを・・・「運が悪かったんじゃないですかね・・・」って。

会場:(笑)。

小泉氏:そう言ったらしいんですよ。そうしたらね、面接官も「うん・・・そういうこともあるかもね」って(笑)。だから、僕は理屈じゃないと思ってね、それで彼も採用されているわけだからね。僕は理屈じゃないところを持っている人が大好きです(笑)。

脇氏:ありがとうございます。でも、理屈もちゃんとしています(笑)。

会場:(笑)。

ねぇねぇ、政治って0歳からでも良いんでしょ?

小泉氏:真っ暗だから後ろの方は全然顔が見えないんですけど、お子さんいますよね。さっきから子どもの声がするなって。あ、こっちにいた。見える? すごく良いなと思うのは、こういう会には、普通、子どもがいないじゃないですか。

 実は僕、来月に地元で行われる演説のポスターの文言を「赤ちゃんが泣いてもいい。子どもが走り回ってもいい。政治を、もっと身近にしていきたいから。演説会に来てみませんか」としているんです。

 それで、最後のキャッチフレーズに「投票は18才から。演説会は0才から」と。そういうポスターを貼っているんですね。そうしていたら、最近ある現象が起きたんです。子どものサッカー大会とか、野球教室とかに参加したり、今日も横須賀に戻って、朝から追浜マラソンを走ってきたんですけど、最近、子どもたちに会うと、「僕のポスター見た?」って聞くんです。そうすると、子どもが「見た!見た!見た! 赤ちゃん泣いても良いんでしょ? 廊下走り回っても良いんでしょ?」って言うんです。だから、「いや、廊下じゃないよ」って話をしながら(笑)。

会場:(笑)。

小泉氏:それと、横須賀に『子ども食堂』ができて、そこを見に行ったら、ひとりの男の子が・・・

客席の赤ん坊:(※突然)ウーウー。

小泉氏:あー、赤ちゃんも会話してくれたみたい(笑)。

会場:(笑)。

小泉氏:キャッチボールできたね(笑)。その、『子ども食堂』にいた子どもが、「ねぇねぇ、政治って0歳からでも良いんでしょ?」って言ったんですよ。

脇氏:すごい。

小泉氏:これを経験すると、やっぱりメッセージってすごく大事だと思うんです。だから、今後、この『よんなな会』は皆さんの家族やお子さんが、一緒に参加するような会になってもらいたいなと。

脇氏:そうします。

小泉氏:(客席の赤ちゃんに向かって)今日来てくれて、ありがとうね。

脇氏:確かに、地方から出向で国に来られている方も多くいらっしゃって、ご家族と一緒にこっちに来られているんですよね。そうすると、その方の奥様や旦那様、「パートナーのネットワークがどうなっているのか」と、心配しているところがあるんです。まぁ、次回はこの倍の規模の会場を借りますので、奥様や旦那様を連れて来ていただければと。

小泉氏:そうやって呼んで、子どもたちが我々の前を走り回っても良いじゃないですか。僕はね、そういう場を増やしていかないと変わらないと思っているんです。

なにか恩返しができたら

小泉氏:ところでね、多分これだけ公務員の方が一堂に会する場って、世の中にないですよね。

脇氏:この規模はないかなーと。

よんなな会
小泉氏:だって、僕が復興庁の政務官、内閣府の政務官に就任をする時、退任をする時に、役所の皆さんへ向けて、大臣と一緒にご挨拶をするんですね。復興庁だって、内閣府だって一堂に会したって、こんなに集まらないですからね。みんなそれぞれの仕事がありますから。そう考えると、『よんなな会』ってすごいですよね。何でこんなこと始めたんですか?

脇氏:僕は総務省から熊本県庁に出向していたんですけど、熊本県庁ではいろんな人たちに、いろんな人を紹介してもらって、大きなネットワークができたんですね。その後、総務省に戻って来ると「自治体職員の方が、土日もなく庁舎に籠ってすごい仕事をしているな」と、「なにか僕に恩返しができたらな」って思ったんですよ。

 今、すごく『地方創生』っていう言葉が出てきて、いろんな施策をされていると思うんですけど、その中で巨額なお金が国から地方に流れて行っているんです。

 でもなんか・・・それを使う人たちに同じ1億円が来たときに「うわー、まじかよ。また1億来た・・・なんかやらないと」と思うのか、「この1億を使って、この地方をどうやって盛り上げようか」と思えるかで、結果が全然違うだろうなと。

 そうすると、地方創生って、もっと[人]っていうところを重視していかなければいけないんじゃないかなと思ったんです。その時に、まず僕にできることが何かと考えたら、同じような立場で来ている人たちが集まる場を作ったら、それがまず一歩目なんじゃないかなと思ったんです。今回で9回目です。

小泉氏:(※客席に向けて)脇さんは良い顔して話しますよね(笑)。絶対、選挙出た方が良いと思う(笑)。

会場:(笑)。

脇氏:いやいやいやいや(笑)。

小泉進次郎 脇雅昭1

小泉氏:だから、僕が思っているのは、『よんなな会』はね・・・脇君の将来、選挙に出るときの地盤作りじゃないかと(笑)。

脇氏:違う。違う。違う・・・(笑)。

小泉氏:え? 違う?(笑)

脇氏:違います(笑)。いやー、本当に僕は公務員の中にいながら、公務員の人たちと一緒に頑張って、日本を良くしていきたいと思っているんです。

小泉氏:まあ座りましょう(笑)。僕がコーディネーターじゃないですか(笑)。どうぞ、どうぞ、どうぞ(笑)。

脇氏:恐縮です(笑)。台本には、いろいろ書いてあったんですけど、流れが全然違います(笑)。

日本はチャレンジャーに厳しい

脇氏:今日、実はドキドキしながら(小泉氏を)お呼びしたんです。というのは、政治の世界ってすごく行政と近いじゃないですか。でも、みんなの心の中に「政治は政治」、「行政は行政」、この壁みたいなものがすごくある。

 こんなに近くにいるのに、通い合えてない感じがもったいないと思って、そうした時に同世代である30代が一緒に何かできたらと思うんです。

小泉氏:脇君って、僕と何個違いだっけ?

脇氏:一個下です。

小泉氏:脇君が、僕の一個下だよね。

脇氏:はい。多分、僕の方が上に見えると思いますけど(笑)。

会場:(笑)。

小泉氏:僕もね、さっきから「脇君、脇君」って言いながら、「もしかしたら年上だったらどうしよう」って思いながら話していて・・・。大丈夫ですね(笑)。じゃあ、34と35歳ということで、脇君でいこう(笑)。

脇氏:お願いします。

小泉氏:この世代が何か役割を果たすということが必要ですよね。アメリカを見ていてもね、トランプ政権のキーマンはクシュナーと言われていますよ。彼と僕は同い年ですからね。イヴァンカ(トランプ大統領の娘)も同い年でしょ。そういったことを含めても、この世代の当事者意識というものが、すごく大切な時代になってきている。

 特に、技術の進歩も早い。今までの価値観とは違う。そういったことがいっぱい出てきている中で、若い人の力をどうやって社会に実装できる国になるかというのは、僕はすごく大事だと思っていますね。

 そんな中で、最近のいろんなニュースを見ていて、賛否両論あると思うんだけども、ちょっとこれはどうなのかなと思うのは、東芝の事件です。

 あんまり具体的な部分に言及するといろんな影響があるので言いませんけども(笑)、これを見ていてホリエモンのショックを思い出すんですよ。ホリエモンの場合は粉飾じゃないですか。東芝の場合は不正会計でしょ。

 世の中に与えたインパクトとか、さまざまなことを考えながら、あのニュースを見ていて僕が思うのは、日本という国はエスタブリッシュメント(既成勢力)に甘い。チャレンジャーに厳しい。こういう価値観を変えないといけないと思います。

どの職業に就きたいかではなくて、どう生きたいか

小泉氏:アメリカは時価総額のランキングが10年したら一変しますよね。今まで存在しなかった企業がボーンと入ってくるような。でも、日本はそういう国じゃないじゃないですか。ずーっと変わらない。就職人気企業のランキングも変わらない。ここを含めて、変えていくチャレンジをしなければいけないと思っています。

 今日、文科省の方もいると思いますけど、これから学校側に本当に考えて欲しいのは、大手の有名企業に就職する力ではなくて、転職できる力をつけて欲しいと思います。そして、暗記力よりも検索力をもって欲しいと思う。そして、どの職業に就きたいかという問いではなくて、どう生きたいかということを問う。それが決まれば、おのずと道が決まりますよ。

 仮に、2030年に人工知能によってホワイトカラーの職業の50%が代替されるとしたって、「俺はこう生きたいんだ」って思いさえあればやっていけると思うんです。人工知能が席巻するといわれる、いわゆる士(サムライ)業と言われる会計士さんとか、社会保険労務士さんとか、税理士さんとかの職業もありますよね。

 もし、「そういった世界のところに自分がいきたい。だけど、人工知能が席巻するかもしれない」という状況でも、「俺はこう生きたいんだから、人工知能に負けないように頑張るだけだ」っていう自分の中での納得感。自分への説明がつくじゃないですか。

 そういうことを含めて、僕らの世代が用意しなければいけないことは、僕らの世代だって追いつけないこと、次の世代の当たり前のための環境整備というのを、今からどうやってできるのかというのが、この時代のこの世代に問われているんじゃないんですかね。

「俺はこのために生きたな」と思って、人生を終えたい

脇氏:そういう「誰かのせいではなくて、自分に何ができるか」という考え方って、とても大事だと思うんですけど、その考え方に至ったきっかけはありますか。

小泉氏:まず、政治家の世界に進んでいること自体が、もうリスクの中の生き方じゃないですか。明日、解散って言われたら、明日クビですから。そういう世界にいると、これだけいろいろなものを犠牲にしながら、自分の中でも抱えざるをえないストレスとかもある。だけど、いろいろ含めて自分でこの道に決めた。そうしたら、中途半端なことはしたくないと思うじゃないですか。

脇氏:僕も、5年前に父が死んでですね。人が死ぬ瞬間を見たんですけど、死を見て、逆にすごく生を感じたんです。自分が生きている時間を、何に使っているかってすごく大事なことだなと。そうすると、何かやった方が良さそうなものがあった時でも、僕の時間を使って、「これをやる意味は本当にあるのかな」と思うようになったというのはあります。

小泉氏:何歳まで生きられるかはわからないですけど、「俺はこのために生きたな」と思って、人生を終えたいじゃないですか。だから、そういう風に思えるような日々を過ごしたいと思いますよね。

※本記事は全3話です

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