主張・意見

「世界と繋がる安心と安全」~私の代わりに119番通報を~[三重県 志摩広域消防組合]

総務省消防庁コラム1

(記事提供=総務省消防庁 広報誌『消防の動き』

1 志摩広域消防組合の概要

 志摩広域消防組合は、三重県の南部の志摩半島に位置し、志摩市と南伊勢町南勢地区で構成され、人口約5万8千人、面積約287㎢を管轄しています。
 管轄地域は、年間を通し温暖で、日本有数のリアス式海岸を有し、風光明媚な観光地としての文化遺産も多く、四季を問わず多数の観光客が訪れています。
 平成28年には、第42回先進国首脳会議(伊勢志摩サミット)が賢島で開催されたことでも知られています。現在、1本部、1署、5分署154名体制で管轄内の生命と財産を守っています。

志摩広域消防組合の概況

志摩広域消防組合の概況

 

2 救急コールカードとは

 言葉の通じない外国人が、救急車を呼びたいとき、この救急コールカードを提示するだけで「救急車を呼んでほしい」ということを伝えることができ、スムーズに意思の疎通をはかることができます。
 救急コールカードには主要言語である英語をはじめ、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、中国語、韓国語の8言語で「救急車を呼んでください。」と表示されており、財布に入るほどの大きさの紙製で簡単に携帯できます。

 平成28年度に開催された第42回先進国首脳会議(伊勢志摩サミット)を契機に伊勢志摩を訪れるであろう多くの外国人観光客に利用してもらい、旅行先の国であっても安心安全に過ごしてもらうことをねらいとして作成しました。
http://www.shima-area.or.jp/?page_id=3308

救急コールカード

救急コールカード

 

3 経緯

 救急コールカードは、志摩広域消防組合の職員が自らの経験をもとに提案し、作成されました。
 休日、ランニング中の路上でうずくまる男性を発見し、中国語で何かを訴えていたがわからず、胸を押さえながら、電話や注射をするしぐさで胸が苦しいのではと思い救急車を要請した経験から、「初めて訪れる異国の土地でも安心安全に楽しんでいただけるようなサービスを提供するために、日本人が一体となって取り組んでいく姿勢こそ、私たち日本人のおもてなしの精神である」と呼びかけ、素早い外国人との意思疎通方法を考案したものです。
 これを基に、三重県消防職員意見発表会へ参加し、平成28年に大阪府で開催された全国消防職員意見発表会へ出場することとなり、全国の消防関係者に広く訴えることができました。
 その後、他県の消防本部からも問い合わせが殺到することとなりました。
 また、同年5月には、第42回先進国首脳会議(伊勢志摩サミット)が管内で開催されることに伴い、外国人観光客の増加が見込まれるため、迅速な救急搬送体制を築くことを目的として、観光協会や観光施設、主要なホテルや駅の観光案内所等に救急コールカードを配布し試験運用を開始しました。

三重県消防職員意見発表会

三重県消防職員意見発表会

 

4 取組内容

 これらのことが、管内でも広く普及し、構成市町の観光担当課の援助を受け、管内主要宿泊施設や、テーマパーク、各種公共施設等への配布拡大が決定しました。
 また、東京都オリンピック・パラリンピック準備局の委託を受けた、多言語対応協議会により東京都のホームページにも掲載いただいたことや、一般社団法人日本コングレス・コンベンション・ビューロー会員団体である公益社団法人 伊勢志摩観光コンベンション機構の援助を受け、管内構成市町のみでなく、隣接市町の観光施設等へ救急コールカードを配布いただき、更なる普及の拡大をしていきました。
 平成30年3月7日(水)東京都で開催された消防・防災活動活性化大会では、管内ホテル従業員より「ホテルでは、多言語に対応できるスタッフがスタンバイしていますが、ホテルを出発されると、自分達で観光地に足を運ばれるお客様もおられるでしょう。
 そうした時、突然、救急車が必要になることもあるかもしれません。
 「救急コールカード」が、訪日外国人のお客様と私たち日本人の「言葉のお守り」になれば幸いです。」とのコメントをいただきました。

5 おわりに

 訪問外国人の旅スタイルも、最近では、パッケージツアーから徐々に旅行の行程などを自分たちで企画し、宿泊施設も自分たちで選択するようなFIT化が進んでいます。
 また、最近では民泊が注目され始めています。
 この様な時代の中において、2020年の東京五輪までに日本政府は、4000万人のインバウンド数を目標に掲げています。今後さらに訪日される外国人が増えることは確実であり、消防庁では、各消防本部に対し、119番通報時等における多言語対応の推進を図っているところです。また、民間の施設では、多言語に対応できるスタッフをスタンバイするなど対応が進められています。
 国、地方自治体、民間が一体となり、外国人観光客がいつどこでも、安心安全に観光を楽しんでいただけるようこれからも職員一丸となって普及の拡大をしていきたいと考えています。

 

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