コラム

週刊 寺本英仁「巻き込む力」と「ビレッジプライド」の育て方 第15号(HOLG版)

ビレッジプライド

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本記事では、有料メルマガ「週刊寺本英仁@島根県邑南町/「巻き込む力」と「ビレッジプライド」の育て方」の一部(A級グルメ連合についてのストーリー)をご覧いただけます。なお、掲載するメルマガは約3か月前に配信した内容です。最新かつ、全文の閲覧を希望する場合はコチラからお申込みください。

【第15号の目次(2019年9月18日配信)】
1.近況ーーみなさんは、100歳のときの自分を想像できますか?
2.<A級グルメ連合>の仲間たち 西ノ島町編(2)
3.スペシャル対談「巻き込む力」(4)
4.著書の案内、質問募集!など

メルマガの一部をHOLG.jpに公開いただいています。

3.<A級グルメ連合>の仲間たち 西ノ島町編(2)=志を同じくする5市町の取り組みを連載形式で紹介します!

 三角さんと「A級(永久)グルメ連合」事務局の岡田くんが、詰めてくれていた行程表だが、僕はいきなり崩してしまった。
 僕が、西ノ島町で会ってみたいと思っていた隠岐島前病院の白石吉彦院長へのインタビューをネジ込んでもらったのだ。白石院長は日本の地域医療のパイオニアで、業界では知らない人がいない人物である。僕の中で白石院長のイメージは「ちょい悪おやじ」だったのだが会ってみると、まさにその通りの人だった。

 白石院長は隠岐をフィールドにダイナミックに遊び倒していた。
 休日は自分のヨットを走らせて釣りしているかと思えば、山に入って山菜採りから狩猟までこなす。「島にある資源のワクワク」を真剣に楽しんでいるのである。
 よく「島には何もない」という言葉を西ノ島町の人から耳にすることがあるけれども、白石院長にとって、西ノ島町は宝の島なのだと話を聞いて感じた。そして「ないことを卑下するのではなく、そこにあることを楽しむ」白石院長の姿勢に共感した。

 正直言って僕も、30歳で結婚するまで「邑南町には何もない」と嘆いていた。しかし結婚して子どもが生まれることで、この町から離れられない状況になってきた。
 環境が変わらないのであれば、その環境で、楽しいことを見つけよう。そう気持ちを切り替えられたことによって今の自分があると、僕は真剣に思っている。
 「環境を変えるのではなく、環境は自分でよくして行けばいい」

 日本の地域医療の第一人者である白石院長は、この隠岐島前病院で沢山の奇跡をおこしている。
 とくにこの町の老人福祉施設と病院の連携は素晴らしい。

 都会地ではすぐに入院を受け入れ可能な病院が少ない中で、隠岐島前病院はすぐに受け入れることが可能である。それだけでなく、福祉施設と個々の患者ごとに密接に情報交換をしているので、患者の病気の状態をより詳しく把握できるのだ。

 これは、福祉施設の利用者だけでなく、島に暮らすすべての人と白石院長が関わっているので、町の人それぞれのことを把握しているからである。

 「田舎は病院がないから、医療が遅れているから、移住するのは不安だ」と言う人の話を聞くことがある。だが、都会で救急車が夜間受け入れをしてもらえなくて迷子状態になるより全然安心できるし、症状が重いと白石院長が判断した場合、ドクターヘリを飛ばして島根県内の最新医療が受けられる病院に搬送できる。
 僕は、西ノ島に暮らす方がよっぽど医療面で安心できると思った。まして現代の日本は、孤独死する人が30人に1人いると言われているけれども、西ノ島町に限っては絶対ありえない。3,000人の島の人みんなが家族なのだ。
 白石院長と話ながら「これこそ、地域医療の真髄なのだ」と感じた。

 この西ノ島の地域医療と白石院長の理念に、若手の医師も憧れる。毎年20名程度の研修生が島に勉強に来るのである。医師ばかりでなく、医療関係者すべてが、島前病院に勉強に来たいと思っている。

 その一人、高木絢加さんに話を聞いてみた。
 高木さんは現役の栄養士である。香川県出身で関西の大学を卒業後、大学助手などを経験した後、フィリピンに海外青年協力隊として、現地保健所のスタッフとして活躍したのだそうだ。なぜ、彼女が西ノ島町に来たのか、少し面白い経緯がある。

 僕たち邑南町の「耕すシェフ」は、普段からレストランでの研修は行っているけれども、医療施設や福祉施設のような大量調理の施設での経験はできない。昨年、西ノ島町から病院の調理スタッフが不足しているという話を聞いて、1人につき2週間単位で、この隠岐島前病院に研修に送らせてもらうようになっていた。

 その事前打ち合わせのため、隠岐島前病院の天草事務局長が来られたとき、彼は白石院長とまったく同じように自分たちの地域医療の取り組みを説明してくれた。

 それを聞いて僕は「これだけ地域医療で全国に名を馳せ、多くの研修医が島に勉強にくるのなら、やはり地域医療を目玉に調理スタッフも全国に募集とかけたらどうですか」とアドバイスしたのだ。
 天草事務局長はこの提案にすぐ乗ってくれて、東京で開催された「地域おこし協力隊合同募集セミナー」で、猛烈にPRをしたようだ。その甲斐あって、関西で働いていた高木さんが栄養士として、西ノ島町に移住して来たらしい。

 高木さんにもそのあたりの経緯を聞いてみよう。
 「聞いたところでは『西ノ島町ではすでに、病院食も最先端の取り組みをやっている』ということでしたが、来てみるとまだまだ整備することが多くて、逆に何から手をつけてよいかわからなくて…」
 とのこと。たしかに西ノ島町は医療面では地域医療の最先端なので、天草事務局長(取材当時)は合同募集セミナーの際、勢い余って、病院での調理も最先端っぽい話をしたみたいだ。
 彼に勢い余らせたのは僕のせいでもあった。
 「天草さん、せっかく<A級(永久)グルメ連合>に西ノ島町が加盟したんだから、病院の調理も<A級>を目指しましょうよ」と焚きつけた。僕の熱量が高かったためか、募集の話をしたとき、天草さんは「目指す」という部分を伝え忘れてしまったようだ。

 高木さんにとって、西ノ島町がそんな苦労を吹き飛ばすほど素敵な島だったから、今では笑い話になっている。「むしろワクワク感が先に立っているんです」と言ってくれた。

 高木さんは、町長と白石院長に許可をもらい、以前から学びたかった研修に3年間通えることになったらしい。しかも研修に際して必要な保証人に、町長自らなってくれたらしい。親戚や友人でもなかなか保証人なんてなりたがらない今の日本で、つい最近、島に来た人間の保証人に、町長自らがなるなんて。まさに島全体が家族なのである。
(つづく)

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