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【砥部町 田中弘樹氏】会計の先駆的な事例を進め、総務省や大学からも声がかかる会計実務のスペシャリスト(3/5)

町役場の主任が総務省のワーキンググループ委員に抜擢

加藤:そんな公会計の取り組みを進める中、田中さんが、総務省の公会計ワーキンググループに抜擢されていました。これはどういう経緯だったんでしょうか。
田中弘樹氏:まず2006年に愛媛県が県内の自治体に呼びかけ、公会計のモデル変更に関する研究会を立ち上げてくれました。その時に大手の監査法人の方がそこに講師として入られて、1年近くそのモデル変更をフォローして頂きました。
 この時は、資産台帳の整備にも着手していましたが、まだ決算統計情報から財務諸表を作っている状況でした。翌年度以降もその研究会が続くかどうかは分からなかった為、その方に相談できるうちに、自分一人で作れるようにと動いていたんです。
 決算統計を組み替えて作るということだけでも、数値が一致するところまでやるのは大変な作業でした。
加藤:これだけの数値を合わせるというのは、想像を絶する作業ですね。
田中弘樹氏:何度も質問をしながら進めて行き、ようやくできることはやりきったという時に、ここまで数値が一致したケースはまだ稀だったようで、その講師の方から総務省の方に情報が伝わったそうなんです。
 そして、総務省の公会計担当の方が砥部町まで視察に来てくれました。そのすぐ後に「総務省でワーキンググループを立ち上げるので委員になってくれませんか」と言われました。ただただ、一から納得いくまで数値を合わせていった結果、総務省の委員に就任することになりました。
加藤:かなり珍しいことなんじゃないでしょうか。
田中弘樹氏:そうですね。この田舎町のただの主任が総務省の運営するグループの委員になることはあまりないと思います。その意図としては、実務をやった人をということがあったのではないかと思っています。実際にそれで選んで頂いたということは、とてもありがたいことでした。
加藤:総務省の方も、自治体規模や役職で判断するのではなく、結果を出している方を登用しようと動かれたというのは素晴らしいことですね。
田中弘樹氏:本当にありがたいことです。

役所外での活動

加藤:今の活動の中で、業務と別にされていることはありますか。
田中弘樹氏:公会計推進プロジェクトチームというのがあります。役場で要綱を作って承認されていますので、勤務時間内で活動することも認められていますが、参加者が勤務時間だと忙しくて来られないので、ほとんどは勤務時間外としてやっています。
加藤:これはどういう経緯でスタートされたんですか。
田中弘樹氏:できるだけ多くの職員が施設別や事業別の財務諸表であるセグメント情報をつくり、分析し、説明し、次の予算に活かしていけるようになればと。さらには財政のことや会計のことを多くの職員が知っていれば・・・そんな思いからプロジェクトチームを立ち上げました。

公会計プロジェクトチーム

砥部町の公会計推進プロジェクトチーム

 実は、公会計プロジェクトチームの話が出る2~3年前から、「財政のことは財政経験者のみが知っている」、「会計のことも会計経験者のみが知っている」なんて、それは勿体ないと思ったので、昼休みに庁内のネットワークLANを使って毎日のように様々な情報を皆に伝えていたんです。
 財政、会計、契約のこと等は新人職員の間に、ある程度身につけておければよいのではないかと思っていたものですから。そして、その勉強会グルーブが平成2014年に役場のオフィシャルなグループとして認められました。
 その為、プロジェクトチームのメンバーは、その昼休みに集まってくれていた人達が中心となりました。
加藤:勉強というのは、具体的な知識に関するものだったのでしょうか。
田中弘樹氏:名前の通り「公会計」と、そこから派生して「会計規則」や「財産管理規則」、「契約」のこと、「私債権」、「公債権」、「時効の援用」、「臨時財政対策債」とは何か等の勉強も行っていました。
加藤:なるほど。まず、役所内で情報公開をして行ったということですね。

田舎にいても情報を発信したら、情報が返ってくる

加藤:現在、田中さんは約400名の参加者を持つ、「公会計をもっと身近に!」というfacebookグループを作り管理されています。
 田中さんのようなスペシャリストタイプの方は、あまり表に出て来ず、庁内で黙々と結果を出しているということも多い気がするんです。そんな中、なぜ田中さんは情報を発信して行っているのでしょうか。
田中弘樹氏:そもそも公会計を始めた時から、さまざまな情報を発信していくスタイルでした。地方公務員は仕事の幅が広く、頻繁に異動していく為、知識も全然ない中で担当になることも当たり前ですので、私もよく本屋や図書館に行って勉強していました(笑)。
加藤:同じく仕事の領域が広い大手の総合商社でも、専門性を重視していて一度入った部から出ることは殆どなく、ただし癒着等が起きないように部内で細かく異動させ、担当を変えるそうです。役所だと全然違う領域のところに行くので、一から勉強する必要があって、とても大変ですよね。
田中弘樹氏:そうですね。多くの文献を読みはしても、「本当にこれで掲載して良いのか」と、恐怖を感じながらも・・それでもホームページで情報の掲載を続けて行きました。その時、当時の尊敬する財政課長が「違っていたら、すぐに直せばいいじゃないか」と言ってくれたのはとても心強かったです。
 そして、この思い切った情報開示が、思わぬ効果を発揮しました。愛媛のこの田舎にいながら、「必要な時に必要な人」と、「必要な時に必要な情報」が向こうからやって来るようになったのです。
加藤:まさに、情報を発信する人に情報が集まるという。
田中弘樹氏:facebookを使い始めてからは、それがさらに加速していきました。デメリットもあるかもしれませんでしたが、メリットがあまりにも大き過ぎて止めようと思うことはありませんでした。

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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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