(PR) 学びと人脈が自宅で手に入る。全国で300名以上が参加する、地方公務員オンラインサロンの詳細はコチラ

【千葉市長 熊谷俊人氏】政令市の最年少市長が語る、最高にやりがいのある地方自治体の仕事とその最前線(4/5)

元々、何をやりたくて市長を目指したのか、自問自答し続けなければいけない

加藤:市長は現在2期目です。1期目と2期目でご自身が感じられる変化やその違いはありますか?
熊谷市長:うーん、なんですかね、1期目と2期目の違い・・・。
加藤:非常に安定した市政運営をされているのではないかと、個人的には勝手に解釈しているのですが、違う難しさがあるのかと思っていました。
熊谷市長:そうですね・・。1つ感じるのは2期目の方が、職員とより一丸となって一緒にやれていますよね。1期目の時は、私の意図をすぐに理解してもらえないということがあるし、時間もないので、私が具体的なところまで落とすことが多かったです。
 ただ、今の2期目に関しては、職員も私の感覚とか価値観、優先順位は解ってくれています。私もしつこく何を大事にしているか言っているつもりなので、職員は大体それに基づいて行動してくれますよね。
 それと、私も待つようになりました。「これを考えて来てね」と課題を与えて、ある程度煮詰めたものをもう一回聞いて、少し修正点を伝えてアウトプットするという流れです。細かい所まで口を出す頻度は減って来ていますね。
千葉市 熊谷市長2
加藤:そうすると、職員の方に対して市長のお伝えしたい文化、風土が根付いて来ているという状態なんですね。
熊谷市長:はい。お互いが何かを言った時に感じる唐突感は、少しずつ減って来ているのではないかなと思います。
加藤:この先、3期目のお仕事をされた場合には、2期目と3期目の中で仕事の仕方を変えるようなところはあるのでしょうか。
熊谷市長:うーん・・。これは1期目と2期目の話にも繋がるのですけれど、本人はそれほど意識していませんからね、それぞれのフェーズを変えるというつもりはないですね。
 一番大事なことは初心を忘れないということですよね。自分が行政の人間として長年働いていると、元々変えたいと思っていた文化に自分自身が慣れてきますから、「元々、何をやりたくて市長をやっているのか」ということを自問自答し続けなければいけないと思っています。
加藤:なるほど。確かに、その場所に長くいると影響は受けますよね。

全員が一丸となってゴールを目指すことが大切

加藤:次の質問に移ります。地方自治体が今以上に成果を出していく為にはどういったことが必要だとお感じになりますか。
熊谷市長:これはもう逆算で考えるということですよね。5年、10年後に「何が起きていて」、「どうなりたい」のか、もしくは、「どうならなければいけない」のか、そういうゴール地点を意識して、そこから逆算してスケジュールを引いて、組織が動いていくということが必要だと思います。
加藤:将来を見据えて動くということですね。
熊谷市長:このゴールやビジョンが共有化されていないと、プロセスの過程で、「それは俺が気に入らない」から進めたくないとか、自分達に寄り道を許してしまうので、先にビジョンを考えて、「これが気に入らないならどういうルートで行けばいいの?」と突き詰めていけるような、ゴールを共有していく姿勢が必要だと思います。
加藤:確かに、全員が同じゴールを見据えている組織というのは強いですよね。

地方公務員は「超」が付くほど心から楽しいと思える仕事

加藤:今、千葉市役所でお仕事をなさっています。地方自治体で今実際にお仕事をされて、その中で感じる醍醐味は何でしょうか。
熊谷市長:これはもう「超」が付くほど心から楽しいと思える仕事ですよね。地方公務員って、最高の仕事の1つだと思います。何が一番凄いかというと、住民のインフラ、安心や安全等も含めて、自治体にしか任されていないような仕事が沢山あるんですよ。これは、まさに独占ですよ(笑)。
千葉市 熊谷市長4
 他の誰でもやらせてもらえる仕事ではないんです。それに参画する機会をもらって、自分達が良い成果を上げることができたら、確実に世の中が良くなるわけですよね。
 こんなやりがいのある仕事はないと思うんですよね。シェア争いなんてしなくていいわけじゃないですか。都市間競争はあるけれど、基本的には民間が身を削り合って戦うような、そんな激しい競争じゃないわけですよね(笑)。
 そうすると、「千葉市というこの街を良くする為に何ができるのか」と考えて、自分の能力と覚悟で勝負して、良い打ち手が打てれば満足感に浸れるような成果を、自分の目で直接近い距離から見ることができるわけですから。
 国レベルの話など、扱う範囲が広がれば広がるほど政治的なものや、色々な不確定要素が複雑に絡み合って、自分のやりたいことが実現できないというジレンマを抱えていくわけですよね。
 それに対して、基礎自治体のように現場に近ければ、勿論、不確定要素が全くないわけじゃないですけれど、自分の行動によって結果を出しやすいわけですよ。
加藤:確かにそうですね。
熊谷市長:公益的な仕事で、自分でコントロールできる領域があるということを考えると、基礎自治体の職員って凄く楽しいものだと思いますよね。もちろん、基礎自治体は住民と直接接することもやりますから、時には罵倒もされることもありますし、色んなことも言われます。
 でも、ビリビリくるような緊張感が生まれる距離感にいることがやりがいと感じられるなら、こんなに社会的に意義のある仕事というのはそうそうないと思うんです。だから、特に基礎自治体の職員は最高のお仕事だと思っています。
加藤:私も本当に素敵な役割と責任を持っているお仕事だと思います。

民間企業には地方自治体にもっと注目して欲しい

加藤:今、以前より民間人も地方自治体に注目しています。地方自治体に興味がある民間の方にメッセージを頂けますか。
熊谷市長:本当に地方自治体ほど、その可能性に溢れたお仕事はないと思うので、自分の人生の時間を注ぐに足るお仕事だというふうに思います。そして、地方自治体の仕事は、新卒としていきなり働かないといけないわけではなく、途中で入って来てもその経歴を活かした仕事ができます。
 一方で、地方自治体で職員として働かなくとも、民間にいるまま地方自治体と一緒に働くことでできることも凄く沢山ありますよね。だからもっと、地方自治体を気にして見てもらえると嬉しいです。注目してもらえるだけだとしても、地方自治体自身が「皆の為に、もっと頑張ろう」というモチベーションになりますから。

最終ページ:俺達は誇れる仕事をやっている

<続きを読む>
【千葉市長 熊谷俊人氏】政令市の最年少市長が語る、最高にやりがいのある地方自治体の仕事とその最前線(5/5)
<前のページを読む>
【千葉市長 熊谷俊人氏】政令市の最年少市長が語る、最高にやりがいのある地方自治体の仕事とその最前線(1/5)
【千葉市長 熊谷俊人氏】政令市の最年少市長が語る、最高にやりがいのある地方自治体の仕事とその最前線(2/5)
【千葉市長 熊谷俊人氏】政令市の最年少市長が語る、最高にやりがいのある地方自治体の仕事とその最前線(3/5)

© 2020 Heroes of Local Government , All Rights Reserved.