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女性として働きづらかった時代の経験を糧に、活き活きと働く女性のロールモデルを目指す【諫早市:村川美詠氏】(4/5)

対話を大事にしたマネジメントをしたい

加藤:その後に現在の生涯学習課に異動されたんですか?
村川美詠氏:そうです。それで、冒頭に話をしたように今年の4月から課長として生涯学習課に異動になりました。あまり一括りにして言うのは良くないんですけど、割と男性の上司って対話をしたがらないように思うんですよね。
 だから、前々から自分が課長になったらメンバーと対話をしたいと思っていたんです。異動してすぐに、部署の人に私の講演会をさせて下さいって言ったら(笑)、「はい?」って言われたんですけど(笑)、私のこれまでの市役所30年の歩みを聞いてもらって、「私はこういう考え方をしがちで、こういうところは弱いので助けて下さい」という話をしました。
加藤:面白いですね(笑)。
村川美詠氏:一方で、こういうところは強みなので、そこはサポートしますので一緒にやって行きましょうって伝えて、それぞれ一人ずつと面談をして、「どういう家庭状況なのか」とか、「誰か困っている人はいるのか」とか、個人的なことも聞ける範囲で色々と聞きました。
 まずは課の中で、「子供が風邪で急に休みますから少し手伝ってください」とか、「今週はこの作業がきついので手伝ってもらえたら助かります」とか、メンバー個人からSOSを出せるようにして、組織として皆が皆をカバーできる部署にしていきたいと思っています。
加藤:非常に女性的で細やかな配慮のあるマネジメントのような気がします。
村川美詠氏:そういう職場環境ができて、「女性が管理職でもなかなか良いじゃん」って思われたら嬉しいですね。課長としてマネジメントするのは大変ですし、プレッシャーもありますけど、もし私が管理職として楽しそうに仕事をしていなかったら、私の後に続く女性は「大変そう」とかネガティブに感じると思うので、そういうところには気を付けています。
加藤:皆、上にいる人の働き方を見ているわけですよね。
村川美詠氏:女性のロールモデルになりたいという意識が自分の中にあります。今、諫早市役所には女性の部長さんが1人いらっしゃって、あと3人の女性課長がいるんですけど、あとに続く女性が目指すというか、“会いに行けるアイドル”みたいな感じで、気軽に相談に行けるような先輩になりたいと思いますね(笑)。
加藤:(笑)。

娘が高校2年生の時に謝罪をした

村川美詠氏:だから、子育てで失敗した事とか、そういうことも結構オープンに話したりしています。
 本当に子育てに関しては、自分で振り返ってもダメだったなと思っていて、だからこそ「今を大事にしてね」って皆には伝えています。子供を抱きしめられる時間なんて本当に僅かな時間で、私なんか子供が小さい時に、「早く立て、早く歩け、早く手がかからないようになれ」なんて思っていたんです(笑)。
 保育園の行事にしても、「なんで忙しい私が、こんなんに出なければいかんと」とか思って(笑)。行事が終わったらすぐ職場に戻って、仕事をしていたんですけどね、行事を終わった後に「楽しかったね」なんてほっこり話する時間なんてもう2度とないんですよねー。
 つくづく思うんですけど、まだ、子供がふにゃふにゃして柔らかい体だったあの時間って取り戻せないんですよ。今24歳になっている娘を抱きしめようとしても「うざい!」とか言われちゃうんで(笑)。
 結局、色々な人の話を聞いて反省して、娘が高校2年生の時に私が謝ったんですね。「お母さんの考え方が間違っていた。あなたが進学校出て、良い大学出て、立派な会社に入ることが私の子育てだと思ってたけん。それをあなたが放棄したから、正直言うと理解できんかったけど、あなたにはあなたの考え方があって、あなたの正解と私の正解は違ったのに、それを押し付けて申し訳なかったね」って。
村川美詠氏:そうしたら、娘が「よかったね。気づいて」って私に言って(笑)。我が子を見て、「すごいこの人、めちゃくちゃ大人」って思いました(笑)。
加藤:落ち着いていますね(笑)。
村川美詠氏:しかも、「あのままだったら、お母さんはとんでもない大人になってたよ」って言ってくれたんですよ(笑)。
加藤:すごいですね(笑)。

子育ての失敗がマネジメントに活きている

村川美詠氏:子育ての中でDoingとBeingという話があって、「これをしたからあなたが好き」ではなくて、「存在自体が好きなんだよ」って伝えなきゃいけなかったんですよね。それは、関係が本当に悪くなって勉強するまで分かりませんでした。
 本当に娘に感謝しているのは、娘がいなかったら本当に他人に対して理解力のない、視野の狭い人になっていたと思うんです。市役所で仕事がうまくいかない人を責めたりとか。
 仕事って、できない時とできる時があるじゃないですか。実際、今うちの課で子育て真っ盛りの男性がいるんですけど、子供の熱が出て帰ることがあります。もし、自分がそういう体験をしてなかったら「また帰ると?」って思っていたと思うんですよね。
 だから、女性の管理職が増えていけば、子育てとか人の悩みとかそういうのにもっと理解ができるから、「助けて」って言いやすくなる人が増えて、もうちょっと役所は明るくできるんじゃないかなって思っています。
加藤:確かに、他人へ共感できる力は相対的に女性の方が強い気がします。
村川美詠氏:今の若い女性で、「子育てでいっぱいいっぱいで仕事の時間が減ってすいません」って言う人達には、「それで良いよ」って話をしていて、「いずれ子供の手は離れるし、その経験が行政職員として活かされる時が来るよ」と言っています。市民の人が子供に対して持っている悩みも、自分に子供がいると理解しやすいですからね。
加藤:そうですよね。経験しないことはなかなか想像できないですよね。
 振り返ってみると、女性として仕事をしていく中で一番大変だったのは何だったのでしょうか。
村川美詠氏:自分を責めることですかね。何かあった時に女性って自分が悪いって責めるんですよ。実際に、「泣き叫ぶ子を保育所に置いて、よう仕事できるね」とか、子供がぐれたりすると「あの時に仕事ばっかりしてるからだ」とか言われるんですよね。
加藤:そこにはどう向き合ったんですか
村川美詠氏:自分を責めてもプラスにならないから止めようと思いました(笑)。誰も楽しくならないですから(笑)。そういう風に思うと、一気にではないですが少しずつ変われたと思います。
加藤:なるほど。今そういう悩みを持っている方も、そういったことを意識されると楽になるかもしれませんね。

女性が活躍できる環境とは

加藤:今、女性の管理職を増やそうという動きが世の中にあります。ただ、「女性管理職を一定数増やしなさい」と言われても、言われた側はどこにどう配置すればいいんだろうとなると思うんですね。
 村川さんが実際に男女共同参画課などで働いた経験の中で、どういう役割や責任を任せれば、より女性が活躍できると思いますか?
村川美詠氏:まずは、女性のコミュニケーション能力を活かして欲しいですね。対話力というか。役所もそうですが、仕事をする中では色々な調整があるので、そこは女性の武器になると思います。もう一つの女性の強みは、並行して仕事ができることじゃないですかね。
 男女共同参画課にいる時に思ったんですけど、主婦の人の再就職セミナーをすると「主婦やけん、何のとりえもないけん」って自信なさげに言うんです。
 でも、女性って煮物をして、洗濯機回しながら子供と話すとか、皆がしているじゃないですか(笑)。だから、同時にいくつものことを処理する仕事というは女性が向いていると思うし、それを活かせると思うんですよね。役所の仕事も同時進行の仕事が多いですからね。
加藤:確かに、基本的にはほとんどの仕事はマルチタスクが必須だと思います。

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