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読者投稿

事例を知る 住民窓口

【読者投稿】行政の最大の使命は 住民の生命と財産を守ること

テーマ:地方自治体で仕事をしている中で感じる喜び・大変さ
群馬県太田市役所 大橋 志帆さんより
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 窓口業務は行政の基本であり、事例の宝庫だと思う。私が初めて窓口部門に配属されたのは、入庁11年目のことだった。以来ずっと窓口部門で仕事をしている。これまでに様々な境遇の方の対応をしてきた。制度に対する不満や行き違いなどから苦情を受けることもあるが、窓口業務というものは実に奥が深く、学ぶことが多い。ここで、数年前のエピソードを一つ紹介したい。
 半年前から、毎月私を訪ねてくる方がいる。最初はご夫婦で来庁。奥さんがガンの手術で入院することになった。医療費が何十万もかかる。旦那さんの勤める会社が倒産してしまい、現在ハローワークで求職中。幼い子どもが二人。住宅ローンと生活費だけで精一杯。このような状況であるため、税金の滞納もあった。今回窓口に来たのは、毎月の医療費を一定額に抑えるための認定証の交付申請だった。滞納がある場合は、納税窓口に案内し、分納誓約・納付のうえで、1ヶ月単位で交付するルールになっていた。「認定証がないと医療費が高額で払えません。何とかならないでしょうか・・・」とても切実な訴えだった。二人とも心細い表情で私の返答を待っている。「分かりました。認定証はお出ししますよ。ただ、今日少しでも納付をお願いします」納税窓口に案内し、分納誓約、納付後に1ヶ月間の認定証を交付した。治療は半年くらい続くというので、私は自分の名前を伝え、毎月窓口に来て下さいと話した。「ありがとうございます・・・!!」お二人は深々と頭を下げて帰っていった。
 それから半年間、分納して認定証交付というやり取りが続いた。奥さんの入院中は旦那さんが一人で来ていた。毎月納税窓口に案内しながら、奥さんの様子や旦那さんの就職活動状況などを聞いた。当時は不況で仕事が見つからず、失業保険受給は切れてしまい、さらに生活困窮している時期もあった。そして最後の入院治療となる月を迎えた。この日は奥さんが窓口に来た。納税窓口に案内する途中、奥さんと会話した。「確か、抗がん剤治療の入院は今月で最後でしたよね」「はい、おかげさまで転移もなくて。一時はどうなることかと思いました。来月からは薬での治療、通院になります。月に三万円くらいだと言われています。毎月の入院がなくなるだけでも、本当に気が楽になります」旦那さんは、近々、フォークリフトの資格試験を受けるとのことだった。治療のめどがたったことで、奥さんの表情は明るかった。最初に来庁した時の、あの心細い表情とは別人のようだった。「今まで本当にお世話になりました」「旦那さんにもよろしくお伝え下さい」「ありがとうございました」奥さんはまた深々と頭を下げて帰っていった。
 かつてお世話になった先輩から教わったことがある。それは「行政の最大の使命は、住民の生命と財産を守ることにある。役所のルールはもちろん大事だが、病気で弱っている人や生活に困っている人を精神的に追い詰めてはいけない」ということだった。
 窓口業務において、行政は「相談を受ける側」、住民は「相談する側」という構図がある。これは、決して上下関係ではなく、対立関係でもない。共にまちづくりを行うパートナーである。今は職員として相談を受ける側だが、自分も何かのきっかけで、相談する側になるかもしれない。相手と自分の立場を入れ替えてみると、相談者がどんな気持ちで窓口に来ているかが想像できる。公平公正の立場から、言うべきことは言わなければならないが、個々の事情に寄り添った対応も必要なのだ。「行政の最大の使命は、住民の生命と財産を守ること」。窓口の最前線、行政の現場で何ができるかをこれからも考えていきたい。(大橋 志帆)

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⑥匿名だから言える『本当に知ってほしいこと』
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