インタビュー

【前武雄市長 樋渡啓祐氏:第5話】あなたは、結婚を公募でしましたか?

樋渡啓介5

公募が日本の公共施設を滅ぼした「あなたは、結婚を公募でしましたか?」

樋渡氏:だから「入札しなきゃいけない、公募しなきゃいけない」って言われるんだけど、「公募はパンだけで十分」だと言ってたのね。随意契約でCCC社と契約結んで、それも相当批判されたけど、結局、議会の議決事項だから、ルールの枠内でやっているわけですよ。随意契約はさあ、違法でも何でもないから、そこから間違っているんだよねメディアは。

加藤:なるほどなるほど。比較的、足を引っ張られていると感じることもあるんですかね・・

樋渡氏:いいのよ、メディアは批判することが仕事だからさ。だけど、それはそれでいいんだけど、それが絶対的に『悪』かっていうとそんなことないんだからさ、結果見て下さいってことです。

加藤:病院もそうですよね。

樋渡氏:うん、病院もそうですよ。完璧に随意契約ですよ。

加藤:でも、だからこそ実現しているってことですよね。

樋渡氏:「あなたは、結婚を公募でしましたか?」って世界ですよ。随意契約でしょ、結婚なんて。「自分にできないことを人に言うな」って言っていたら、議会はいつも炎上してました(笑)。

加藤:確かにそうですよね。本当に組みたかったら公募ではなくて、お願いに行くべきですよね。

樋渡氏:お願いに行くよ。

加藤:より結果が出るところを探すために。

樋渡氏:だから、僕は公募が日本の公共施設を滅ぼしたと思いますよ。

公務員の経費は費用対効果が合っていれば誰も文句は言わない

加藤:今、公務員の経費の問題がでているじゃないですか。これに関してはそもそも、そんなに悪いことではないということでしょうか。

樋渡氏:どういう経費?

加藤:例えば、スイートルームに泊まるだとか、ファーストクラスに乗るとか。そもそも、自治体がこうしたら経費を削減できるという方法があるのかとか。

樋渡氏:それは費用対効果なんだよ。だから、舛添さんが別にスイートルームに泊まろうが何をしようが良いんですよ、別に。

加藤:結果を出せていればということですね。

樋渡氏:結果を出していればいいんですよ。結果を出してないからあんなに叩かれるわけよ。

加藤:使ってばっかりだから。

樋渡氏:使ってばっかりだから。そうそうそう。俺なんか出張費って国内の市町村長で多分、一番使ってたよ。行くときもビジネスクラスにバンバン乗ってたもんね。だから多分、年間で2,000~3,000万使ってたと思いますよ。でも結果出してたからさ、みんな文句言わないもんね、共産党以外は。与党議員や少なからず市民には、「国内外にトップが出ないと成果が出ない、だから、どんどん出て行け!」って言われていた。そういう意味で彼らには今でも感謝している。

随意契約でも、結果と手続きがしっかりしていれば裁判では負けない

加藤:これも少しナイーブな話になるんですが、樋渡さん裁判の話があるじゃないですか。

樋渡氏:裁判?

加藤:樋渡さんのですね。

樋渡氏:あー、いっぱい訴えられているね。

加藤:結果を出している部分があるのであれば・・

樋渡氏:あ、それと大事なのは「結果を出している」、それだけではだめで。ちゃんと、手続きを踏んでいるかどうかですよ。しかも、手続きをオープンにしている。だから訴えられても全く、痛痒を感じないもんね。良く「密室だ、談合だ」と言われたけどさ、こんなオープンに手続きをしている人がどこにいますか(笑)。

加藤:随意契約の話が出ましたが、仮にそういうことで不利な判決が出たとしたら他の自治体も、もっとしづらくなるじゃないですか。

樋渡氏:いや、(不利な判決は)出ないんですよ。手続き踏んでいるから。

加藤:じゃあ、もうそこは絶対出ない・・

樋渡氏:出ない出ない出ない。僕がやってたのは全部議会に議決を踏ませているから。何か批判があったら議会に言ったらそれは。良い悪いには2つ論点があって、『手続き』に対して良いか悪いかと、『結果』に対して良い悪いかがあるから。

 だから、そういう意味でいうと、結果が良い悪いで司法が裁く可能性があるんですよ。結果が出てないから悪かったって。でも、手続きが悪かったってのは言えないんだよね。法律とか条令に則ってやってるから。そこは僕、役人やってて良かったと思いますよ。絶対踏み外さないから。その部分はすごくコンプライアンス含めて職員に言ってたもん。議決にならなくていいものも議決にさせてたから、敢えて。だから、もしそれがおかしいって言ったら、それは制度がおかしいってなるから。日本も法治国家なんでね(笑)、法に則ってやる部分で負けたってのはないんですよ。

加藤:とはいえそこは、お気持ち的にすっ飛ばしてやりたいなと思うことはないんですか?(笑)

樋渡氏:全然ないですね。全くないですよ。それやっても議会通らないから。手続きに則ってやる。そうしないと、行政がついてこなくなるもん。そんな違法まがいなことやったら。ちゃんと手続きを踏んで丁寧にやってましたよ。

 ただ、それでも漏れがあるかもしれないからさ、それはもし司法に言われたら認める部分は認めなければいけないし。でも今のところはそれはないもんね。

ジャッジは多い方が良い

加藤:議会の話が出てきて、少しお聞きしたいんですが、議会の方も樋渡さんがやっている新しいレベルの話をジャッジすることは難しいんじゃないんでしょうか。

樋渡氏:いや、そんなことないよ。票になるかならないかで判断するから。だから、彼らのジャッジと僕のジャッジのレベルとそれは違うんだよね。それは、高いか低いかとかじゃなくて、やっぱり議会は議会の物差し、議員は議員の物差しがあるからそれでジャッジするんだよ。ジャッジは複数あった方が良いんですよ、だから。僕や僕らのジャッジだけだと、それは危うい。

 だから、縦のジャッジと横のジャッジというのが必要で、そこに位置点って出るじゃないですか、縦と横で少なくても。で、そこが3つも4つもメディアのジャッジとかがあれば、なおさらそれがいい話ですよね。皆が良いと思うんだったら、絶対にやるべきという。

加藤:なるほど。理解しました。インタビューは以上となります。お忙しい中お時間いただき誠にありがとうございました。

樋渡氏:こちらこそ。では、後ほど武雄市図書館で。

編集後記

 頭の回転、発想力、行動力というのは、結果を出す人の典型的な能力だと思うが、樋渡氏はそれを全て高いレベルで兼ね備えている稀有な方に見えた。結果にこだわるという姿勢こそが上記の能力を磨き、結果を積み重ねることで、さらに自身を昇華させているのだと思う。

 樋渡氏は、地方自治体の2割の職員は原石と言っていた。長年の首長としての肌感覚なので現実との乖離は大きくないとは予想される。もし2割が原石なのであれば、地方自治体は財政などの苦境をバネに、今以上の価値を今後継続的に生み出せる可能性が大いにあるのではないだろうか。

 「難易度の高い仕事は潜在能力を伸ばす」とよく言われるが、人口減少、財政不安などの大きな壁に向き合うことを期に、その原石が磨かれるとするならば、まだまだ地方自治体は大きな底力を発揮する未来があるのではないかと思う。「会社の財産は人」という言葉もまた、よく言われることである。各地方に貢献したいという強い想いで働くことのできる地方自治体職員の方たちは、紛れもなく財産なのだと思う。

 地方自治体が高度成長期の時に求められてきたことと、今求められていることは明らかに違う。それは、樋渡氏の言う「医者として見た」ときに、地方という体の健康状態が違うからだ。地方自治体には今までのやり方があって、それは当然今でも文化として生きているであろうから、財政を気にしていきなり方向性を変えることは簡単ではないと思う。人は誰でも変化が苦手だからだ。しかし、時代の変化に対応できないものは淘汰される。否応なく地方自治体も変わることを求められている。だからこそ、樋渡氏の言う原石が変化と言う荒波によって磨かれ、眩く光り輝くときはすぐそこまで来ているのではないだろうか。

 そして、その変化に合わせて我々市民も、公共サービスへの過度な期待を持ち続ける時代ではないことを認識しなければならないのではないだろうか。

 

<参考URL>
樋渡社中株式会社:
http://hiwatashishachu.jp/

東北オフサイトミーティング:
http://t-o-m.cafe.coocan.jp/index.html

 

<樋渡氏著書/Link>
「力強い」地方づくりのための、あえて「力弱い」戦略論

首長パンチ--最年少市長GABBA奮戦記

沸騰! 図書館 100万人が訪れた驚きのハコモノ

反省しない。

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